ビッグ・ファーマのビッグな罰金

糖尿病の治療薬の安全データ隠ぺいなどを巡るライアビリティ訴訟で、
GSKが有罪を認め、30億ドルの賠償金で和解したことを
昨日の補遺で拾いましたが、

ここ数年のビッグ・ファーマで問題となった
違法マーケティングとデータ隠しの事例と、政府に支払った罰金額とを
ProPublicaが一覧にしています。

それによると、

イーライ・リリー (2009年1月:14億2000万ドル)
 適用外であるにもかかわらず、向精神薬Zyprexaを高齢者の認知症治療薬としてプロモ。
 また販売員に法をないがしろにするよう研修を行った。

ファイザー (2009年9月: 23億ドル)
 鎮痛剤 Bextra をFDAが危険と判断した高用量でプロモ、
05年に安全性への懸念から市場から引き上げられた。
その他、向精神薬Geodon, 抗生剤 Zyvox、抗てんかん薬 Lyricaでも
同社は違法な販促行為が疑われた。

アストラ・ゼネカ (2010年4月:5億2000万ドル)
 向精神薬 Seroquelの違法なプロモーション。
 当初、統合失調症、次いで双極性障害で認可されたにもかかわらず、
  攻撃性、不眠、不安やうつなど、認可外へのプロモを行った。
 
メルク (2011年11月: 9億5000万ドル)
  鎮痛剤 Vioxx をリューマチで認可される前から治療薬として違法にプロモ。
  心筋梗塞リスクが判明し、04年に市場から引き上げられた。
  売り上げのために心臓病リスクについて説明を偽った疑い。

アボット (2012年5月: 15億ドル)
  向精神薬 Depakote の違法なプロモ。
  特別に販売チームを作ってナーシング・ホームをターゲットに
  高齢の認知症患者の問題行動抑制目的でマーケティングを行った。
 (その目的では認可されていないし、効果のエビデンスなどないにもかかわらず)
  また統合失調症の治療薬としてもプロモ。
 (こちらも効果のエビデンスがないにもかかわらず)

ラクソ・スミス・クライン (2012年7月: 30億ドル)
  米国の医療不正事件で史上最大規模。
  安全データ報告ミスと違法なプロモでのライアビリティ民事および刑事訴訟。
  18歳未満には認可されていないにもかかわらずPaxilを18歳未満のうつ病対象と偽った。
また糖尿病治療薬Avandiaの安全性データをFDAに報告しなかった。

Big Phama’s Big Fines
ProPublica, June 3, 2012


アボット社のケースの
高齢者や認知症患者、施設入所者への抗精神病薬の過剰投与の問題では
これまでもいろいろ拾っています ↓



08年、09年あたりから問題視され明るみに出されてきた以下の諸々が、
上記のような裁判や罰金に繋がってきたように思われます。







あと、この問題を一貫して調査し報道しているProPublicaのシリーズの一つがこちら。↓
ProPublicaが暴く「ビッグ・ファーマのプロモ医師軍団の実態」(2010/11/2)