Ashley関連(10年)

MSN掲示板に“Ashley療法”スレッドが登場、まるで07年のデジャ・ヴ

MSNの健康>妊娠カテゴリーの掲示板に 昨日、Pillow Angelというタイトルのスレッドを立てた人があり、 今日現在も書き込みが続いています。 http://boards.msn.com/Healthboards/thread.aspx?threadid=1799093&boardsparam=Page%3d1 まるで07年の、事実誤…

ソーシャルワークの立場からの“A療法”批判

今年4月の論文。 こういう立場からの批判がもっと出てくるべきだと、ずっと思っていた。 Ashley’s Case: The Ethics of Arresting the Growth of Children with Serious Disability by Gary L. Stein, Journal of Social Work in Disability & Rehabilitatio…

Gatesの一声で、男児包皮切除にエビデンスが出てくるわ、小児科学会もCDCも方針を転換するわ

ここ数年、男児の包皮切除の是非を巡って米国で論争が続いている。 この問題でよく発言しているDiekema医師は、今年2月には、 Diekema医師は 「医学的な利益もリスクも曖昧である」とコメントしていた。 しかし、その後、7月のエイズ会議で Bill Gates氏が安…

“Ashley療法”にオープンな態度を呼び掛けるナースの動画YouTubeに

ナースと称する女性が医療機関の一室と見える場所で、 Ashley事件の概要を解説し、 我々ナースとしては家族が共に暮らそうとする思いに寄り添い、 例え物議をかもしている療法であったとしても家族の要望にはオープンな姿勢で臨もう、と説く動画が 7日、You…

「障害児の涎は薬で抑えましょう」というFDAの“Ashley療法”的発想

神経障害のために飲み込みに問題があり、涎を垂らしてしまう 3歳から16歳の発達障害児を対象に、米国FDAがCuvposa という薬を認可した。 唾液の生成を抑制する。 元々は何十年も前に消化器官の潰瘍のある患者に認可されたもの。 それが涎を垂らす発達障害…

「学校で無料コンドーム」問題に見る「子どものプライバシー権」と「親のプライバシー権」の対立

前の二つのエントリーで「プライバシー権」を考えてみるきっかけになった マサチューセッツ州の「学校で無料コンドーム配布」事件について いくつか記事を読んでみました。 6月8日、マサチューセッツ州Cape Cod市の Provincetown学校委員会が全会一致で通し…

米国のプライバシー権を確立したGriswold事件から断種法へ 2

(前のエントリーの続きです) ④ もう1つ、非常に興味深いのがソドミー禁止法。 米国の多くの州は 獣姦、ソドミー、オーラルセックス、同性愛を犯罪とする州法を定めている。 その後、オーラルセックスはコモン・ローで合法とされたが いくつかの州では肛門…

米国のプライバシー権を確立したGriswold事件から断種法へ 1

香川智晶氏の「死ぬ権利 ――カレン・クインラン事件と生命倫理の転回」について 7月12日に以下の4つのエントリーでまとめました。 Quinlan事件からAshley事件を考える 1 Quinlan事件からAshley事件を考える 2 Quinlan事件からAshley事件を考える 3 Quinlan事…

Quinlan事件からAshley事件を考える 4 :Q判決後と A事件との類似

4.クインラン事件 「第2の物語」 (1~4の4) NJ州最高裁の判決後、しかし病院は呼吸器の取り外しを拒否。 徐々に慣らして「乳離れ」を行い、カレンは完全な自発呼吸を開始する。 すると病院は態度を一変して退院を迫り、 カレンは6月にナーシングホー…

Quinlan事件からAshley事件を考える 3 :最高裁

3.クインラン事件 NJ州最高裁(1~4の3) 1976年1月から州最高裁での審理開始。 原告側弁護士アームストロングが持ち込んだ新たな論点は「無益な医療」。 通常/通常以上の医療の区別から、論点を医療の無益性へと転換し、以下のように主張した。 (1990…

Quinlan事件からAshley事件を考える 2 : 高裁

2.クインラン事件 NJ州高裁 (1~4の2) 1975年4月NJ州のカレン・クインランさんが 交通事故で昏睡状態となり人工呼吸器を装着。 (4月末、ベトナム戦争ではサイゴン陥落) 9月、呼吸器をはずしてやりたいとする父親が 自分を後見人として認めるよう求…

Quinlan事件からAshley事件を考える 1

「死ぬ権利 ―― カレン・クインラン事件と生命倫理の転回」(香川智晶 勁草書房)を読んだ。 クインラン事件は 英語の勉強に熱心だった10代の終わりから20代にかけての事件なので 「事故で植物状態になった女性の親が呼吸器を外したいと裁判ですったもんだが…

W. Peace氏の“Ashley療法批判”がBioethics Forumに

4月28日にMaryland大学で行われた 障害者の権利に対する医療と倫理委の無理解を考えるカンファについては4月3日のエントリーで紹介し、 その分科会で、 アシュリー事件について、一貫して「障害者全体の問題」として批判を続けてきた 障害当事者のWilliam Pe…

Cambridge医療倫理ジャーナルに“Ashley療法”のケーススタディ?

【お詫び】 以下の内容をアップした後で、 何か引っかかりを覚えたまま、あれこれ検索してみたり、読み返したりしていたのですが、 これ、もしかしたら、”Ashley療法”をやってくれという現実の要望が出ているということではなくて、 このジャーナルに、架空…

ナミビアでHIV感染女性への強制不妊手術に抗議デモ

HIV感染を診断された後、ちゃんとした説明もなく 本人の同意もなしに不妊手術を施されたNamibiaの女性3人が、 政府を相手取って損害賠償を求める訴訟を起こしている。 人権団体の調べでは2008年以降、同様の被害が15件確認されている。 The Legal Assistance…

佐々木千津子さんの強制不妊手術

知的障害・貧困を理由にした強制的不妊手術は過去の話ではないのエントリーの ②のところで、ちょっとだけ紹介した映画「忘れてほしゅうない - 隠されてきた強制不妊手術」の続編 「ここにおるんじゃけぇ」の上映会に行ってきました。 主人公の佐々木千津子…

Ashley療法正当化の不確かな将来予測は、選択的中絶や安楽死にも通じている?

Ashley療法、成長抑制を批判し続けている 重症児の母親Clair Royさんが12日のエントリーで、 A療法の正当化は不確かな将来予測に基づいていると指摘している。 例えば、 Ashleyの認知能力は、この先もずっと変わらない、とか まだ始まってもいない生理が必ず…

重症児の親による成長抑制批判の落とし穴

前のエントリーで取り上げたClaire Royさんの成長抑制批判を大きな共感を持って読み、 しかしAshleyの親への批判が最後に向かってしまう方向性に2点ばかり危惧を覚えた。 まず、 「重症児は多くのことを教えてくれる存在なのだ」というのは、 ちょっと、余分…

重症児の親 Claire Royさんによる成長抑制批判

今日のMaryland 大学のカンファレンスのAshley事件の分科会で ビデオ講演を行う 重症児の母親 Claire Royさんが No More Ashley X’s:Say No to Growth Attenuationという自身のブログで 講演内容を公開しています。 今までAshleyと同じような重症児の親から…

Ashley事件とAngela事件の接点はここに……?

3月にオーストラリアQueensland州Brisbaneの家庭裁判所が 重症児Angelaちゃんの子宮摘出を認めた件について、 以下のエントリーで取り上げてきました。 豪で11歳重症児の子宮摘出、裁判所が認める(2010/3/10) Angela事件(豪):事実関係の整理(2010/3/10) Ang…

Ashley事件について、明日William Peace氏講演

4月3日のエントリーで紹介したMaryland大学のカンファレンス Disability, Health Care & Ethics - What Really Matters が いよいよ明日に迫りました。 このカンファでAshley事件についての分科会で講演するWilliam Peace氏が 自身のブログで講演内容を公開…

障害者の権利に対する医療と倫理委の無理解を考えるカンファレンス:Maryland大法学部

4月28日にMaryland大学法学部で 障害者に関する医療と倫理を巡って非常に興味深いカンファレンスが開催されるようです。 主催は The Maryland Health Care Ethics Committee Network と The Law & Health Care Program (L&HCP) タイトルは Disability, Healt…

「Ashley療法は身体の統合性を侵すため、親の決定権の外」とHealth Law Week

Health Law Weekという法律関係のニュースサイトで、 3月19日付で掲載された独自記事が”Ashley療法”を取り上げています。 Protecting disabled children’s right to bodily integrity Health Law Week AllBusiness, March 19, 2010 前半はAshley事件の概要を…

Angela事件の判決文は、Ashley論文(06)と同じ戦略で書かれている 2

(前のエントリーの続きです) ・ 文章の構成上の工夫に、事実を隠ぺいするマヤカシが仕込まれている。 隠ぺいまたは情報操作が試みられているのは主として以下の点。 ① けいれん発作は薬でコントロールされており、重い生理によって誘発されることは「可能…

Angela事件の判決文は、Ashley論文(06)と同じ戦略で書かれている 1

Angela事件の判決文については3月11日にこちらのエントリー2つで 問題点を主に5点、指摘しました。 その冒頭で私が『絶句……』と書いたのは、 あの判決文の異様さ、「普通でなさ」に、 “Ashley療法”論争の当初、06年の主治医論文を読んで感じた「普通でなさ」…

重症児の子宮摘出承認でダウン症協会前会長・上院議員が検察に行動を求める(豪)

Angelaちゃんの子宮摘出が認められたことをうけ、 Queenslandの全ダウン症候群協会会長でリベラル派の州議会上院議、Sue Boyce氏が 検察に対して行動を求めた。 今回の家庭裁判所の決定を「21世紀に理解不能」 「障害のない11歳の少女から子宮が摘出されたら…

Angela事件の判決文を読む 2

(前のエントリーの続きです) ③ Angelaの「生命の危機」はもちろん、健康問題すらどこにあるのかがはっきりしない。 ・「エビデンスにより、子宮摘出は緊急であり必要」とも どうせAngelaは普通の青少年・成人として暮らすメリットはないのだから、 長期的…

Angela事件の判決文を読む 1

Angelaケースの判決文を読んでみました。↓ 絶句……。 正直、私はもう気力がなくなりそうです。 が、どうも口だけは勝手に動く業でも背負っているみたいなので 「なんで、こんなのがまかり通るんだ?」と頭の血管がブチ切れそうになった 問題点をまとめてみま…

Angela事件(豪):事実関係の整理

今朝のエントリーで紹介した豪の重症児の子宮摘出訴訟について。 【判決文】 http://www.austlii.edu.au/au/cases/cth/FamCA/2010/98.html えらそーにリンクしてみたものの、実は判決文はまだ読めていないので、 事実関係の情報ソースは以下の記事3本のみで…

豪で11歳重症児の子宮摘出、裁判所が認める

オーストラリア、クイーンズランドの11歳の重症児Angelaに対して、 生理が不順で貧血を起こしたり、てんかん発作を誘発しているとの理由で 両親が子宮摘出を求めていた裁判で、 Queenslandの家庭裁判所は2月16日、 両親の訴えを認める判決を下した。 Angela…