病院内倫理委員会の”利益の衝突”も申告を義務付けるべき

米国では現在、
民主党のGlassley上院議員らが行っている調査の結果が報告されて
医薬品や医療機器の研究や開発を巡って、
著名研究者らが関連業界からの金銭授受を
規定のとおりに正しく申告していなかった問題が
大きくクローズアップされ、

特に児童精神科の分野では
Harvard大学のBiederman医師ら
小児への投薬を率先して進めてきた研究者らと製薬会社との関係が明らかになるにつれて、
研究における「利益の衝突」への透明性の欠如が
これまでの研究が提示してきた治療のエビデンスに影響しかねない
大問題となっているところで、

研究を巡る利益の衝突の透明性を担保するための法律の改正案が
議会に提出されているわけですが、

小山さんが書いてくださった成長抑制シンポのレポートを読んでいたら、
(28日に日本語版もブログにアップされましたが、英文の方が詳細です。)

重症児への成長抑制に関する個別の検討に裁判所の判断を仰ぐことは無用で
病院内の倫理委員会に様々な立場の人を入れて検討すればそれでよい、との
主張が(説得力が乏しいまま)行われている箇所で

ふっと、この医学研究における利益の衝突の問題と連想が繋がった。

もしも、どうしても裁判所をすっ飛ばして
病院内の倫理委員会の検討だけで成長抑制を認めてもよしとするのであれば、
その倫理委員会の議論の中立性を担保し、
この侵襲度の高い、子どもの身体の全体性や尊厳を損なうものである可能性のある療法の
恣意的な利用や濫用を防ぐためには

倫理委員会には
成長抑制を希望する親やその周辺との利益の衝突について
きちんと申告する義務を負わせるべきなんじゃないでしょうか。

そして、その義務は
第1例であるAshleyケースについても遡って
2004年5月の特別倫理委員会に対して要求してほしいものです。