子ども病院は「裁判所の命令なしに成長抑制しない」と合意していた

WPASのCalson弁護士が成長抑制のワーキング・グループに入っているのを見てから
ずっと気になっていて、

シンポのレポートを読んでからも
頭に噛み付いていたことを、前のエントリーを機に確認してみたら

やっぱりそうでした。
2007年5月にシアトル子ども病院はWPASとの間で
「裁判所の命令なしに成長抑制は行わない」と合意しています。

以下はWPASの調査報告書概要(後半)というエントリーから

シアトル子ども病院がWPASと合意した内容について書かれた当該部分を抜き出したものです。

裁判所の命令なしに発達障害のある人に成長抑制を行わない。裁判所の命令があった場合、子ども病院はさらに倫理委員会で検討を行う。方針と手順についてはWPASと密に相談し、2007年9月1日までに策定する。 さらに、それら手続きなしに治療が行われたり薬が処方されることがないよう、病院のコンピュータ・システムにセーフガードを儲ける。また成長抑制療法に裁判所の許可が下りた場合は、プライバシー法の範囲で、子ども病院はWPASに通知する。


WPASは調査の過程でAshley事件の真相に行き着きながら
他の障害児を守るほうを優先して、つまりAshley事件を不問にすることで
他の障害児を守るための譲歩を迫って、つまり「取引」したんだろうな……とは想像していたのですが、

それがこうなるのでは、結果的に他の障害児を守れないことに繋がってしまいましたね。
しかし、これでは、あんまりではないでしょうか。

障害者の人権を守るために公の調査権限まで持つという謳い文句で調査に乗り出したはずのWPAS。
その人権擁護団体から弁護士がワーキング・グループに加わっていながら

ワーキング・グループの出した「妥協点」とは
「裁判所の命令など不要。病院の倫理委の検討で認めてよい」というもの。

自分の組織との合意すら平気で破らせてしまうというなら
じゃぁ、アンタらの人権擁護って、一体なんなんだ────?


真実を知りながら政治的圧力に屈せさせられる人たちがどんどん増えているはずだ……と思う。
良心の呵責からでも、憤りからでも何でもいいから、
誰か勇気を持って真実を語る人が出てきてくれないものか……。

【追記】
その後、元の報告書と、病院が同時に出したプレスリリースで当該箇所を確認しましたので、
この後のエントリーで、原文のまま引っ張り出しておきます。