病院の障害患者遺棄

とうとう日本でも病院による患者遺棄が起こってしまいました。

アメリカの患者遺棄(patient dumping)については、
ちょっとだけメディアの報道をチェックしたことがあるのですが、

認知症のあるホームレスの患者をオムツに病院着のまま、荒廃地域に“捨てる”とか、

そういう地域の路上に置き去りにされた知的または精神障害があると思われる男性は、
マヒがあって自力歩行ができない上に人工肛門
私物を入れた袋を口にくわえて、2月の路上を這いずり回っていたとか。

救急車に一度に5人も乗せてきて、
そういう地域のホームレスのシェルター前にどさどさっと“捨て”ていったのが、
シェルターが設置した患者遺棄監視カメラ(dumping cam)でバレたとか。

ちょっと記事を検索しただけでも、すさまじい実態がぞろぞろ。


背景には無保険者問題や
救急部門は患者を拒めないと定めた法律、Emergency Medical Treatment and Active Labor Act

(Fost医師が生命倫理カンファレンスで、
法律というのはだいたい病院に患者を捨てさせない目的でできているんだから」
と忌々しそうに言っていたのが、86年にできたこの法律のこと。)

この法律で、あらゆる患者に検査を行い、状態を安定させる治療をすることが義務付けられたERは、
無保険者や貧困層、不法移民らのセーフティネットとなって、今やパンク状態。
患者の受け入れ拒否も続出して、本来のERとしての機能が危うくなっているとのこと。

そういう患者は入院させても支払う保険会社も自分のお金もないのだし、
かといって退院してもらう先もなければ、
病院としては捨てるしかないのかもしれませんが、

救急搬送を断られて流産したり亡くなったりという話は、最近、日本でも聞くようになって、
似たような状況になりつつあるのかなぁ、と思っていたら

ついに患者遺棄が日本でも起こってしまいました。
こちらも全盲の患者さん。

アメリカでも、“捨て”られる患者さんには障害のある人が目立ちます。
そりゃ、そうですね。障害がなかったら、そう簡単に“捨て”られてくれるもんじゃない。

明らかに、障害者は“捨てやすい”のです。

でもね。

私は思うのですが、これは

捨てやすいから、障害者を捨てているんじゃない。

捨てやすいから、まず障害者から捨てているんだ、と。




患者遺棄と上記法律については、知的障害者だからと助けなかった医師のエントリーでも触れています。