GA州「自殺幇助の宣伝禁じる州法は憲法違反」裁判、FENの勝訴

以下のエントリーで紹介した訴訟の続報があり、
組織的な自殺幇助団体Final Exit Network側が勝訴とのこと。



ジョージア州最高裁判所は全員一致の判決として、
公然と自殺幇助を宣伝することを禁じた1994年の州法は言論の自由を侵すものであり、
したがって憲法違反であると認定。

問題となった個所は以下の文言。
(訳文はたいして吟味したものではないのでご了解ください)

(犯罪行為を問われるのは)直接関与する行為(コミッション)によって意図的かつ積極的に他者の自殺を幇助する、または自殺幇助の目的が明白な何らかの行動をとる用意があるとして、公然と宣伝したり名乗り出ること。

この法文だと、自殺幇助そのものが禁じられているわけではなく、
やりますと謳って幇助した者は犯罪者になるが、
黙って幇助した者は罪に問われないではないか、
というのがFEN側の主張。

判決もその主張に沿って、

言論の自由を制限することなく全ての自殺幇助を禁じることも
自殺を幇助しますという意思表示を全面的に禁じることもできたはずなのに
州はそのいずれもしないことを選択した」

ということは自殺幇助そのものを明確に禁じているわけではないにもかかわらず、

「宣伝さえしなければ合法である行いを公然と宣伝したり申し出ることが、
なぜ言論の自由の侵害を正当化するほど重大な問題行為であるか、
州は説明することもエビデンスを提示することもできなかった」。

検察側は、もともと州法ができた時には
Jack Kevorkianの自殺幇助ケースを防ぐことを目的に考えられたものだ、と。

当時は、社会全体に、自殺幇助そのものに
否定的な意識が共有されているという前提があった、ということなのでしょうか。

この判決が今後、
米国に広がる自殺幇助合法化の動きにどのように影響していくのか、
非常に気になるところです。

メディアの報道の仕方を見ても、
この判決はGA州では自殺幇助は合法との確認である、と書く記事もあり、
「死の自己決定権」サイドの勝利を謳う記事もあり。






私には、
1994年に、将来の社会の変化を見通せないまま
不用意な文言で法律を作ってしまった議会のうかつさの問題、という気がするのですが、

そのうかつな文言が修正されるよりも、
一気に自殺幇助そのものの実質的な合法化解釈へとなだれ込んでいくのでしょうか。