2012年7月16日の補遺

7月11日の補遺で拾って以降、ずっと関連情報を補遺に取り上げているオランダの安楽死の実態調査データについて、BioEdgeもLifeNewsと同じような指摘をしている。Lancetのリリースは一部のデータだけを取り上げて「すべり坂は起きていない」という絵を描いて見せているが、論文のデータを詳細に検討すると、致死薬を使う代わりに長期の重鎮静で死を早めているケースが増加していたり、そこでは明示的な患者の意志表示の有無が怪しかったり、公式に報告される安楽死の件数そのものはまだまだ少なかったり、むしろ懸念材料が見えてくる、と。:やっぱり10年のベルギーにおける安楽死、自殺幇助の実態調査(2010/5/19)と同じ。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10158

クイーンズランドの病院ICUの医師が、あまりにも残酷な人工呼吸器停止で問題に。意識のある83歳の女性患者のところへきて家族の前でいきなり「選択肢は3つです。1つはあなたの人工呼吸器を外します、あなたはすぐに死にます。次に、部屋と同じ濃度にします。あなたは意識不明になって死にます。3つ目はこのままにしておくとあなたの臓器はダメになって3日か4日で死にます。ご家族とお話しください」といって去っていった。そしてその晩のうちに勝手に人工呼吸器のスイッチを切り、患者が苦しんでいるのに気付いたナースがスイッチを入れたが間に合わず死亡。相次ぐクレームを受け医療委員会が調査したが、ICUで働かないことを条件に医師免許は剥奪せず。医師が医師を調査する委員会では機能していない、との批判も。
http://www.abc.net.au/news/2012-07-10/doctor-accused-of-ended-patients-lives-prematurely/4122522

ピーター・シンガーのJerusalem Postのインタビューについて、BioEdgeが取り上げていて、その最後の部分で、Singerが最近最も関心を寄せているのがグローバルな貧困の問題で、慈善によって解消までは無理にしても大きく軽減できると語っているのが印象的。去年のMaraachli“無益な治療”事件でPeter Singerが「同じゼニ出すなら、途上国の多数を救え」(2011/3/22)と、ワクチンに触れていたことを思い出す。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10155



英国政府から資金提供を受けて行われる科学研究については2014年までに全ての文献がオンラインで公開されることに。
http://www.guardian.co.uk/science/2012/jul/15/free-access-british-scientific-research?CMP=EMCNEWEML1355

英国で不況の影響から中高年男性の自殺が増えている。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/jul/15/suicide-rise-older-men?CMP=EMCNEWEML1355

英国の介護者支援制度の強化を含めた社会ケアシステム改革案関連。
http://www.oxfordtimes.co.uk/news/9817379.MP_welcomes_care_reform/