Ashley関連(09年)

重症児のコスメティックな手術(Wilfond論文) 2

Wilfond医師が「重症児へのコスメティックな手術も親の決定権で」というエントリーで取り上げた シアトル子ども病院のWilfond医師の以下の論文について、 何度かに分けて考えてみたいことが沢山あるので、 上記リンクのエントリーをシリーズ1と考え、 この…

Wilfond医師が「重症児へのコスメティックな手術も親の決定権で」

Benjamin Wilfond 医師と言えば、 シアトル子ども病院Trueman Katz 生命倫理センターのディレクターで ”Ashley療法”論争にもメディアやネットにちょっと怪しげな立場で登場、 去年のワシントン大学の成長抑制シンポにも登場していたし、 その後の成長抑制ワ…

子ども病院はWPASとの合意を覆していた? (A事件)

久々にAshley事件について新発見。 WPASの調査報告書のシアトル子ども病院との合意内容を読んで ずっと頭に引っかかっていることの1つに、 発達障害児への成長抑制は裁判所の命令なしに行わないとの項目の中に、 「病院はWPASと協議した上で2007年9月…

問題を指摘しつつ「親の言うことは額面どおりに」と結論する“A療法”論文

前のエントリーに続いて、いただきもので the Hastings Center Report, January-February 2009に掲載の論文 “Respecting Children with Disabilities – and their parents” 「障害のある子どもを尊重すること ――親も含めて」 著者はThe Hastings Centerの上…

「自然に反する」A療法批判への批判論文

送って下さった方があって、 Bad Clipple さんが2月4日のブログエントリーで紹介していた Hastings Center ReportのAshley事件関連論文は以前から手元にあり、 読んでもいたのですが、なかなか頭の整理が出来ずにいました。 でも、そろそろ、まずは3本の…

成長抑制正当化「まるで催眠術」と全盲の作家Kuusisto氏

先天的な視覚障害者で作家のStephen Kuusisto氏が 自身のブログでAshley事件の最近の展開を取り上げて いくつか鋭い指摘をしています。 まず、シアトル子ども病院で成長抑制が強引に正当化されようとしている事実に注意を喚起し、 障害学の学者や障害者の人…

Bad Cripple さんのAshley関連最新記事

先日紹介したBad Crippleさんが Ashley事件について新たにエントリーを書いておられます。 私もあまり人のことを言えないけど この人が書くものは、いつも長い。 そのため読んだこっちも言いたいことがありすぎて整理できないので とりあえず資料が散逸しな…

Obama政権の障害者施策担当はUWの障害学教授

Obama政権が障害者の人権問題対策担当に任命したのは Paul Steven Millerという著名な障害学の学者でワシントン大学の教授。 もちろん、そういう人だから ほかにも様々な肩書きがあるし、 法学を中心に多様な領域で活躍しておられるようなのですが、 シアト…

次は米小児科学会が成長抑制を承認するかも?

今回の成長抑制ワーキング・グループの結論らしきものを読んで、 私が真っ先に思ったことの1つは、 あ、この筋書きを書いたのはNorman Fostだ……ということ。 当ブログではAshley事件を詳細に追いかけてくる中で、ある段階から Diekema、Wilfond両医師の恩師…

「裁判所の命令なしに成長制限しない」との約束はここにある

こちらがWPASの調査報告書から 病院が裁判所の命令なしに成長を制限する医療介入を行わないことを明記した箇所。 (「成長を抑制する医療介入」とは、 ホルモンによる身長抑制のみでなく 子宮摘出と乳房芽野切除も含む意) In order to ensure that a court …

子ども病院は「裁判所の命令なしに成長抑制しない」と合意していた

WPASのCalson弁護士が成長抑制のワーキング・グループに入っているのを見てから ずっと気になっていて、 シンポのレポートを読んでからも 頭に噛み付いていたことを、前のエントリーを機に確認してみたら やっぱりそうでした。 2007年5月にシアトル子ども病…

Bad Crippleさんが戻ってきた(成長抑制批判)

2007年初頭の“Ashley療法”ニュースブレイクと同時に 説得力のある批判の記事を書いた中途障害者の文化人類学者 Bad Cripple こと William Peaceさんが 小山さんのWhat Sorts of People のシンポ報告を読んで、 さっそくブログに記事を書いている。 Ashley Tr…

親と障害学の対立の構図で議論から締め出されている他の存在も見えなくなっている

今回の成長抑制シンポのレジュメを読んでいると、 改めて不快感を覚えるのは、 病院とAshleyの父親が当初から 「愛情に満ちた重症児の親」 vs 「政治的プロパガンダに満ちた障害者運動」という 対立の構図を描き続け、維持することに意を用いてきたという…

成長抑制は結局は3点セットの"A療法"になる?

これは、What Sorts of Peopleの小山さんの記事に対するコメントで カナダAlberta大学のSobsey教授が指摘している点でもあるのですが、 今回の子ども病院のワーキング・グループは成長抑制のみにフォーカスしたもので、 ホルモン投与による成長抑制のみが行…

Ashley父がA療法プロモのため作った概念図

これもまた、今とても重要な情報だと思うので 以下は去年5月16日の「Ashley療法概念図」というエントリーの再掲です。 現在も父親のブログにありますが、細かい部分に修正が行われているかもしれません。 この人の性格からして、逐次練り直して、改定して…

Ashley父の”A療法”プロモ計画

今、とても重要な情報だと思うので、 以下は去年1月21日のエントリー「父親がやりたいのは実験?」の再掲です。 Ashleyの父親のブログから”Ashley療法”を世界に広めるための計画を このエントリーの後半にまとめています。 彼は現在もAshleyに行われたのと同…

病院内倫理委員会の”利益の衝突”も申告を義務付けるべき

米国では現在、 民主党のGlassley上院議員らが行っている調査の結果が報告されて 医薬品や医療機器の研究や開発を巡って、 著名研究者らが関連業界からの金銭授受を 規定のとおりに正しく申告していなかった問題が 大きくクローズアップされ、 特に児童精神…

成長抑制一般化でA事件はめでたく幕引き:でもAshley父は「世界中に広めよう」と

今回の成長抑制シンポの詳細を読んで 私の頭に真っ先に浮かんだのは、 ずっとずっと懸念していたことが、 とうとう、やっぱり、ついに現実になってしまった……という思い。 シアトル子ども病院は、多くの重症児の尊厳と引き換えに これでAshleyケースという非…

重症心身障害児・者にはアドボケイトがいない、ということ

“Ashley療法”論争からずっと考えていることの1つは いわゆる重症心身障害のある人たちには 本当の意味でのアドボケイトがいないんじゃないか、ということ。 私は日本の事情しか分からないし 日本の事情にしても、ロクにまともに勉強したわけではなく 狭い範…

成長抑制を巡って障害学や障害者運動の人たちに問うてみたいこと

23日の成長抑制シンポで 会場の発達障害のある子どもの母親数人から以下のような発言があったとのこと。 子どもが成長して身長が伸びると父親にも抱き上げることが出来なくなり、 散歩にすらつれて行ってやることが出来ない。 移民の女性は、成人した障害の…

小山さんWhat Sorts ブログで成長抑制に議論呼びかけ

昨日、自身のブログに23日の成長抑制シンポの報告をアップされた小山エミさんが Alberta大学のSobsey氏らがAshleyケースを批判しているWhat Sorts of People ブログに登場。 シアトル子ども病院のワーキング・グループが 成長抑制の対象となる可能性のある重…

小山エミさんの成長抑制シンポ報告

Ashley事件を当初から追いかけてくださっていて 去年5月のWUのシンポにも行かれたOregon州在住の小山エミさんが 今回のシンポにも行かれ、去年と同様に会場から鋭い指摘をされたようです。 詳細な報告をブログにアップされています。 英語で相当な長文で、…

Seattleの医療情報サイトに“成長抑制シンポ”情報アップ

1月23日に予定されている シアトル子ども病院の成長抑制療法に関するシンポの情報が 14日、シアトル地域の医療情報サイトにアップされました。 Public forum on growth attenuation in children with profound disabilities Seattle/LocalHealthGuide, …

個人的”Ashley事件”2周年 Part 2

この1年間の医療・障害・生命倫理を巡る英米での動き概観 英米の医療や障害者関連のニュースを簡単に追いかけてきた中で Ashley事件からの2年間、特に去年1年間の動きで印象的だったことを。 ・ ワシントン州の住民投票で自殺幇助が合法化されたこと。米国…

個人的”Ashley事件“2周年 Part1

Ashley事件、2008年の動き。 昨年1月5日に個人的“Ashley事件”一周年のエントリーで書いたように、 私がAshleyケースについて初めて知ったのは 正月休みが明けた2007年1月5日のことでした。 それで今年もやはり「正月休みも終わりだな」と思うと…

Sobsey氏、「知的障害児に道徳的地位ない」Singer説を批判

「人はただ人であることによってではなく、 高度な認知能力を示すことによって道徳上の地位を認められるべきだ」とし、 それゆえに 「重症の知的障害のある子どもを生かしておくことは 倫理上の義務からではなく、あくまでも親の選択権によって行われるべき…

Singerが障害当事者の活動家に追悼エッセイ

クリスマス・イブにNY Timesに。 タイトルは「にもかかわらず幸福」。 重度身体障害のある弁護士で何冊かの著書もある障害者運動の活動家、 今年6月に亡くなったHarriet McBryde Johnsonさんとの交流について書いたもの。 2001年にCharleston大学でSing…

「障害児については親に決定権を」とSinger講演(YouTube 4:34)

前に触れた、9月の認知障害カンファでのSinger講演。 YouTube のビデオはこちら。 この部分の内容をざっと以下に。 親には子どもの扱いに関する発言権がある。 例えば、子どもにダウン症など手術が必要な障害があると分かった時に、 それでもその子が欲しい…

What Sorts のSinger 批判第2弾

今ちょっと余裕がないのと、 なんだかアカデミックな哲学議論なので たぶん余裕があってもついていけない気もして、 内容をまとめて紹介することが今のところできませんが、 英語で読むだけの興味のある向きもあるかもしれないし、 後々のための自分自身のメ…

知的障害者における「尊厳」と「最善の利益」の違い議論

17日のエントリー認知障害カンファめぐり論評シリーズがスタート:初回はSinger批判で紹介した What Sorts of People のSinger発言に関する記事に いくつか長文のコメントが寄せられて、興味深い議論が行われています。 細部の理解がいまひとつで完全に理解…