「死の質」について、もうちょっと

昨日、以下のエントリーを書きました。



そこでとりあげた「死の質」40ヵ国調査とランキング
The Quality of Death: Ranking End-of Life Care Across the Worldについて
調査を実施した the Economist Intelligence Unit からのリリースを見つけました。


対象となった40ヵ国すべてのランキングや、調査方法など、詳細情報があります。

調査の結果として以下の5点を挙げています。

① 緩和ケアの改善には、死の捉え方、スティグマや文化的なタブーと闘うことが不可欠。
安楽死と医師による自殺幇助の国民的議論は啓発にはなるが、その議論で扱えるのはごく少数者の死のみ。
③ 現実問題として最も重要なのは薬へのアクセス。
④ 終末期医療に割かれる国の予算は少なく、医療現場でも従来型の治す医療が優先されている。
⑤ 緩和ケアが増えることで医療費は削減される可能性がある。


調査の依頼主は Lien 財団というシンガポールの慈善団体。
Lien 財団公式サイトの財団に関する説明(about us)は、こちら

Gates財団と IHME その他の繋がりに何がしかの懸念を感じてきた私の
個人的な偏見なのかもしれないけれど、

どうして終末期医療の質の調査を依頼する先が経済調査を専門とするらしい企業で、
医療に関する調査を専門とする企業じゃないんだろう?

the Economist Intelligence Unitのサイトをのぞいいてみると、
「グローバル・ビジネス情報収集における世界のリーダー」がキャッチ。



なお、quality of death で検索してみてヒットした情報としては、

① 2000年前後から米国の医学論文では「死の質」が問題にされていたらしい。


② 全文読めるものとして、
2003年の米国内科学会誌に以下の論文「死の質を計測し改善すること」。
(私はまだ読んでいません)


③ かなり気になるのは、ドイツの動物ホスピスの院長さんが2008年に書いた文章で、
(ざっと目を通した程度です)


動物なら苦しめないために安楽死させるのだから、
人間も無用に苦しめずに安楽死させるべきだ、と説いている。

これは安楽死や自殺幇助アドボケイトがよく主張することではあるけど、

ここでは、なぜか
「動物の子ども」と「人間の子ども」と話を子どもに限定して
「弱いものを守る」というイメージが多用されているような気がする。


【16日追記】
去年の秋に認知症患者の緩和ケアの捉え方を巡って行われた、以下の論争を思い出しました。
「緩和ケア」がどういうものとして捉えられ、用意されているかという問題もある、と思う。


ついでに、日本の
徳永医師の緩和ケアについて書いたエントリーを挙げておきたくなったので、