THニストの"A療法"批判 1

Anne Corwinは去年1月に自分のブログに発表したエッセイ
Ashley X – Avoiding Oversimplification の冒頭で
“Ashley療法”の擁護論に引っ張り出される、
「人の精神は肉体と釣り合っていなければグロテスクだ」という考えを批判するのですが、

他の批判論と全く違ってユニークなのは
その理由が非常にトランスヒューマニスティックだということ。

THニストの考えでは
身体は個人の好みや考えによる自己選択で自由に選べるもの。
本人が「自分は猫の身体になりたい」と考えるのであれば
その人は自分の外見を猫そっくりにしたって
それも自己選択権の範囲内ということになるわけです。

そういう価値観に立つとしたら
ある人の精神と肉体の釣り合いが適切かどうかなんて、
一体誰に決める資格があるのだ? 
というのがCowinの「グロテスク」論批判のベース。

その上に立って彼女は
Ashleyの精神と肉体の釣り合いをグロテスクと呼ぶことは、
Ashleyのような障害者を理解することには全く貢献しないし、

誰かが「ある人の精神にはこのような身体の方が釣り合う」と考えたというだけで
そのたびに病院の倫理委が過激な医療を認めるとしたら恐ろしいことだろう、と。

このように「グロテスク」論を否定した後で、

It’s not that she’s going to be small, it’s how she got that way, that is driving the widespread debates on this matter.

この問題で広く議論を巻き起こしているのは
Ashleyが小さいままであるということではなくて、
彼女がどのようにして小さいままにされたかということ(理由や意思決定過程や方法)なのだ。