2011-01-01から1年間の記事一覧

Truogの「無益な治療」講演(2011年11月10日) 後

(前のエントリーの続きです) Truogは講演の後半、 自らが所属するボストン子ども病院の無益な治療をめぐる方針と、 テキサスの一方的な無益な治療法(正確には事前指示法)とを比較検討していきます。 例として言及されているのは 当ブログでも取り上げた…

Truogの「無益な治療」講演(2011年11月10日) 前

マサチューセッツ大学医学部のGrand Rounds(学内研修?)で 11月10日にRobert Truogが行った“治療の無益性”をめぐる講演。 タイトルは “Medical Futility: When is Enough Enough?” 私なりの勝手な解釈で和訳すると、 治療の無益性:どこまでいけば「もうそ…

2011年12月13日の補遺

ビル・ゲイツが中国の科学とテクノロジー相と薬、ワクチン、農業技術(seeds diagnostics)でのパートナーシップで合意。:12月8日の補遺では中国政府と新型原発開発で合意というニュースを拾っている。薬、ワクチン、GM農業に原発、とビル・ゲイツの関心事…

政治犯から生きたまま臓器を摘出する「新疆プロトコル」

中国でウイグル人など政治犯を殺したり生きたまま臓器を摘出する慣行が 90年代からあり、中国政府のイスラム教徒や政治犯の粛清策と噛み合って システム化されている、との調査報道記事。 通常は自分と家族の身の安全を考えてしゃべる人が少ないが ヨーロッ…

「粘土でにゃにゅにょ」は「重い障害を生きるということ」とペアで読んでほしい本だった

ある方から、この本のことを教えてもらった数日後、 そのことを全く失念したまま図書館へ行き、まったく別の本を探していたら、 棚のずいぶん下の方から誰かに呼ばれている感じがした。 で、なんとなく呼ばれるままに目をやったら、 そこにいたのが、この本…

2011年12月10日の補遺

中国で臓器目的で政治犯が殺されている、との調査報道が出てきている。 http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/9874 http://www.weeklystandard.com/articles/xinjiang-procedure_610145.html?nopager=1 MA州の自殺幇助合法化住民投…

今週のミュウ 2

園との連絡ノートより 火曜日の夜、(同室の)Aさんの希望でいつも”NHK歌謡ステージ”を見ているのですが、今週、特に気に入ったようで、”キャーキャー”と、にじ部屋が引っくり返るような大騒ぎだったとのこと。ちなみに出演歌手は「小林旭」だったそうですが…

“HIV感染予防ゼリー”、効果確認できず大規模治験が中止に

6月に以下のエントリーで紹介した女性向け“IHV感染予防ゼリー”ですが、 ゲイツ財団肝いり“HIV感染予防ゼリー”は「新たなタスキギ実験」?(2011/6/24) このニュースで「素晴らしい予防効果」で表彰されていた臨床実験CAPRISA004では 39%の予防効果があるとさ…

「植物状態」からの「覚醒」と、その研究について、思うこと

12月7日の以下のエントリーを某MLに流したところ、 ある方から「治療としての位置づけが十分でなく効果が過剰に言われているのでは」などの コメントをいただきました。 睡眠薬による「植物状態」からの「覚醒」 続報(2011/12/7) この方からは、いつも専門的…

17歳のヤング・ケアラー、ロンドン5輪の聖火ランナーに

英国 Shrewbury在住の Sara Thomasさん(17)が ロンドンオリンピックの聖火リレー・ランナーの一人に決まった。 Saraさんは両親の介護をしている。 特にMSの母親の介護が中心。 12歳の時にYouTubeに動画を投稿してヤング・ケアラーの問題を訴えて以来 そう…

2011年12月8日の補遺

あれこれ出てきているので、まずは【自殺幇助関連】 BBCの元プロデューサーで末期がんだったGeraldine McClellandさん(61)が昨日、スイスのディグニタスで幇助自殺。「なんでわざわざスイスまで来ないといけないのか。自分の国で死ねないのは英国の政治家…

睡眠薬による「植物状態」からの「覚醒」 続報

睡眠薬zolpidemによって植物状態や最少意識状態から覚醒する事例が 世界中で報告されていることについて2006年の記事を 8月に以下のエントリーで紹介しましたが、 睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/…

障害者自立支援法訴訟の記録本出版記念シンポ&パーティ

DPI日本会議メルマガから転載 書籍『障害者自立支援法違憲訴訟-立ち上がった当事者たち』 (障害者自立支援法違憲訴訟弁護団編)が刊行されました。 これは自立支援法訴訟の戦いの記録です。ぜひご一読下さい! 【書籍紹介ページ】 http://www.seikatsushoi…

2011年12月6日の補遺

マサチューセッツ州の医師会がPAS反対を確認したことを今日のエントリーにしたけど、ハワイでも医師らがPAS反対集会を開いている。:ハワイでもここ数年、合法化ロビーの暗躍しきり。 http://www.hawaiifreepress.com/ArticlesMain/tabid/56/articleType/Art…

MA州医師会が自殺幇助合法化反対を確認

WA州と同じ「尊厳死法」の住民投票の実現に向け、 着々と署名集めが進んでいる米国マサチューセッツ州で、 23000人を超える会員を擁する同州医師会が代議員による投票を行い 1996年以来の医師会の方針を堅持し、自殺幇助合法化反対のスタンスに留まることを…

バイバイ

週末の帰省を終えてミュウを療育園に送っていくと、 詰め所であれこれの報告をした後でデイルームに行き、 座位保持装置に座らせ、「おかあさんといっしょ」のCDをかけてやり、 次は何回寝たら迎えに来るからね、と指を折ってカウントしてから おでこにキス…

「介護の成績表」を州ごとに――米国

「介護の成績表」を州ごとに――米国 米国退職者協会AARPは9月8日、米国の州ごとの高齢者と身体障害者に関する介護サービスと支援の“成績表”、“Raising Expectations: A State Scorecard on Long-Term Services and Supports for Older Adults, People with Ph…

2011年12月4日の補遺

睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/31)のエントリーで話題になっていたzolpidemの効果について、NYTに長い長い記事。:プリントアウトしたので、数日中に、たぶん読みます。 http://www.nytimes.com/2011/…

2011年12月1日の補遺

カナダの“無益な治療”訴訟、Rasouli裁判を継続して追いかけているGlobe and Mailの記事。最高裁が上訴を認めるかどうかの判断が待たれているところらしい。:記事はその他の死の自己決定権関連事件にも触れて、終末期医療の問題として扱っている感じ? でもR…

2011年11月30日の補遺

「重い障害をもつということ」の高谷清氏、広島大学のペスタロッチ―教育賞を受賞。今日、授賞式。 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201110210152.html 【関連エントリー】 高谷清著「重い障害を生きるということ」メモ 1(2011/11/22) 高谷清著「重い障…

Savulescuが「現代医学では“最善の利益”と“道徳的地位”が指標。医師が勝手な中絶拒否するな」

The Medical Journal of AustraliaでJulian Savulescuが 医師のconscientious objection(良心的医療拒否:個人的思想信条による医療拒否)は 「危険な道徳的相対主義」であり、現代医学には無用、と主張。 それに対して、アデレイドの小児科医 Brian Conway…

2011年11月29日の補遺

「いのちのバトン」。要介護者の医療情報や家族情報を筒に入れ、冷蔵庫に入れておく。緊急時に備えた「いのちのバトン」。:週末に出張先で初めて知った。じわじわと普及しているらしい。 http://www.fukushiokayama.or.jp/kasaoka/inotibaton/setumei.htm …

「知事にガツンと言うたった」高校生の法螺ツイートに知事室が反応、校長が謝罪文を迫る

政治家がわざわざスタッフを置いて 毎日、インターネット上に流れる情報の中から 自分に関するものをチェックしている……って、ご存知でした? 米国カンザス州のBrownback知事の「コミュニケーション担当」スタッフ、 Sherrinene Jones-Sonagさんは毎日ツイッ…

2011年11月25日の補遺

一人でも多くの人に読んでもらいたくて、7月11日の補遺で紹介した認知症の人と家族の会顧問、三宅貴夫医師の連載「認知症の妻の介護で見えたこと」(「介護保険情報」2010年4月から2011年3月)がまとめて読めるようになったみたい。この連載は毎月ほんとうに…

平等と人権コミッションから「劣悪な在宅介護が高齢者の人権と尊厳を侵している」と制度改革を求める報告書(英)

平等と人権コミッションは今年すでに 施設での高齢者ケアのお粗末について指摘したらしいのだけど、 今度は1200人の高齢者と友人、家族に在宅ケア体験について調査するなどしたところ、 半数は現在の在宅ケアに満足していると答えたものの、 地方自治体から…

ガーダシルは「子宮頸がんだけじゃなく性器イボも予防」と英国政府がサーバリクスから乗り換え

日本でも当初のサーバリクスにガーダシルが追加され、 いつのまにか「子宮頸がんワクチン」→「子宮頸がん予防ワクチン」と 名称を進化させていくHPVワクチンですが、 英国では「性器イボ予防ワクチン」なる別名もゲット? 余りにもエゲツナイ売り込み戦略が…

2011年11月24日の補遺

メルクがリュウマチの治療薬Vioxxについて、心臓へのリスク情報を隠すなどした違法なマーケティングをめぐり、有罪を認めて3億2100万ドルの罰金の支払いに合意。その他、連邦政府に4億2600万ドル、メディケアに2億200万ドル。:これ、8月に以下のエントリー…

「丁寧なドナー・ケア」は医療職の抵抗感をなくしてDCDをさらに推進するため?

前のエントリーでとりあげた論文について Anesthesia & Analgesiaの同じ号に掲載された論説。 Donation After Cardiac Death and the Anesthesiologist Anesthesia-analogesia, May 2010, Volume 110, Number 5 まず、米国のみならず国際的にも DCDが推奨…

「DCDで生命維持停止直後に脳波が変動」するから「丁寧なドナー・ケアのために麻酔を」という米国医療の“倫理”

何度も取り上げているDCD(心臓死後臓器提供・ここでは特に「人為的」なもの)関連で ある方から、以下の症例報告の論文をいただきました。掲載は去年5月、麻酔学の専門誌。 Processed Electroencephalogram During Donation After Cardiac Death Anesth Ana…

2011年11月22日の補遺

今日のエントリーで高谷医師の「重い障害を生きるということ」と拙著「アシュリー事件」とを不遜ながら並べて書いたことに内心たいそう忸怩たるものを感じていたら、「ホンの本好きマンガ好き」というブログが、この2冊を続けてエントリーで紹介してくださっ…