「人間のライフサイクルにおける肉体と精神」


Overview (概観)の
「人間のライフサイクルにおける肉体と精神」という項目。

NBIC(ナノ、バイオ、インフォ、コグノ)のテクノロジー統合によって可能になるとこととして
ここで言及されているのは

視覚・聴覚障害者の視力・聴力を人工的に補うインプラント
脳とコンピューターを繋ぐインターフェイス
細胞レベル、特定の組織、臓器、または全身レベルでのメタボリズムの制御
個々人にオーダーメイドで薬を作るためのリアルタイム遺伝子診断
ホルモン量をモニターして調節する人口膵臓

リバースエンジニアリングや人造脳による脳機能の更なる解明
人間の意識の一部をコンピューター上に移すことの可能性

(ここで引用されているのはトランスヒューマニストのKurtzweilだというのが
 ちょっと驚き。彼自身は科学者ではないのですが。)

また死ぬまで肉体的精神的な能力を若い頃のまま維持できる可能性
100歳を超えて活動的で尊厳のある生活を続けられる可能性
老化を防ぐ遺伝子療法

これらが可能にすることの1つとして「睡眠不足に対する抵抗力の向上」というのが
挙げられていて

そんなのが一体なんの役に立つというんだろう、
一体こんな明らかに身体に悪いことを誰が望むんだろう……と考えると、

トランスヒューマニストらが「24時間戦い続けられる兵士」とか
「休みなく長時間働くことのできる看護師」を云々して
未来社会の生産効率が上がると説いていることを思い出した。

もしかして、
このレポートに謳われている一見「個の利益」のように見せかけられているものは
所詮は「マスの利益」のカムフラージュに過ぎないのでは?

また、こうした文脈で
「100歳を超えて活動的で尊厳のある生活が続けられる」と書く、
その「尊厳」は、いったいどういう内容の「尊厳」なのか……、
こんなところに忽然とモラルの価値観が登場していること自体、なんだか不気味。