自閉症児向けリゾート・プラン

1990年の障害者法(ADA)の施行以来、
米国で身体障害者向けのプログラムを展開してきた旅行会社やリゾートが
少しずつ自閉症などの発達障害にもプログラムを拡げつつある、という話題。

Bypassing the Roadblocks of Autism
By Jane Margolies
The New York Times, September 14, 2008


具体的に紹介されているのは

自閉症児と家族のためにアレンジされたクルーズ・プラン

HPを覗いてみると、
スタッフが対応について研修を受けている他、
優先的な上下船、デッキの一般客と別に小さな会議室での人員確認、
食事の際の服装規定の免除などの配慮があるようです。
記事によると同プランはこの2年間で予約が3倍になったとのこと。

Alumni Cruises の Autism Cruises サイトはこちら

障害児・者のための治療的キャンプ・プログラム

こちらは86年に脳性まひ児の親とPTとが始めた身障者向けキャンプ。
需要の高まりと共に自閉症児向けのプランを導入。

Adam’s Campのサイトはこちら

冬山のリゾート地の障害児・者向けプラン

元は身障児・者に福祉用具を使ったスキーのサポート・指導プランで、
最近スタッフに自閉症への対応を研修したというもの。

自閉症の子どもの場合、年齢によるグループ分けではなく、
発達段階に応じたグループで対応する。
必要であれば1対1の対応も可

Smugglers’ Notch Resort in Vermont のサイトはこちら
障害者向け対応についてはこちら

米国障害者スポーツセンターの夏冬プログラム

様々にルールや装具をアレンジした障害者スポーツ
季節ごとに指導してくれるプログラム。

The National Sports Center for the Disabled の夏冬プログラムはこちら


当ブログでも6月に
自閉症親子、飛行機から降ろされる(米)(2008/6/27)のエントリーで紹介しましたが、
自閉症児と母親が飛行機を降ろされた事件の際に
Chicago Tribuneの記事に寄せられたコメントは当初の1日で221、
そのうち家族に同情するものは航空会社を支持するものの半分だったとのこと。

この記事では自閉症関連団体や親を取材して
自閉症児を連れて飛行機を使って旅行する際の工夫をいくつか挙げていますが、

・ 子どもに魅力のある行き先を選ぶ
・ 乗り降りのシミュレーションを家で繰り返して練習しておく
・ 旅行中の日程表を作り、絵を交えたりして
いつどういうことが起こるか、それがいつ終わるかを子どもに予め理解させておく
・ 優先搭乗を求める医師からの症状説明を手に入れておく(ディズニーなどでも使える)
・ 馴染みのオモチャ、映画とDVDプレーヤー、食べ物を沢山持参。

その他にこの記事に登場する話としては
海辺に一週間家を借りたとか、
いつものベビーシッターまたは学校の先生の付き添いつきで旅行するとか、
ファースト・クラスで飛んだら子どもが泣いた時に客から苦情が出たので
最近はエコノミーにしているとか

体験談を取材されているのは富裕な家族ばかりというところが、ちょっと気になります。

まぁ、これまでは、こういうものすらなかったことを思えば、
一応、身障ばかりではなく発達障害にも旅行会社やリゾートが目を向け始めました……
という話として読めないわけではないものの。

        ―――     ―――     ―――

実は私も最近、飛鳥Ⅱのクルーズに行ってきたという人から
「車椅子の人も沢山いて、確かにあの船なら不自由などなさそうだった、
娘さんといってみてはどうか」
という情報をいただいたばかり。

日本にそんな豪華客船があることすら知らなかった私は目を剥いたのだけれど、
ほんの3日程度のクルーズ1人分で、
親子3人での2泊旅行が優にまかなえる計算だった。

ちょうどその話を聞いた数日後に
飛鳥Ⅱの世界一周クルーズの全面広告が新聞に出た。

見れば、3ヶ月ちょっとの旅(食事込み)とはいえ、
1人数百万円、部屋によっては1人1千万を超える旅行代金だというのに”好評発売中”だそうな。

市場主義・競争原理って、つまり、こういうことよね――。