日本でも超重症児の切捨てが始まっている 2

前回のエントリーに続いて、
療養病床廃止による病院からの高齢者の追い出しと同じことが
超重症児でも起ころうとしていることについて。


日本では今のところ、それほど
えげつない呼び方はされませんが
今の日本の超重症児を取り巻く現状は
英国で重症障害新生児たちが「ベッドふさぎ(bed blocker)」と
呼ばれ始める直前の状況と似ているように思われ、
それが不安です。

英国でも、まず高齢者の社会的入院が「ベッドふさぎ」と呼ばれて
病院で高齢者がはっきりと邪魔者扱いされました。
その数年後に、今度は
障害新生児によるNICUの「ベッドふさぎ」が原因で、
もっとポテンシャルのある患者の治療ができなくなっているとして
障害新生児の安楽死が言われ始めたのです。

しかし、
英国のKatie Thorpe親子が受けていた介護サービスを思い出してください。
ソーシャルサービスから介護者が派遣されています。
定期的に外出や宿泊のレスパイトサービスも受けていました。
養護学校への通学にはタクシー送迎が支給されていました。
それでもAlisonが語っていた介護者の負担はあれほど重いのです。

そんなサービスなど「ないないづくし」の日本で、
超重症児の在宅介護がどれほど重い負担であることか。
そこへ調整役を置いて“病床移行”させようというのです。

日本の場合は安楽死を云々する代わりに
支援が充分でないまま無理やり家庭に戻して、
親がケア負担を背負い続けた後で、
やがて力尽きたら、勝手に心中しなさいとでもいうつもりなのでしょうか。

英国のように「殺そう」という代わりに、親の責任で「連れて死ね」と?


     ―――――

天漢日乗」という医師のブログで
この問題が取り上げられていました。

NICUの向こう側(その3)超低出生体重児の海外での扱い→追記あり
というエントリーの後半で日本の現状を分析し

少子化対策不妊治療には補助をだすが、
生まれた子どもが障害児だったら知らないという
国の施策は見直すべきではないかと主張し、
以下のように述べています。

国はともかく、
重度心身障碍者の社会的コストを明らかにした上で、
福祉政策を立てていただきたい。

今の予算編成は
重度心身障碍者とその家族を追い詰める構造になっている。

それでも尚
高齢の母親や体外受精で多胎妊娠した母親に
少子化対策として「子どもを産ませる」つもりならば、
一定数は必ず生まれてくる重度心身障碍児のための施設の充実が必要である。

こうしたコスト計算を表に出さないのが 日本的優しさならば、
重度心身障碍者とその家族を「無理心中」に向かわせる圧力も、
日本的優しさの産物ということになる。