Ouellette「生命倫理と障害」第6章 成年期 : Maryのケース

ウ―レットが成年期の問題を扱う第6章の導入部で取り上げるのは
事故で中途障害を負って全身麻痺となり、死ぬまでの9年間ずっと
再び歩けるようになる治療法の開発に全てをかけた
スーパーマン俳優のクリストファー・リーヴ

「歩道の段差をなくしたり、車いすを改良することには興味はない」と語り、
あくまでも経って歩けるようになることにこだわったリーヴは
障害者運動との間に溝が深かった。

リーヴについてはこちらに日本語で詳しい。

ウ―レットは障害者運動のMary JohnsonとMichael Schwartzからの批判を引きつつ、
成人期になって中途障害を負った人にはありがちな姿勢であるとも述べて、

障害の体験は人により、障害を負った時期や障害像や
その他多くの要因によって多様である、として、

この章では3人のケースを取り上げる。


Maryのケース

知的障害を伴わない重症脳性マヒで
子どもの頃から30年間施設で暮らしてきた48歳女性。
コミュニケーションは文字盤で可能。
家族がおらず日々のケアが手配できないため
知的能力に問題がないと分かった後もグループホームに。

グループホームでの定期健診の際に、
浣腸か内視鏡検査を命じられて、本人が拒否。
受けさせようとするGHの管理者と本人意思を尊重する家庭医とが対立したが
最終的にはGH側が本人意思を尊重することで決着した。

Maryには自己決定能力があることが明白なので
障害者の権利運動も、生命倫理の側も、事件の顛末に問題を感じない。


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