子ども病院倫理カンファ(遺伝子診断)に関する記事

シアトル子ども病院生命倫理カンファレンスの取材に先駆けて
子どもの遺伝子診断についてブログで親の意見を募集し、その中で
Diekema医師のコメントを引用していた地元の新聞記者が
取材後の記事を書いています。

Genetic testing of kids could pose a dilemma
The Seattle Post-Intelligencer, July 29, 2008

記事の要旨としては、だいたい以下のような感じ。

子どもの遺伝子診断技術は進んできており、
6年前にはほんの一握りの病気で行われていたスクリーニングが
現在ほとんどの州で29の病気まで拡大されており、
ワシントン州ではフェニルケトン尿症嚢胞性線維症を含む24だが
8月の終わりに1つ追加される予定。

これらは多くの州で義務付けられているが、
親が宗教上の理由でオプト・アウトすることはできる。
この先、診断対象が広がるに連れて親はこうした選択に悩むだろう。

一方、遺伝子の保有が確認されたとしても治療可能な病気ばかりではないし、
診断結果がどの程度信頼できるものかという問題もあり、
親としてはどう考えたらいいのか非常に気になるところである。

全米から小児の遺伝子診断に関っている医師・研究者が集まった
先週のシアトル子ども病院の生命倫理カンファレンスでは
診断によって予め病気に備えたり早期治療が可能になり研究も進むという意見がある一方、
まだ曖昧な部分が多く、診断したとしても
「あなたの子どもが嚢胞性線維症かどうか分からない」と答えるしかないという話も出て、
親の混乱以前に、専門家自身が倫理面について混乱をきたしている様子だった。

それでなくとも親には子どもを巡って心配事が多いのに、
これでは心配が増えるだけかも。

親が参考にするインターネットの遺伝子診断指針にばらつきがあるという点について
たいした発言ではないですが、再びDiekema医師の発言が引用されており、

「最も信頼が置けるのはNIH(国立衛生研究所)や大学の研究機関の指針です。
もちろん、かかりつけ医がベストな情報源ですけどね」

それよりも目に付いたのは、
「子ども病院は米国の数少ない小児科生命倫理センターの1つを抱え
 遺伝子診断論議の中心に近い存在である」
と書かれていること。

Ashley事件を振り返ると、
そういう病院がよくもあんな無責任な倫理判断を下したよね……と。