論文のマヤカシと不思議

論文の結論の不思議

親が「そうだ、アシュリーだけではなくて広く多くの子どもたちにもやってあげればいいじゃないか」と考えを発展させた可能性があるのは、アシュリーのエストロゲン大量投与が完了する少し前の段階ではないかとの推論を前回のエントリーで提示しました。 親が…

親が広く提唱する考えを抱いた時期とは?

「乳房芽切除の理由とメリット」で引用したように、両親は乳房芽の切除という処置はホルモン療法を受けて胸が膨らんでしまう男児に使えばいいと提唱していました。しかし実は、両親が名案だから広く使えばいいと提唱しているのは乳房芽の切除だけではありま…

子宮摘出の本当の理由、もしかして書いたつもり?

前回、論文の「メンスの始まりについても(両親は)心配していた」という1文が論文のどこにも繋がっていないと指摘しました。この点について、もう少し詳しく検討してみます。 論文の中で、あくまで「治療前」との形容つきですが、子宮摘出が初めて出てくる…

論文のマヤカシと不思議 まとめ

ここまでGunther医師とDiekema医師が書いた論文と、その内容をめぐる彼らの発言を検証してきました。途中あちこち脱線してしまったので、一度ここで整理しておきたいと思います。 この論文についての考察の、とりあえずの結論:この論文は実はとても胡散臭い…

まだある論文の”不思議” オマケ

この辺でいったん論文そのものの検証から離れます。そこで、論文にこだわってきたエントリーのオマケとして、私にはとても興味深いと思える表現を論文中から2つ、ご紹介します。 まず1つは、「症例報告」の中、アシュリーが内分泌医の診察を受けた段階で、…

まだある論文の”不思議” その5

ハ席姑表の時期の不思議 アシュリーの手術は2004年7月のことでした。論文発表までに2年以上経過しています。論文発表時、ホルモン療法は開始から1年ちょっと。まだ継続中です。(追記:事実はこの段階で「2年とちょっと」だったようです。その後 こ…

まだある論文の”不思議” その4

の冤?ウンセラーであった医師が論文執筆者であることの不思議 このような医学論文で、倫理カウンセラーという立場でそのケースにかかわった医師が執筆するということが、どの程度当たり前のことなのか、私はまったく無知なので分かりません。が、倫理委員会…

まだある論文の”不思議” その3

親のアイディアが具体的な計画となった場面に居合わせたのがGunther 医師である事実を伏せていることの不思議。 両親のブログに書かれている事実関係を整理してみると、いわゆる“アシュリー療法”のアイディアが生まれ、それが具体的な計画となるまでの経緯は…

まだある論文の”不思議” その2

∨粗で、在宅化を進めようとする政府の障害児福祉施策から論を起こしながら、2度とその問題に戻っていかないことの不思議。 「イントロダクション」は、脱施設をうたう政府の障害児福祉施策と、それに対してアメリカ小児科学会障害児セクションが賛意を表し…

まだある論文の”不思議” その1

しばらく脱線してしまいましたが、話を2人の医師が書いた論文に戻します。 いまさら、何故まだ去年の論文の話なのかと思われるかもしれません。が、この論争の非常に際立った特徴の1つとして事実誤認の多さがあげられます。倫理委のメンバーが40人という…

医師らの論文にはマヤカシがある その4

ゥ▲轡絅蝓爾侶錣鮓‘い靴仁冤?僂離瓮鵐弌爾砲弔い討録┐譴討い覆い里法⊃┐譴討△襪隼廚錣擦觜妙な誘導が仕組まれている。 この問題に重大な興味関心を持っている人の中には、この論文を実際に読まれた方もあるでしょう。多くの人が「あの論文には倫理委のメンバ…

医師らの論文にはマヤカシがある その3

せ匍榲出があたかもホルモン療法の副作用軽減のために必要だったかのように書かれている。 論文の中で子宮摘出が触れられているのは、ごくわずかです。 初出は「症例報告」という項目の後半。 両親と医師とが話し合った結果、 「エストロゲンの大量投与によ…

医師らの論文にはマヤカシがある その1

年明け早々のニュースから、この件の事実関係にこだわって、主に当事者の発言を1つ1つ突き合わせては確認するという作業を続けてきました。資料をつき合わせて細部を検証してみたら、多くの人が議論の前提として疑いもなく受け入れている事実関係そのもの…