遺伝子組み換え動物にやっと規制ガイドライン

食糧、医薬品、医療資材として遺伝子組み換え動物が開発されており
そのビジネス・ポテンシャルに期待が集まっていますが、
FDAがやっと遺伝子組み換え(GE)動物に関する規制のガイドラインを発表。

Rules on Bioengineered Animals
The Washington Post , September 18, 2008

現在開発されているのは鮭、豚、牛、ヤギで
主要な目的は2つ。

病気になりにくく発育が早くて栄養価の高い食物としての動物を作ることと
動物の臓器や体液を使ってホルモンや抗生物質など医療に使える物質を生成すること。

FDAガイドライン
動物に対する遺伝子組み換えの全てのステップの詳細を届け出るように求めており、
またGE動物の追跡、通常の動物と混じらない用心、死後の確実な廃棄についても
届け出るように求めています。

ガイドラインに強制力はありませんが、
GE動物の商業化には薬と同じ認可が必要。

FDAのスタンスとしては、
動物に組み込まれるDNAを薬品と見なすため、
そのDNAと動物とが分離できない以上、
動物を規制することによって薬品であるDNAをコントロールする、というもの。

しかしGE動物から加工した食品には表示の義務があるわけではないことや
(栄養成分を変える場合は添加物と見なされるので表示が義務付けられる)
詳細な情報が届け出られたとしても、
企業間の公平な競争のためにそのデータをFDAが公開することはできないこと、
何らかのアクシデントでGE動物が通常の動物の中に交わり出てしまうなど、

リスクを懸念する声も。

そういえば、動物に先駆けて実用化・商業化されているGE植物では、
花粉の飛散を防ぎきれずに他の自然の植物と交わってしまい、
すでに遺伝子の環境汚染が起こっているというニュースを読んだ記憶が……。

こういうことの長期的な影響がどういう形で現われてくるのか、
本当は誰にも予測できないのでは?