気に入った映画をもう一度見ようとしたダウン症の男性、警官ともみ合い死亡(米)

今年の1月、
3か月前から担当してくれている支援者と映画を見に行った
ダウン症の男性、Robert Ethan Saylorさん(26歳)。

その映画が気に入ったので、もう一度見たいと言っていたが、
映画館を出たところで、機嫌を悪くして毒づいたり店のウインドウを叩いたりしはじめた。

その日はそれ以前にも癇癪を起していたので
困った支援者の女性が母親と他の支援者に電話で対応を相談。
しかし、その間にイーサンは再び映画館の中に戻って座席に座ってしまった。

2度めはチケットを買っていないので
劇場側は支援者の女性に退場させるよう求め、女性は自分が対処すると答えた。

ところが、
そこへ非番のアルバイトで警備員をやっている保安官代理が3人やってきて、
イーサンと口論に。

支援者の女性は、身体に触るとパニックすると警告したが、
強引に連れだそうとした警官らはイーサンに手をかけた。

体重が100キロ以上あるイーサンはパニック。
暴れながら、大声で母親を呼んだ。

保安官代理ら3人がとり押さえて連れだそうともみ合ううちに
イーサンは手錠を3つかけられたが、そこで突然、動かなくなった。

保安官代理らは手錠を外して心肺蘇生を行い、
息は吹き返したが、意識不明のままいびきをかいていた。

バルティモアの検死官局チーフは
イーサンの死因は窒息による殺人と断定。
喉にも原因不明の傷があった。
(これがいつの段階なのか、記事からはちょっと不明)

3月、Frederick郡の陪審員は警官らを不起訴にしただけでなく、
情報の自由法では公開されるべきエビデンス
先に警察の内部調査が終わるまで無理だと言って家族にも公開されなかった。

その後、家族の代理やアドボケイト団体などが
国司法省やメリーランド州当局に独立した調査を求め、
このほど98ページに及ぶ報告書がだされ、
事件の詳細が明らかになった。

保安官事務所の弁護士は
内部調査は終了しているとしつつ、
詳細についてはコメントできない、と語り、

「徹底的な調査が行われました。
明らかに悲劇的で不幸な出来事ですが、
しかし保安官代理には何も非はありませんでした」



相手への配慮も理解も何もなく
問答無用の強権で何でも抑えつけようとする空気の広がり、という点では、
例えば以下のようなことが頭に浮かぶし、



また、
弱い者が不当な暴力にさらされた事件で、
強い側のものが守られる仕組み……という点では、

このところ米国社会を騒然とさせているジマーマン事件が頭に浮かぶ。

ただ道を歩いていただけの丸腰の黒人少年を
勝手に不審者だと決めつけた元自警団のピスパニックの青年ジマーマンが
銃を持って追いかけて、もみ合いになり、少年が射殺されてしまった。
それでもフロリダ州では正当防衛とする州法があるとされて
1カ月間も警察はジマーマンを放置。
世論の非難を浴びて逮捕したものの、
陪審員は無罪判決――。


ジマーマン事件の概要は、例えばこちらに ↓

全米を揺るがせたジマーマン無罪判決の意味(ニュースウィーク日本版 7月16日)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130716-00010000-newsweek-int