人権団体の長がKatieケースでメディア批判

英国では、それまであった
the Equal Opportunities Commission,
the Commission for Racial Equality,
the Disability Rights Commission
の3組織を1つにまとめ、
10月1日に the Equality and Human Rights Commissionが誕生しました。

同コミッションのHPによると、
平等法2006に基づいて作られたnon-departmental public body(NDPB)で、
活動資金は公金でまかなわれる一方、政府からは独立しているとのこと。

Ashley事件の調査を行ったWPAS(現在はDRW)のような組織でしょうか。
州単位と違って全国版ですが。


その平等と人権コミッションの責任者、 Trevor Phillipsが
英国の障害者関連のニュース・サイト Disability Nowの記事で、
Katieのケースについてメディアの報道姿勢を批判しています。

最も激しく怒りを感じているのは
メディアがKatieのプライバシーを侵害していること。

いったん言ってしまったことは取り返しがつかないが、
新聞はまたこの問題を取り上げるだろうから、はっきり言っておくが、
この子について、またあんな書き方をしたら次は我々が闘う。

あんな報道は許しがたいし、
あれに誰も腹を立てなかったらしいことを考えると、
ジャーナリストとして私は気持ちが滅入る。

メディアはKatieから人間性を剥ぎ取って、
まるで物体であるかのように書いた。
そんなことは絶対に間違っている。

この点については、当ブログでも指摘していますが、
メディア以前に、いくら親でも、
あそこまで子どものプライバシーに関わる事実を広く公表する権利があるかどうか、
という方が私には疑問です。

Disabilities Nowの記事には、その他の立場からもコメントがあり、

保健省のスポークスウーマンは
短期・長期的にみてKatieの健康上の最善が何かという点について
担当医師らと介護に携わっている人たちとが決めることだと述べ、さらに、

Katieの年齢と理解力のレベルを考えると、
医師らが治療への同意が可能かどうかを見極めて、
もしも可能であれば本人の意思も考慮するでしょうが、
まだ未成年なので最終決定は両親になります。

しかし、それは、ごく一般的な医療の場合の判断であって、
問題になっているのが他ならない非治療的不妊処置であることを考えれば、
Mental Capacity Act 2005でも裁判所の判断を仰ぐべきとされているのだから、
保健省の公式見解として、
これでは、あまりにもお粗末なのではないでしょうか。

同記事ではその他に、
障害者団体Scopeのexecutive director、Andy Rickellが、

このケースには、
我々の社会が障害者をどのように遇するか、
また障害者の人権と生殖権をどのように尊重するかという点に関して
基本的な倫理問題があります。

医師らが両親を支持していることを
Scopeは懸念します。