Katieケース、保健省見解の無責任

前回のエントリーで取り上げたDisabilities Now の記事の中に、
保健省のスポークス・ウーマンのコメントが載っていましたが、

そのコメントから判断すると、
Katieケースに関する英国保健省の見解とは、

本人の理解と意思表示の能力に応じて
担当医師らと本人の介護を担っている人たちが決めることであり、
可能な限り本人の意向を尊重するにせよ
未成年なので最終的には親が決めること、

といったものです。

自分で決定することができにくい人の非治療的不妊処置については
裁判所の判断が必要だとする法の規定があるのに、
この見解ではそれが考慮されていないという問題を
前回のエントリーで既に指摘しましたが、

仮に一般的な重症児に関する医療の問題として考えても、
この見解ではあまりにも無責任だと思う点がもう1つあって、

それは医師の専門性の問題です。


スポークス・ウーマンは doctors と簡単に言いますが、
重症障害児の医療は特殊な専門知識を要する分野のはず。

ところが、

AshleyのケースでいえばGunther医師の立場にあたる、いわば“総監督”は、
Katieのケースでは Phil Robarts医師

Gunther医師は重症障害児を診てきた小児内分泌医でしたが、
Roberts医師は婦人科医です。

これまでの報道からすると、
Katieの母親が子宮摘出について相談したGPに紹介されて
Robarts医師のところを訪れたのは2年前
同医師は母親の子宮摘出の希望を巡ってのみKatieに関与しているだけで、
彼女の障害を巡る医療に関与しているわけではありません。

保健省のいう「短期長期的に見たKatieの健康上の最善」について
そういう婦人科医に、どうして的確に判断できるでしょうか。

その判断には重症児医療の専門家で、
なおかつKatie本人をずっと診てきた発達小児科の医師が関わることが不可欠だ
と私は思うのですが、

この点に疑問を呈する声はいまだに聞きません。

保健省は本当に
「何科の医師であれ医師であれば判断してさしつかえない」と考えているのでしょうか。

それでは、あまりにも無責任ではないかと
私は非常に大きな疑問を感じるのですが。


【追記】
13日午前まで、
「同医師がKatieに初めて会ったのは8月」としていましたが、
その後、時期の間違いに気づいたので訂正しました。