科学とテクノのネオリベラリズム

ファーマゲドン: オピオイド鎮痛剤問題のさらなる裏側

オピオイド鎮痛剤の過剰処方の問題については、 以下の記事を始め、いろいろと拾ってきていますが、 “オピオイド鎮痛剤問題”の裏側(米)(2012/10/20) 続報といってもよい記事が大晦日のWPにありました。 Rising painkiller addiction shows damage from dru…

ビル・ゲイツが4分の1所有する有害廃棄物処理会社が、CEOと株主優遇の一方で労働者に退職金放棄を強要

米国とカナダの労働組合 TeamstersとJobs With Justiceそれぞれのアトランタ支部のメンバーが 11月21日、同地で行われたビル・ゲイツの講演で抗議行動を行おうとして 強制排除されたという報告がTeamstersから出ている。 ここ何年かビル・ゲイツが有害廃棄物…

製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル

糖尿病の治療薬Avandiaをめぐるスキャンダルは 補遺で何度も断片情報を拾ってきたので、気にはなりながらも、 製薬会社と研究者の癒着スキャンダルの構図は結局のところ ずっと同じことが繰り返されているだけだという気がして、 手間をかけてエントリーにす…

14歳の5%前後にステロイド使用経験 (米)

Pediatricsに発表されたミネソタ大学の研究者らの調査で、 ミネアポリス地区の14歳前後の高校生2700人以上に 筋肉をつけようと食生活を変えたり、プロテイン粉末を摂取したり ステロイドを使ったり、運動量を増やしたことがあるかをアンケートしたところ、 5…

成人した脳死状態の息子の精子、両親には採取の権限なく(米)

ヴァージニア州のRufus McGillさん(19)は 10月14日に交通事故を起こして危篤状態となり、 医師らは脳死である可能性が濃厚だと両親に告げた。 離婚しているが良好な関係にあるRufusさんの両親は 息子の回復を祈りつつ、万が一回復不能な場合には 息子の精…

「認知症高齢者への抗精神病薬をめぐる動き」を書きました

認知症高齢者への抗精神病薬をめぐる動き 英国で衝撃的な裁判のニュースがあった。 ミドル・サセックス州ヘイズのナーシング・ホーム(以下ホーム)の看護師で主任職員のMirela Aionoaei(37)は、夜勤の際に(自分が)眠りたいために、認知症の入所者に抗精…

「バイオ化する社会」書評を書きました

ずいぶん前に書いたので、 てっきりエントリーにしているものとばかり思い込んでいたら まだだったみたいなので、早速、以下に――。 「バイオ化する社会 『核時代』の生命と身体」 粥川準二 私が「バイオ化」という言葉を知ったのは、去年「現代思想」2月号…

ノーベル経済学賞の一人は「腎臓ペア交換」の考案者だった

16日の英フィナンシャル・タイムズ社説を翻訳掲載した 22日の日経記事で、 ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者2人のうちの一人、 アルビン・ロス氏について、以下のように書かれている。 何より有名なのは、ロス氏が腎臓交換の仕組みを設計した…

“オピオイド鎮痛剤問題”の裏側(米)

昨日のエントリーで掘り出してきた過去の補遺の断片を見ていたら、 読みたいと思ってそのままになっていた去年12月のProPublicaの記事が とても気になってきたので、読んでみた。 これまで向精神薬や骨減少症や心臓ステントなどを巡って報じられてきたスキャ…

米国の“鎮痛剤問題”

昨日のニューヨーク・タイムズに “鎮痛剤問題”への取り組みの一環で 製薬会社と薬局や医師との間を取り結ぶ卸業者への 規制が強化されている、という話題があったので、↓ http://www.nytimes.com/2012/10/18/business/to-fight-prescription-painkiller-abus…

化学薬品業界が政府の発がん物質報告書の予算カット狙い、ロビー活動

ホルムアルデヒドといえば、宮部みゆきの「名もなき毒」を思い出すけれど、 よく考えてみたら、2010年に以下のエントリーを書いているんだった ↓ 大統領がんパネルが「化学物質はやっぱりヤバい」(米)(2010/5/10) 今回のNYTの記事も上記と同じくNicholas K…

自分の安眠のため入所高齢者に向精神薬飲ませた看護師に3年の実刑判決

8月22日の補遺で取り上げた以下の事件で、 被告のMirela Aionaeiに懲役3年の実刑判決。 英国でナーシング・ホームの介護者がシフトの際に(自分が)安眠できるよう、認知症の人6人に抗不眠薬、抗ウツ薬、向精神薬を飲ませて徘徊を防止していた、という事件。…

「病院職員に脳死判定への圧力がかかっている」と元移植コーディネーターが提訴(米)

元空軍兵士でナース・プラクティショナー、 元UNOSの移植コーディネーターのPatric McMahonさん(50)が 米国の病院職員に対して、まだ救命可能性がある患者について UNOS(全米臓器配分ネットワーク)から「脳死」判定の圧力がかかっている、 ドナー登録し…

ベンゾジアゼピンに認知症リスク

The British Medical Journalに発表された論文で、 ベンゾジアゼピンの高齢者における認知症リスクが報告されている。 65歳以上でベンゾジアゼピンを飲んでいる人は飲んだことがない人に比べて、 その後の15年間に認知症を発症するリスクが50%増加したとい…

「3人の親を持つ子ども」IVF技術で遺伝病回避……パブコメ(英)

どこかで拾っているはずなのに、 すぐには探しだせないのだけど、 英国で遺伝病を回避する手段として研究開発中の技術について、 生まれてくる子どもが遺伝的な親を3人もつことになる倫理問題が ちょっと前から問題になっていた。 それについて、 英国のヒト…

「死体は見世物か 『人体の不思議展』をめぐって」を読んだ

死体は見世物か ― 「人体の不思議展」をめぐって 末永恵子 大月書店 2012 この問題は当ブログでも08年から 折に触れて以下のエントリーで取り上げてきたもの。 死体の展覧会(2008/2/22) 「人体の不思議展」中止要望書への緊急署名(2008/5/5) 2011年5月30日の…

ある作家が体験的に推理する「ADHD診断増加のカラクリ」

Bronwen Hruskaという作家が 息子が8歳から数年間に渡ってリタリンのジェネリック薬を飲まされた体験をNYTに書いている。 きっかけは息子が3年生の時に教師との面談で示唆されたこと。 その時の会話がたいそう興味深い。 「ほんのちょっと薬を飲めば ウィル…

IVFでの妊娠でダウン症を理由に中絶、5年間で123人(英)

中絶反対チャリティの調査によると、 英国で2009年に IVF技術で妊娠した胎児が人口中絶されたケースが127件あり、 そのうち31件が、ダウン症を理由にしたものだった。 次に多かったのは胎児の異常を理由とするもので、19件。 エドワーズ症候群(18トリソミー…

米国で“生殖補助ファイナンス”が急成長

米国で高価な生殖補助技術を利用して子どもを産みたいと望む人を対象に、 生殖補助技術に詳しい社員を用意して資金を貸し付ける会社が増えている、という。 なにしろIVFの相場は1サイクルで12000ドル以上。 しかも、念願の妊娠までに何サイクルが必要となる…

脳損傷の昏睡は終末期の意識喪失とは別:臓器提供の勧誘は自制を

18日のエントリーで NDY の Drake らが言及していた Fins医師の論文を読みました。 タイトルは「重症脳損傷と臓器提供の勧誘:節制の呼びかけ」 今年3月に米国医師会の倫理ジャーナルに掲載されたものです。 Severe Brain Injury and Organ Solicitation: A …

人体組織の闇売買では05年に既にスキャンダル

今朝の朝日新聞に、 人体組織が闇で売買されている問題が大きく取り上げられていましたが、 2005年段階で既に英語圏では 米国発・世界規模のおぞましいスキャンダルが報じられていたので 「介護保険情報」の連載で書いた記事を紹介した09年7月30日の過去エン…

インドで17歳の卵子ドナーが死亡

生殖補助ツーリズムのメッカとなっているインドで 2010年、15歳の時から3度目の卵子提供の直後、 腹痛を訴えたSushma Pandyさん(17)が、2日後の8月10日に死亡。 Pandyさんが卵子を提供したのは 世界的にも有名なクリニック、the Rotunda Center。 Pandyさ…

ビッグ・ファーマのビッグな罰金

糖尿病の治療薬の安全データ隠ぺいなどを巡るライアビリティ訴訟で、 GSKが有罪を認め、30億ドルの賠償金で和解したことを 昨日の補遺で拾いましたが、 ここ数年のビッグ・ファーマで問題となった 違法マーケティングとデータ隠しの事例と、政府に支払った罰…

英国で子どもたちが飢えている

なんともショッキングな調査結果――。 ここ数年の経済不況で親が失業したり、総体的な家庭の経済状況の悪化により、 英国で満足な食事を取れないまま登校する児童が増えている。 ガーディアン紙のサイトの教師ネットワークに参加している全英591人の教師への…

「西側含め、各国政府からコンテンツ削除依頼が急増」とグーグル

グーグルが2010年から出しているインターネットの透明性に関する報告書で 過去6カ月間に、 西側の民主主義国を含め、各国政府がインターネットを検閲し、 政治的コンテンツの削除を依頼してくる件数が気がかりなほどに急増している、と。 スペインは ブログ…

経済危機で臓器の闇市、アジアからヨーロッパへ拡大

これまで 中国、インド、ブラジル、フィリピン辺りが通り相場だった臓器のブラック・マーケットが ヨーロッパの経済危機でギリシャ、スペイン、イタリア、ロシア、 それからセルビアなどのバルカン諸国へと広がっている。 腎臓から髪の毛、精子、母乳まで あ…

闇の腎臓売買、1時間に1個のペースで

WHOの試算によると 闇での腎臓売買は年間10000件にのぼり、 1時間に1個が売買されている計算に。 世界中で糖尿病、高血圧、心臓病が増加していることなどを背景に、 移植用腎臓の需要は常に供給数を上回っていることから 中国、インド、パキスタンへ行って腎…

最近のツイートから「少数の個人の好みで富が再分配される慈善資本主義の世界」と「メディカル・コントロール」

1%に過剰に集中した富が、その1%個々人の好みや考え方に応じて恣意的にばらまかれるという形で分配されていく世界ができ上っている。公的機関は、そうしてばらまかれるカネに群がり、慈善資本主義の帝王たちの歓心を買い、彼らの望むマーケット創出に協力…

FBの臓器提供意志の掲載欄、1週間で6000人がドナー登録

米国と英国のFacebookが利用者に臓器提供意志の掲載を呼び掛け、 そのままドナー登録サイトへのリンクを設けたフォーマット変更を行ったことについては 以下のエントリーで紹介しました。 Facebookが臓器不足解消のため、英米の利用者に臓器提供の意思表示を…

Facebookが臓器不足解消のため、英米の利用者に臓器提供の意思表示を呼び掛け

日経が早速に今日、記事にしたようですが、 フェースブックにドナー情報公開 い臓器移植を促進 まず英米で 昨日のNYTに、以下の記事があり、 SNSのFacebookが米国の利用者に臓器提供意志の表示を呼び掛ける、と。 Facebook Is Urging Members to Add Organ D…