米国で貧困層や障害者への支援を打ち切る州が相次いでいる

テキサス州と言えば、
米国で最もラディカルな“無益な治療”法がある州で、

その他にも施設職員による障害者に対する虐待事件が多発していたり、
親には体罰の権限があると考えられていたり、最近のニュースでは
学校にスクール・ポリスが常駐して些細なことで子どもを逮捕していたり、

文末にリンクした関連エントリーのタイトルをざっと見てもらうだけでも
テキサス州の独特の文化風土が感じられる気がしますが、

そのTX州、州民の健康関連データが全米で最低なんだとか。

なにしろ州民の4分の1に当たる630万人が無保険(100万人以上の子どもを含む)で
これはダントツでトップ。

また出生前のケアのランキングでも、
疾病予防や病死、ガン治療などの要因を含む全体的な健康度のアセスメントでも最低。

それでもRick Perry知事(共和党)は
今回のObama医療制度改革により今後3年間は連邦政府が資金を全額負担し、
その後も9割負担すると言っているメディケイドの対象範囲拡大を
きっぱりと胸を張って断った、とのこと。

実施されれば170万人が対象となったというのに、
ワシントンへの書簡にメディケイド拡大は「州の主権に対する重大な侵害」であり
「テキサスを財政破綻へと脅かす」とまで書いた。

他にも少なくとも5州の知事が同様の選択をしたという。

各州とも経費増大の一方で
共和党の手動する連邦補助のカットが進んでいることから
歳入源を新たに模索する州と、貧困層への支援の打ち切りを打ち出してきた州とに
その対策が分かれることに。

例えば去年、貧困層への福祉給付を減額したり打ち切った州は8州。

Pennsylvania州では先週いきなり障害者と貧困層61000人に対して
月額200ドルの一般支援給付の打ち切りを通告した。

財政難だから、と州の福祉当局は言うが、
それで削減できるのは年間1億5000万ドル。
その一方で知事は今月、3億ドルの企業減税を実施。

オハイオの知事は教育費を大幅にカットする一方で、
財政黒字が2億3500万ドルも出てくれば、緊急時の基金に回す、と公言。

メイン州でも5月に現行のメディケイド対象者のうち21000人の
給付を削減または対象から外すことが決まった。

もっとも
低所得層との保険ギャップを広げることになるので
ワシントンからの資金を断るのは慎重に、と発言する
共和党知事協会の副会長であるヴァージニア州知事のように
共和党知事とはいえ主流は弱者への支援を州の義務と捉えてはいる。

NYTの社説は、
テキサス、フロリダ、サウス・カロライナ、ウィスコンシンアイオワルイジアナに対して、
ヴァージニアに習って考え直すよう呼びかけている。

The Rush to Abandon the Poor
NYT, July 17, 2012




そういえばNYTの社説は08年にも、
「テキサスの学校教育は障害児切り捨てている」とNYT社説(2008/8/11)と書いたことがありました。



その他、テキサス州関連エントリーはこちら↓