GA州のALS男性が「臓器提供安楽死」を希望

トンデモ生命倫理学者のJulian SavulescuがBioethics誌で
「臓器提供安楽死」を提唱したことについては、
5月から以下の2つのエントリーで紹介してきました。



その時から、いずれ近いうちに、こういう声が
実際の患者さんからも上がるのだろうとは思っていましたが、
まさか、こんなに早く上がってくるとは。

以下、今日のニュースから。

         ―――――――

Georgia州West Cherokee郡在住の Gary Phebusさん(62)は
2008年にALSと診断された。

まさか自分が、と信じられない思いだったという。

その後、Phebusさんはインターネットで臓器移植のことを調べ始め、
臓器が必要な人たちが長い間待たされている実情を知る。

そして、今、生きている、この状態で、臓器を提供したい、
提供することによって自分は死ぬのだと分かった上で、提供したい、と希望している。

「私はもう死の宣告を受けたわけで、あとは時間の問題に過ぎません。
臓器を待っている人がいるのだから、私はどうせ死ぬのだし、
私の臓器がまだ使える状態の間に持って行ってもらってかまわない。
それで10人の命を救ってもらえばいい」

「正しいことをしているだけだという気がします。
だって臓器が足りないんだから。

それを自殺だとは感じません。
他の人が生きられる可能性があるなら、
そのチャンスをあげようというだけです」

妻も4人の子どもたちもPhebusさんの考えに賛成している。

しかし、連邦法によって、臓器提供を行うには、その人は脳死になっているか、
または心臓死によって死んでいなければならないため、
いかに多くの人が臓器を待っていようと
Phebusさんの願いは実現できない。

Phebusさんは、そういう法律を作ってほしい、と希望しているが、
州議員たちは、その可能性には否定的。

この記事によると、臓器移植を待っている人は全米で10万8000人。
ジョージア州だけでも3000人以上。

記事の最後に、Phebusさんのホンネがちらりと見えていて、
彼の望みは、まだ使えるうちに臓器を提供したいというだけではなく、
これから何年もに渡って医療費を請求されては
保険会社に請求しなければならないなんて避けたいのだ、とも。

医療保険をかけている人でも、
給付を受けようと思ったら保険会社との間で消耗戦のバトル覚悟で、
という話は米国の医療については、よく聞きます)

「だって、どうせ私は今でも死んでいるようなものなんですよ。
I’m dead anyway.

そりゃ、私だって生きたいけれど、
どう転んだって、死ぬんだから」

Man tries to donate organs - now
Cherokee Tribune, July 25, 2010


今回、このニュースを読んで、思ったのは、

なるほどぉ。
Georgia州かぁ……。

Georgia州といえば、
去年2月、FENによる一連の自殺幇助事件の口火が切られたところ。

つまり、それだけFENが入り込んでいる、
ということは、当然、C&Cも入り込んでいるところ――。