英国Katieのケース

ある福祉職のKatieケースを巡る感想

Katieケースについて、あれこれ検索していると、 英国のメディア・サイト、Digital Spyに 「医師らは母親の要望どおりに重症児に子宮摘出を行うべきか」 Should doctors give severely disabled girl a hysterectomy at request of her mother? というフォー…

米国メディアの不思議

Katieケースの新展開を巡る英国の記事はいくつか読んだので、 そういえば第1例であるAshley事件が起きた米国で メディアが英国のこの展開をどう報じているのかが気になって、 めぼしいところをざっと検索してみたのですが、 驚いたことに報じられていない様…

BBCのKatie記事

BBCもAlisonに直接取材して17日に記事を打っていました。 病院からどのような返事があったのかという点について、 Alisonはこれまでのどの記事よりも丁寧に説明しています。 Teenager is refused hysterectomy BBC January 17, 2008 去年の10月にAlisonがBBC…

Katieケース婦人科医に関する疑問

これまでのKatieケースに関する報道によると、 ずいぶん以前からKatieの子宮摘出を望んでいたAlisonに対して St. John’s病院の婦人科医Phil Robarts医師は ピルとホルモン注射で対応するよう提案していたといいます。 ところが去年の8月にAlisonから重ねて…

TimesのKatie記事

こちらは事実関係のみ、短くさらりと。 Doctors refuse to perform hysterectomy on girl the Times January 19, 2008 引用は既にお馴染みNHSトラストのスポークスマンの4行と、 Disabled People’s Council のスポークスマンの2行のみ。 記事が出てくるタ…

GuardianのKatie記事

Daily Mail, Tetegraphと続いた後で Guardianのこの記事を読むと、 ちょっとほっとさせられます。 Hospital refuses plea for hysterectomy on cerebral palsy girl The Guardian, January 19, 2008 まず、このケースの位置づけ方が上記の2紙よりも本質的で…

Katieケースで始まった障害者たたき

Katie Thorpeの子宮摘出却下を報じるTelegraphの記事には 今の段階で15のコメントが寄せられています。 最初の1つが「母親には気の毒だけど子宮摘出が答えではないでしょう」 と書いた他は全て、却下の判断への非難と障害者団体たたきです。 論点は概ね以下…

子宮摘出却下で障害者たたき?

Diekema講演をライブで聴こうと 睡魔と闘いながら2時半までがんばって起きていたのに、 テクニカルな問題で聞くことができず、 時計を睨みつつ、ジタバタとあれやこれや試みるも 空しく焦り続けて1時間が終わってしまう……。くっ。 このまま寝るのも悲しく口…

Katieの子宮摘出は却下

17日付でDialy Mailが報じたところによると、 医師らは母親Alisonに対して 「医学上の理由がある場合でなければ手術は行わない」と 通告したとのこと。 Doctors refuse mother’s request to remove disabled daughter’s womb “because of charity backlash” …

SaletanのAshley療法批判(1月 WP)

前のエントリーの最後に簡単に紹介した William Saletanが“Ashley療法”を批判したWPの記事(1月21日)について。 Saletanはオンライン・マガジンSlateの科学と技術担当執筆者。 Washington Postの記事は既に有料となっていますが、 Slateに別タイトルで同…

Katieケース、保健省見解の無責任

前回のエントリーで取り上げたDisabilities Now の記事の中に、 保健省のスポークス・ウーマンのコメントが載っていましたが、 そのコメントから判断すると、 Katieケースに関する英国保健省の見解とは、 本人の理解と意思表示の能力に応じて 担当医師らと本…

人権団体の長がKatieケースでメディア批判

英国では、それまであった the Equal Opportunities Commission, the Commission for Racial Equality, the Disability Rights Commission の3組織を1つにまとめ、 10月1日に the Equality and Human Rights Commissionが誕生しました。 同コミッション…

Katie追加情報と「死んだ方がまし」について

前回のエントリーに引き続き、 10月8日のBBCからKatieケース関連の記事。 “Wait and see the best approach” 医療倫理学者Daniel SokolがKatieケースについて論評したもの。 主な論点は ・子宮摘出術が本人の最善の利益にかなうかどうか、全く不明。 ・実際…

Katieケース追加情報とメディアの不思議

遅ればせながら、10月のBBCニュースからKatieケースに関する情報の追加を。 まず、10月7日の記事。 Mother seeks girl’s hysterectomy ゴーカート・レースを見ている一家の様子と、 母親Alisonが生理の不快が娘には耐えられないと訴えている映像があります。…

Katieケースを巡る単純な疑問

前回のエントリーで、Gunther医師へのAshleyの親の弔辞を紹介しましたが、 実は、Ashleyの親のブログを久々に覗いてみようと思いついたのは、 英国のKatieのケースについて何かコメントしているのでは、と 考えたためでした。 そんなコメントは結局なかった…

医療における子どもの権利にガイドライン(英)

9月27日のBBCニュースDoctors told take young seriously によると、 英国医事委員会が医療における子どもの権利に関する指針を出し、 医師の責任と役割を明確にしたとのこと。 3ヶ月かけて350人の子どもと600人の医師、親、各種団体に調査を行…

久々にKatieのケースについて

しばらく静かだった(私がヒットしていないだけかもしれませんが)Katie Thorpeの子宮摘出を巡る議論ですが、 10月30日付で脳性まひのDavid Reillyという人が書いたものがひっかかりました。 The Herald Why can’t you let Katie grow up? Reillyが呈し…

子のプライバシー、親の権利

Katieのケースは裁判所の判断を仰ぐことになったようですが、 18日のエントリー「なぜ小児科医は出てこないのだろう」で記事の存在を紹介したきりになっているので、遅ればせながら10月13日のthe Guardianの記事から、Alisonの発言を以下に。 もちろん…

「尊厳」を巡る疑問

18日のTimesのKatie関連記事の中で、どうも、ひっかかること。 この中には、母親Alisonが娘の子宮摘出を望むのは、pain, discomfort and indignity of menstruationからKatieを守ってやるため、と書かれています。 Alisonが言っていたのは、「良く知らない…

Katieケース、裁判へ

これまでのニュースでは、Katieの母親から子宮摘出を求められて同意した婦人科医らがNHSの弁護士に法的助言を求めているとのことでしたが、 18日付のTimesの記事Should the Court of Appeal allow Katie Thorpe’s womb to be removed? によると、その助…

問題が摩り替えられていく

前回のエントリーで紹介したthe Daily Mailの密着取材の日も、 Alisonは例によって非常に雄弁だったようです。 以下は彼女の発言の一部。相変わらず、思慮に欠ける発言が目立っています。 障害児の世話をするというのは終身刑を務めているようなものです。時…

なぜ小児科医は出てこないのだろう

その後、Katieに関する以下の2つの記事を読みました。 The Daily Mail The humbling true story of why this mother wants her disabled daughter to have her womb removed (10.11) The Guardian “Of course I thought about putting her in a home. Somet…

クリスティ・ブラウンとKatieは違うと言い切れるか

その後、Katieの母親はまだメディアの取材を受け続け、しゃべり続けています。しゃべり続けるにつれ、言うことにも歯止めが利かなくなっているのではないかという懸念さえ覚えますが、それについては、また改めて整理して書こうと思います。 ここでは10月…

Ashley父とKatie母の決定的な違い

10月11日のWired ScienceというサイトにGunther医師の自殺を報じる記事があります。 記事そのものは6行だけの大変短いもので、特に目新しい情報はないのですが、 そこに書き込まれたコメントが目を引きました。 私が見た時点での書き込みは3つ。 残念…

Katieにできるのは息をすることだけ?

the Telegraphの Disabled girl to have womb removed (10月9日)から。 この記事には特に目新しい事実関係の情報はないのですが、母親Alisonの発言が引用されている箇所が多く、その発言がどうも気になるのです。例えば、 私にとっては苦しい決断でし…

Katieのケース 追加情報 3

新たにKatie関連の記事を見つけたので、 the Daily Mail のWhy I want surgeons to remove my disabled daughter’s womb(10月7日)から、これまでになかった情報についてのみ。 Katieの脳性まひの原因は出産時の低酸素脳症。 「メンタルな能力は1歳半で…

Katieのケース 追加情報 2

まず、擁護の記事から。 既に成人して施設で暮らしている重複障害のある女性の養母がthe Daily MailにKatieの母親擁護の文章を書いています。the Daily Mailは“アシュリー療法”論争の際にthe Seattle Timesと並んで、極端に情緒的な記事を書いて両親を擁護し…

Alison Thorpeが1月に言っていたこと

Echoというニュースサイトが、If only we could have stopped our child growing up, as well(1月10日)という記事で、Katieの母親について詳報していました。“アシュリー療法”論争真っ只中での記事です。 彼女は今年はじめ、アシュリーに行われた医療処置…

Katieのケース 追加情報 1

いったんアップした後、TIMES紙の記事Disabled 15 year-old to lose womb(10月7日)を教えてもらったので、加筆訂正しました。 7日のIndependent Television Newsの記事他によると、Katie Thorpeの子宮摘出術を行う可能性があるのはEssex、ChelmsfordのS…

英国でついに第2例目か?

the Guardian紙に、エセックスで重症脳性まひの15歳の女児Katie Thorpeに母親が子宮摘出を希望しているとの記事が。 Mother defends hysterectomy for disabled daughter(10月8日) 母親は毎月の生理の不快を回避する目的で子宮摘出することが本人の最…