ケベックの小児外科医「これほどの医療崩壊を放置してPAS合法化なんて、とんでもない」
どこの国の議論でも、賛否両論とも、
すでにあちこちで出尽くしたものばかりだと思っていたら、
これまでの反対論とは一味違うのが出てきた。
すでにあちこちで出尽くしたものばかりだと思っていたら、
これまでの反対論とは一味違うのが出てきた。
著者はSherif Emilというケベック州の小児外科医。
で、現場の小児外科医の経験している崩壊とはどういうものかといえば、
手術室の資源も、集中治療室のベッドも、入院ベッドも、看護師も
ありとあらゆるものが、足りない。
ありとあらゆるものが、足りない。
大人の病棟はもっとひどい状況にある。
過去25年間で、医療制度のヒューマニティはほとんど消滅してしまった。患者のためにこそ医療制度があるはずなのに、その患者が医療制度に対する負担とみなされるようになってしまった。最も弱い人たちのケアを託されている多くの人々のモラルを、資源の不足と政府のお粗末なマクロ政策がくじいてしまった。この腐敗に注意を喚起しようと声を上げる者もいるが、耳を傾ける者は少なく、声はかき消されていく。本当の意味で患者と家族中心のケアを、というのは、かつてのようにルールではなく、もはや例外である。こんな環境下で、我々は自殺幇助を導入しようというのか?
さらに、
……緩和ケアは今では在宅でもホスピスでも受けられ、家族や愛する人に見守られながら尊厳ある死に方ができるようになった。緩和医療は独自の専門領域にまで成熟し、痛みや苦痛を和らげる新たな治療や方法論を見つけるために、何十億ドルという資金が投資されている。医師が使えるツールは指数関数的に増えており、痛みのマネジメントや緩和ケアに特化した医学ジャーナルも新たに刊行されている。痛苦が命を終わらせる論拠になるのなら、殺すべきは痛苦であって患者ではない。痛みに対して十分な治療を行わずに自殺幇助を合法化するのは、うつ病に対して十分な治療を行わずに自殺幇助を合法化するに等しい。Mount医師を始め、多くの緩和ケア医らが安楽死に強く反対しているのは偶然ではない。
また先天的欠損のある胎児の中絶率も最も高い。
中絶される胎児の障害の多くは治療可能なものであり、
予後もよいにもかかわらず、である。
中絶される胎児の障害の多くは治療可能なものであり、
予後もよいにもかかわらず、である。
それならば、これらの異常を生まれた後になって親が知った場合は?
生まれたばかりの我が子の命を終わらせる法的権利が
親に認められることになるのだろうか?
生まれたばかりの我が子の命を終わらせる法的権利が
親に認められることになるのだろうか?
当初は極端なケースへの解決策として提案されたものが、
広く喧伝される「治療的選択肢」となってしまった、とDopchie医師。
広く喧伝される「治療的選択肢」となってしまった、とDopchie医師。
最先端の医療をもってしても治癒は時に可能という程度かもしれないが、苦痛をとり楽にしてあげることなら常に可能である。私は、医師が時に殺すけれど、苦痛をとり楽にしてあげることは滅多にしない、というような医療制度の下で、医療をやりたくない。
【ケベックのPAS合法化議論関連エントリー】
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
スコットランド、加・ケベック州で自殺幇助について意見聴取(2010/9/8)
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ケベックの尊厳死委員会から24の提言:メディアは「PAS合法化を提言」と(2012/3/24)
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【カナダのPAS合法化議論関連エントリー】
カナダの議会でも自殺幇助合法化法案、9月に審議(2009/7/10)
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