Ashley事件とAngela事件の接点はここに……?

3月にオーストラリアQueensland州Brisbaneの家庭裁判所
重症児Angelaちゃんの子宮摘出を認めた件について、
以下のエントリーで取り上げてきました。


そして、その判決文を読んでみたところ、
一見、理由として挙げられていると見える、けいれん発作や貧血は現在は収まっており、
侵襲度の高い手段によって早急に対処する必要のあるような「健康問題」も
まして「命の危険」に当たる事実もなく、

むしろ判決文の書き方には多くのマヤカシや隠ぺいのトリックが仕掛けられていること、
その「文章のサブリミナル」とでも呼びたいトリックが
Ashley事件の主治医らの06年論文と同じヤリクチと思えることを
以下の2つのエントリーで指摘しました。


すなわち、
Ashley事件がSeattleで起こったことに必然性があったように、
Angela事件がQueenslandで起きたことにも訳があるのでは……と考えていたのですが、

まさか、こんなに早く行き当たるとは思っていませんでした。
今日、以下のLancetの論文を見つけました。


1980年から2008年まで181カ国の出産時の死亡件数の統計を分析した研究。

大きく改善が見られるという結果の公表については、
改善が報告されると、先進国から途上国への援助が鈍るとして
Lancetに掲載を見合わせるよう圧力がかかったとNYTimesが報じたことから、
ガーナの母子保健関係者がIHMEのディレクターMurray医師の発言に反発し、
今度はMurray医師が誤解だと反論するなど、
現在ちょっとした騒ぎを巻き起こしている論文です。

しかし、ここで目を引かれるのは、その騒ぎではなく、
上記リンクのNY Timesの記事の、以下の一節。

The new report comes from the University of Washington and the University of Queensland in Brisbane, Australia, and was paid for by the Bill and Melinda Gates Foundation.
(ゴチックはspitzibara)

この論文、
Washington大学とQueensland大学との共同研究で、資金元はゲイツ財団

そうと知ると気になるので、上記Lancetの当該ページを覗いてみると、
論文著者はWashington大学IHMEの所長Murray医師を含む9人で、
一人を覗いて全員がIHMEの所属。

残る一人が、Queensland大学のAlan D. Lopez医師。

それで思い出して、
Murray医師が考案したDALYに関するエントリーを覗いてみたところ、
IHME所長として招聘されたばかりのMurray医師に関するSeattle Post-intelligencer紙の記事内容を
私自身が08年に以下のようにまとめていました。

SP-I紙が焦点を当てるのは
Murray氏の「爆弾言動」をめぐる“過激さ”と
彼の爆弾発言の洗礼をかつてのWHOの職員時代に浴びて以来
一緒に世界の医療データの見直しを行ってきた
豪のクイーンズランド大教授Alan Lopezとの関係。


Queensland 大学のLopez医師は、なんと、
Murray医師の長年のパートナーだったのです。

3月にAngela事件を聞いた時に思い出せなかったのが迂闊でした。

ついでに、
IHMEのGlobal Burden of Diseaseプロジェクトについて書いたエントリーを覗いてみたところ、
このGBDプロジェクトに参加しているのはWHOの他、
米国のWashington、Harvard、Johns Hopkinsと、豪のQueenslandの4大学――。


もしかしたら、
Angelaちゃんの主治医のDr.Tって、
Queensland大学(Brisbane)の人だったりして……?