2011年12月6日の補遺

マサチューセッツ州の医師会がPAS反対を確認したことを今日のエントリーにしたけど、ハワイでも医師らがPAS反対集会を開いている。:ハワイでもここ数年、合法化ロビーの暗躍しきり。
http://www.hawaiifreepress.com/ArticlesMain/tabid/56/articleType/ArticleView/articleId/5587/Hawaii-Physicians-Rally-Against-Assisted-Suicide.aspx

英国で今度は70歳のジストニアの女性が医師による自殺幇助を求めている。ターミナルではないが苦痛が耐え難いとの訴え。:報道するのは、やっぱりBBC
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-sussex-16036362

英国で本人にも家族にも知らせずに病院が勝手にDNR(蘇生無用)指定をカルテに書きこんでトラブルになるケースが増えている問題で、ケアの質コミッションが介入し始めているらしい。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/05/nhs-hospitals-warned-resuscitate-orders?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%



90歳、100歳で股関節置換手術やがん手術を受ける患者が増えている米国で、年齢制限すべきでは、という問題が論じられ始めている。:だから、ほら結局、トランスヒューマ二ストたちが描いている「不老不死の近未来ユートピア」ってのはスーパー・リッチだけの特権だったってことだよね。
http://articles.chicagotribune.com/2011-11-30/health/ct-x-surgery-for-old-20111130_1_life-expectancy-health-care-health-insurance

Circumvention Tourismという言葉を作った人がいるのか、もともとそういう表現があったのか。中絶、自殺幇助、生殖補助医療、女性器切除、幹細胞治療……などなど。自分の国では違法だったり高価だったりして受けられない医療を、ヨソの国に出かけてやってしまうこと。どういう訳語がいいのか、たちまち私の頭に浮かんだのは「かいくぐりツーリズム」。:そして、「かいくぐり」でやってきた人に効果があったことを根拠に、「ウチの国でも治験を始めます」と意気揚々と宣言する病院が出てくる。「かいくぐり」を受け入れている国でだって「まだ安全性は確立していない。気をつけろ」と警告が出ていたりもするのに。みんな最先端医療での国際競争を横目でにらんで、やりたくてウズウズしているものだから。
http://prawfsblawg.blogs.com/prawfsblawg/2011/12/circumvention-tourism-traveling-for-abortion-assisted-suicide-reproductive-technology-female-genital.html

研究者がNHSの患者データにアクセスできれば、医薬品開発の研究は進む、という声が上がっている。:人権よりも国際競争力。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/04/nhs-patients-records-private-companies?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%

新たに開発されたダウン症の遺伝子診断。侵襲度が低いので歓迎されている、とか。
http://commonhealth.wbur.org/2011/12/dna-down-syndrome-test/

OECDから先進国の格差拡大に関する報告書。日本では最貧困層10%の平均収入が激減している。格差は大半の国で拡大。
http://www.guardian.co.uk/news/datablog/2011/dec/05/oecd-ineqaulity-report-uk-us?intcmp=239

英国では格差拡大が特にひどい。トップ10%の富裕層の収入が最貧困層10%の収入の12倍で、1985年の格差の8倍にも。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/05/income-inequality-growing-faster-uk?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%

オーストラリアではトップ1%の所得が国民の総所得に占める割合が1950年代以降で最高に。
http://www.canberratimes.com.au/news/national/national/general/australias-rich-getting-wealthier/2382564.aspx?src=enews

オハイオ州が100キロ超えの肥満男児の母親に2年近くも指導をしたにもかかわらず十分な配慮をしないとして、親権をはく奪して男児を施設に入れた件で、お馴染みNorman Fostがコメントしている。「施設入所で肥満が治るわけではないが、軽減はされるかも。目的は肥満解消。男児の睡眠時無呼吸は肥満が引き起こしている可能性があり、たちまちの危険もある。150ポンドを目標に減量できれば無呼吸も治るかもしれない」。論争に。:「目的は子どもの健全な生育環境」ではないのか。「目的は肥満解消」と医療による視野狭窄でメディカル・コントロールは進む。Fostは以下にリンクしたように、児童虐待をやりそうな親を抽出して指導・監督しろと説いている。
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5h9hc-fN3ZADq_XpUW2IVHKhHx5_Q?docId=2d81466654b3434bbba08435a66fe4ab


2011年8月29日の補遺
ここしばらく米国で論争になっている問題で、命にかかわるほどの肥満児については州が介入し親から引き離して治療することの是非。支持論者 としてNorman Fostが「少数のいのちに関わるほどの肥満児では州の介入が命を救うことになる」、反対論は法学者から「そういうケースで州が介入 することが結果を出すとは証明されていない。親元に置いたまま親を指導することは可能」。Norman Fostは結局メディカル・コントロール論者なのでは、と思う。
http://www.latimes.com/health/la-he-childhood-obesity-custody-20110829,0,3696579.story


NYT。在宅療養で医師に往診してもらう患者の方が入院患者よりも幸福度も健康度も高い。:そりゃ、でも、そういうことが可能な環境にいる人の話。最近この手の調査報告が頻出しているで、入院せずに自宅でがんばれという制度誘導がメディケアでもメディケイドでも、そのうちに出てくるんじゃないかと予測している。そういう制度を使って医療を受ける人には、自宅でゆっくり療養できる環境にない人たちも多いのではないかと思うのだけど。それに日本でも事情は全く同じだけど、介護してくれる人がいないと、そんなのできないっすよ。
Bring Health Care Home: Patients who are treated at home by a doctor are happier and healthier.