Gatesの一声で、男児包皮切除にエビデンスが出てくるわ、小児科学会もCDCも方針を転換するわ

ここ数年、男児の包皮切除の是非を巡って米国で論争が続いている。

この問題でよく発言しているDiekema医師は、今年2月には、
Diekema医師は 「医学的な利益もリスクも曖昧である」とコメントしていた。

しかし、その後、7月のエイズ会議で
Bill Gates氏が安価なエイズ対策として包皮切除を推進しようと発言したのを知り、
これはDiekemaも近く2月の発言を撤回するだろうなと踏んでいたところ、

案の定……。

なんでもアフリカで3つも臨床実験をやって
包皮切除にはエイズ予防だけでなくHPV感染やヘルペス予防効果があるとの
科学的なエビデンスが出てきたのだとか。

2005年に改定された米国小児科学会(AAP)のガイドライン
CDCのガイドラインも医学的な必要性が認められないとして
ルーティーンとしての包皮切除は勧めないとの立場をとっているものの、
今回のアフリカでの調査結果を踏まえて、
両者とも見直しを検討中なのだとか。

DiekemaはもちろんAAPの包皮切除検討班のメンバーで

「過去10年間の文献を調べると、効果は明らかで、
医学的な利益があると認められてきました。

どの子どもにもルーティーンとしてやるだけのエビデンスがあるかどうかは
分かりませんが、AAPからは今までよりも少し強く推奨する勧告が出るかもしれません」

もちろん、こうなってくると包皮切除の実施率が、
米国の平均56%であるのに対してWA州では23%と、
ゲイツ財団のおひざ元のWA州での実施率の低さは、
やはり大問題なのでしょう。

このSeattle Timesの記事のタイトルは
WA州がエビデンスを受けて包皮切除を進めそうだ、というもので、

一応、義務付けではなくあくまでも親の選択だとはしながらも、
ワシントン大学グローバル・ヘルス(これまた、いかにも)の教授が
「親は子どもに最善の利益を望むものですが、
それでも生まれたばかりと言う時に、子どもが17歳から19歳になった頃の
エイズや性病予防のことまで考えられる人はそうそういません」と発言。

そのココロは、やっぱり、
親は息子が生まれたばかりの時にそこまで先を見通せないのだから
生まれた直後にやっておいたほうがいいですよ、と専門家がちゃんと勧めましょうね、
という含みとしか思えず……。



Bill Gatesが「安上がりなエイズ対策として包皮切除を」と考え付いたら、
それを施策として世界中で推し進めるために、
まずエビデンスが用意され、

それを待ってAAPもCDCもWHOも足並みをそろえて動き出す。

米国内で率先するのは、もちろんWA州で――。
もちろんシアトルこども病院、WA大学医学部が旗振り役で――。