NBICレポート 2

現在、最初の Executive Summary とOverview を読んだところで
その中から印象的な部分を拾ってみると、

まずNBICの4分野がどのように統合・協働できるかというイメージは

認知(Cogno)の科学者が考えたことを
ナノ(Nano)の専門家が作り、
生物学(Bio)の専門家がそれを実行に移して
IT(Info)の専門家がモニターしコントロールする。


レポートの50を超える論文によって描かれているのは
上記のようにNBICのテクノロジーを統合して
人類の能力を強化していこうとする壮大な構想なわけで、

その「主要テーマ」として挙げられているのは

・ 技術統合の全体的な可能性
・ 人間の認知とコミュニケーションの拡大
・ 人間の健康と肉体的能力の改善
・ 集団と社会のアウトカムの強化
・ 国家安全保障
・ 科学と教育の統合

20年後には現在のハイテクの領域を超えて、
NBIC技術の統合が非常に大きなインパクトを与えると予想されているのは具体的には

・ 労働効率
・ 人間のライフサイクルにおける肉体と精神
・ コミュニケーションと教育
・ 精神保健医療
・ 航空学・宇宙飛行
・ 食物と農業
・ 維持可能でインテリジェントな環境
・ 自己表象とファッション
・ 文明の変容

これら一つ一つは漠然と抽象的な領域名のように思われますが、
それぞれの領域で具体的にどういうことを起こそうとしているのかを考えながら読むと、暗澹とする。

例えば「労働効率」という項目に書かれていることは
NBICの統合によって更なるコスト・パフォーマンスの向上を追及できる可能性であり、
アメリカ企業が国際的に生き残っていくためにそれは光明なのだというトーンが
そこに如何に明るく漂っているとしても、

グローバリズムが今現在でも引き起こしている深刻な格差と
人間を使い捨ての労働消費材としか見なさない企業の姿勢の蔓延を考えると
NBICの統合によって更なるコストパフォーマンスを追及すれば
それらの問題は解決されるよりもむしろ悪化するだろうとしか思えない。