「3人の親を持つ子ども」IVF技術で遺伝病回避……パブコメ(英)

どこかで拾っているはずなのに、
すぐには探しだせないのだけど、

英国で遺伝病を回避する手段として研究開発中の技術について、
生まれてくる子どもが遺伝的な親を3人もつことになる倫理問題が
ちょっと前から問題になっていた。

それについて、
英国のヒト受精胚機構(FHEA:the Human Fertilisation and Embryology Authority)が
パブリック・オピニオンの募集を行う、というニュース。

現在英国では遺伝子変異による遺伝病の人が約12000人。
その原因の多くはミトコンドリアの変異だが、

ミトコンドリアそのものは
200人に1人の割合で何らかの変異が起こる。

問題は、その変異が重大な遺伝病として
母親から次世代に伝えられてしまうこと。

そこで、それを避けるために
母親のミトコンドリアを健康なドナー卵子のものと置き換える技術が開発されている。

卵子段階で核を入れ替える方法と、
早期の胚段階でそれを行う方法とがある。

卵子ドナーの遺伝形質が子どもに受け継がれるため、
生まれてくる子どもは遺伝的に3人の親を持つこととなる。

実際にはいまだ開発途上の技術で、
Newcastle 大学のDoug Turnbullが有名どころ。
法改正によって、この技術が利用可能となれば、
クリニックごとにHFEAなどに認可を求めることとなる。

HFEAでは、
ネットでのアンケートによって募集した意見を春に保健大臣に答申する予定で
アンケート実施は9月17日から12月7日まで。

問いの一つは、
ドナーの匿名性の問題で、
血液提供のように匿名とするか
生殖子ドナーのように生まれた子どもから連絡を取ることを可能とするか。

子どものアイデンティティにかかわる問題。
またこうした遺伝子操作は次世代に影響するという問題も。

Turnbull博士の共同研究者 Mary Herbertは

ミトコンドリア病の患者さんたちの人生を変えてあげたいのです。
こうした変異は患者さんとその家族のQOLに深刻な影響を与えます。
何世代にも渡って影響することも少なくありません。
それを止めることができれば、
こうした病気に苦しむ何百人という人たちにとって
大きな救いとなるでしょう」

「現在はこうした新技術の安全性と効果を検証する実験を行っているところです。
この実験でHFEAの意思決定プロセスには十分な情報が提供されると思います。
完了には3年から5年かかるかもしれませんが」




英国では2008年にヒト受精・胚法改正を巡って
非常に大きな国民的議論が行われました。

それについては、以下に ↓