2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

英公訴局長の自殺幇助ガイダンスに大物法曹関係者らから批判

MS患者のDebby Purdyさんの訴訟を受けて、 英国公訴局長が自殺幇助に関する法解釈のガイダンス案を出し、 現在コンサルテーション(日本のパブコメにあたる)が行われていることは、 当ブログでも追いかけてきたとおりですが(詳細は文末にリンク) そのガイ…

2009年11月12日の補遺

日本語情報。射水の呼吸器取り外し事件で、外科医、不起訴へ。:新聞の見出しが、いつのまにか「呼吸器外し」から「延命中止」に変わっている。最近、こういう微妙な言葉の言いかえが、あっちでもこっちでも頻繁に目に付く。すごく気になる。 http://www.yom…

Dr.Death の Exit International に警察の家宅捜査

久しぶりに、ニュースタイトルを見て、にんまりした――。 オーストラリアのDr. Death こと Dr. Philip Nitschkeについて 当ブログでも、その動向をかなり追いかけてきていますが、 そのDr. N の主催するExit International の事務所に 警察が家宅捜査に入った…

“現代の奴隷制” 輸出入される介護労働

以下の文章を書いたのは3年近く前のことです。 限られたスペースでは書ききれませんでしたが、 インターネットには被害を受けた女性たちの詳細な体験談がたくさんあり, 着任した日に雇い主にレイプされた人や、何年も休みなしで働かされている人など 読んで…

NH州の自殺幇助合法化法案、委員会で否決

以前、こちらのエントリーで取り上げたように、 WI州医師会が自殺幇助合法化指示案を拒否、NH州では下院が法案検討へ(2009/8/18) 18歳以上のターミナルな病状の人への毒物の処方を合法化する法案提出を NH州の下院の委員会が検討していましたが、 10日、法務…

2009年11月10日の補遺

久しぶりにモンタナの自殺幇助合法化問題の関連記事。11月中に最高裁の判断が出るかも? http://www.montanakaimin.com/index.php/news/news_article/panel_debates_montanas_assisted_suicide_stance/4270 DSMの2012年の改訂で、アスペルガー症候群を削…

ダウン症スクリーニングでShakespeare「技術開発と同じ資金を情報提供に」

10月28日に取り上げた以下のニュース ダウン症胎児急増するも出生数は減少(英)に、 Ashley事件関連を皮切りに当ブログで何度か発言を取り上げてきた英国の障害学の学者 Tom Shakespeare氏が当日の the Guardian紙で反応していました。 10月28日に報告され…

2009年11月9日の補遺

これ、気になるので、改めてちゃんと読みたいと思うのだけど、Obama政権の医療保険制度改革案で、政府の助成を受けて加入した医療保険では選別的妊娠中絶はカバーされないことになっているらしい。 http://www.nytimes.com/2009/11/09/us/politics/09abortio…

Obama医療保険改革で「祈りによる治療」給付が問題に

どーでもいいことなんですけど、このエントリーをアップした午後6時前現在、 訪問者カウントに 7 が 5つ並んでいます。 なんか、いい気分です。こんな地味なブログに寄ってくださって、ありがとうございます。 ----- ----- 医療保険制度改革案…

スコットランドの世論調査で3分の2以上が自殺幇助合法化を支持

Margo MacDonald 議員から 自殺幇助合法化法案が議会に提出されているスコットランドで The Sunday Times紙が行った世論調査で、 3分の2以上が自殺幇助の合法化を支持する、と。 最も支持率が高かったのは35歳から44歳で、 それ以上の年齢層では支持率が低…

2009年11月8日の補遺

Obama政権の医療保険制度改革10年計画(予算1,1兆ドル)が下院を通過。Palin元アラスカ知事が問題にしていた“死の委員会”と事前指示書は盛り込まれているものの、自殺幇助は入っていないらしい。 http://www.nytimes.com/2009/11/08/health/policy/08health.…

新興国でのワクチン開発・製造に、巨大製薬会社がマーケット・チャンスと乗り出している

元記事はWall Street Journalの調査情報。 巨大製薬会社 Novartisが中国のワクチン製造会社の株を85パーセント買いとったり、 夏には、Sanofi-Aventis SA社がインドで同様の動きを見せるなど、 これまで、ごく基本的な病気のワクチンしか接種してこなかっ…

象牙海岸の有害廃棄物事件で、被害者への賠償金を現地で詐取する動き

英国の石油企業 Trafigura が、有害と知りつつ象牙海岸に廃棄物を撒いて 多くの死傷者を出した2007年の事件については、当ブログでも以下のエントリーで追いかけてきましたが、 象牙海岸の悲惨(2007/12/15) 「象牙海岸で先進国の有害ゴミによる死傷者多数」…

自殺幇助合法化法案が出ているカナダで「終末期の意思決定」検討する専門家委員会

カナダの議会に自殺幇助合法化法案が提出されていることは 当ブログでも追いかけてきた通りですが、 そんな中、the Royal Society of Canada(RSC)が 終末期の意思決定について専門家委員会の立ち上げをアナウンスしています。 詳細は、いつもお世話になって…

2009年11月6日の補遺

米軍での乱射事件に絡んで、この事件は精神科軍医が起こした「警察による自殺幇助」事件なのではないかという話が浮上している。:「警察による自殺幇助」という概念については、信じがたいことだけど米国ではFBIの公式カテゴリーの1つになっている。当ブロ…

QOL低すぎると障害乳児の生命維持停止求め「無益な治療」訴訟(英)

先天性筋無力症症候群(CMS)の1歳男児 Baby RBの治療を巡って、 QOLが低すぎて救命は本人の利益にならないので「穏やかに静かに尊厳のある死に方を」と 基本的な生命維持の停止を求める病院側と母親に対して、 RBは呼吸器こそ必要としているが脳そのものに…

「食べられなくなったら死」が迫っていた覚悟

11月4日のエントリー「老人は口から食べることができなくなったら死」……についてで コメントをいただくたびに、自分には表現しきれていないもどかしさを感じていたのですが、 このブログを始めた当初から、ずっと寄ってくださっているmug*il*34さんが このエ…

2009年11月4日の補遺

自殺幇助合法化法案が審議されているカナダで、四肢麻痺の議員を中心に、障害当事者から「人の生が生きるに値するかどうかについても、死ぬべき時期についても、決める権利など誰にもない」と。 http://www.ottawacitizen.com/news/Disabled+advocates+want+…

自殺幇助合法化を訴えるためBBCに手紙を書いて自殺した健康な老夫婦

「死の自己決定権」アドボケイト Dignity in Dyingの活動を支援していた夫婦だったとのこと。 Dennis Milner氏(83歳)と妻のFloraさん(81歳)は共に健康だったが、 自立生活が送れなくなる前に人生を終わらせたいと望み、 子どもたちにクリスマス前に自殺…

「老人は口から食べることができなくなったら死」……について

先日、某所で聞いた高齢者介護に関する議論の中で 「口から食べることが出来なくなったら死」という説が出てきた。 英米での「死の自己決定権」議論を追いかけている私としては、 パワーポイントに映し出された瞬間に、 ぎくりと全身がこわばってしまう言葉…

Diekema & Fost 論文を読む 6:司法の否定

「反論25」で取り上げられている最後の批判の論点は 「これほど重大な医療決定では、裁判所の判断が必要」。 しかし、これは、もともと2007年5月の記者会見で 病院側が公式に違法性を認めた点です。 それを改めて論駁して「裁判所の判断は無用」とまで主張…

Diekema & Fost 論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」

4月のDiekema&Fost論文の「反論25」で取り上げられているのは 倫理委の検討が不十分だという批判。 具体的には、 ・ Ashleyの利益だけを代理する人物が検討過程にいなかった。 (これは小山さんが2007年5月のシンポで会場から指摘された敵対的審理の不在…

Diekema & Fost 論文を読む 4:窮鼠の反撃?証明責任の転嫁

4月のDiekema & Fost 論文の眼目は、 これまで出てきたAshleyケースに対する批判の論点に対して反駁する、というもの。 主要な批判の論点を25点挙げて、それに1つずつ反駁して見せた後、 (一つ一つは相変わらず論理が飛躍していたり、ウソやマヤカシに満…

Diekema & Fost 論文を読む 3:政治的判断を否定

今回の論文に初めて出てきた内容として、私が最も注目したい箇所は やはり「反論25」で、然るべき手続きがなかったとの批判に反論している部分にあって、 If the institution had any self-interest in this case, it would have been to not perform thes…

Diekema & Fost 論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正

私は英語でも日本語でも書いているのだけど、なぜか他には誰も触れない、 しかし相当重大なウソなのですが、 2006年のDiekemaらの論文はAshleyのホルモン療法の期間を 実際よりも約1年間短く報告しています。 おそらく論文を書いた時点では、親がブログを立…

Diekema & Fost 論文を読む 1:倫理委に関する新事実

Diekema、Fost両医師が今年4月に Bioethics誌に論文を書いて Ashleyケースへの批判に反駁していることを10月1日のエントリーで紹介しました。 手に入れてくださる方があって、その後フルテキストを読むことができました。 大筋としての印象は、 2006年…