“HIV感染予防ゼリー”、効果確認できず大規模治験が中止に

6月に以下のエントリーで紹介した女性向け“IHV感染予防ゼリー”ですが、


このニュースで「素晴らしい予防効果」で表彰されていた臨床実験CAPRISA004では
39%の予防効果があるとされていた  tenofovir 含有ゼリー、

その後、
HIV臨床治験ネットワーク the Microbicide Trial NetworkによるVIOCEという治験でも
ジンバブエ南アフリカウガンダの15か所で
5029人のHIV陰性で性行為がある女性を対象に
ゼリーと錠剤について同時に実験が行われていたところ、

The National Institute of Allergy and Infectious Disease (NIAID)の
独立の監査委員会 Prevention Trials Data and Safety Monitoring Board (DSMB)が
定期チェックとして調べた09年9月9日から11年9月30日までのデータによって
tenofovir ゼリーには予防効果がないことが判明。

感染率はそれぞれ6%と6.1%で、
プラシーボ・ゼリーを渡されたグループとの間に差がないため。

DSNBはVOICEに対して治験を取りやめ、
できるだけ早くゼリーの使用をやめるように参加者に通知するよう勧告。

ここで、ちょっと不可解な記述があって引っかかるのは、

ネットワークは全ての参加者に計画変更を通知しているとはいうものの、
ゼリーの安全性に大きな問題があるわけではないため、
本物のゼリー・グループの被験者には12月か1月の受診時まで
使い続けてもらうのだそうな。

FDAはtenofovirの認可を検討する前に
VOICEのデータを検証すると言っている。

別の治験も進行中で、こちらは2年以内に結果が報告される予定とか。


ちなみに、冒頭にリンクした記事で書いたように、
今年6月にCAPRISA004 実験について出ていた指摘は、

「39%の予防率」というのは、実は「61%は予防できない」ということであり、
途上国の女性たちを実験のために感染リスクに晒しているのは
新たなタスキギ実験だ、との指摘でした。