2010年7月20日の補遺

ウィーンのエイズ会議で、Bill ClintonとBill Gatesが、世界不況で慈善資金が集まりにくいなか、効率のよいプログラムの選別に新たに取り組む必要を説いた。その例としてGates氏が挙げているのが、男児の包皮切除術はHIVの感染率を60%削減できることに加えて、母親と新生児に短期に薬を投与することによって感染を防ぐ方法が、安上がりで効果的だ、と。:じゃぁ、Diekema医師は「包皮切除は医学的な利益もリスクも曖昧」という2月の発言をそのうち撤回するかな。それにしても、費用対効果至上主義が露骨になっていく。費用対効果ばかり言われて、利益対リスクが鳴りをひそめていく……とか? なんだろ、その「母親と新生児に短期に投薬する」ってのは? 途上国は慈善資本主義のやりたい放題か?
http://www.guardian.co.uk/world/2010/jul/19/bill-clinton-gates-aids-conference?intcmp=239

たぶん、上記ニュースの関連。女性が性交前に使うことでHIV感染を予防できるジェルが開発されて、国連もWHOも歓迎している。これもまた途上国向け。:な~んか、被害に遭うのも女性なんだけど、対策のターゲットにされるのも女性……という気がしないでもなくて。直接的な関連があるのかないのか、面倒なので突きつめて考えてはいないけど、“Ashley療法”の論理でも、胸が大きかったら介護者からレイプされるから乳房切除だとか、レイプされても妊娠しないように子宮摘出だとか……それに対して「性的虐待の責めが潜在的被害者であるAshleyに負わされている」という批判が出ていたのを思い出した。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/jul/19/aids-infection-risk-women-halved-gel-study

いわゆる“試験管ベビー”では癌の発生率が高い、早産の可能性や出生時の呼吸障害の可能性も高い。しかし癌の高率については、不妊で生殖補助医療を必要とした親の遺伝子上の問題ではないか、と研究者。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/07/19/AR2010071900031.html?wpisrc=nl_cuzhead

職業倫理に反する行為のあった看護師を各州が全国データベースにちゃんと登録しておらず、州を移動することで職についている。患者の安全は? ProPublicaの調査報道。シリーズの1。
http://www.propublica.org/article/states-fail-to-report-disciplined-caregivers-to-federal-database

乳がんの初期だとの生体検査には間違いが多い、という調査結果。冒頭、摘出手術の後で間違いだと分かった人の話。
http://www.nytimes.com/2010/07/20/health/20cancer.html?th&emc=th

PETだとか脊髄液の分析だとか、アルツハイマー病を早期に診断すると言われて昨今あれこれ登場している新たな診断法はお勧めしない、とNational Institute on Aging とアルツハイマー病協会。
http://www.nytimes.com/2010/07/20/opinion/20pimplikar.html?th&emc=th

米国の親の53%が自宅でできる子どもの遺伝子検査に興味を示している、という調査。:親による新手の虐待が用意されている感じがしないでもない。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/195152.php

Obamaの新たな医療制度に向け、保険会社が患者の選択肢を狭めて保険料を下げた商品を売り出している。
http://www.nytimes.com/2010/07/18/business/18choice.html?_r=2&th&emc=th