新・優生思想

新生児スクリーニングは「精神遅滞のような重大な問題や死」を防ぎ「これからの世代を助ける」ため

March of Dimes: A Parent's Guide to Newborn Screening March of Dimes によって作られた、 妊娠中の夫婦に向けた新生児スクリーニングの解説ビデオ。 それによると、生後2日以内に踵からの採血で行い、 疑いがある場合には、再検査を行うこととされてい…

新生児スクリーニング、去年から24の病気に(WA州)

Health Link: Genetic Kids Test シアトル子ども病院のサイトで確認したところ、 2008年7月26日の放送のようです。 去年7月まで、ワシントン州の新生児には 鎌状赤血球症や嚢胞性線維症など 10の遺伝性の疾患について遺伝子診断が行われていたが、…

「知的障害の遺伝子を特定、さぁ予防や治療の戦略を」と研究者

The American Journal of Human Genetics誌に発表された論文で、 別の病気や障害を伴う症候群型でない知的障害に関与する遺伝子を特定した、 この遺伝子TRAPPC9の変異が世界中の知的障害の50%の原因に関与している、と。 また、同誌上で他にも2本の論文…

ダウン症スクリーニングでShakespeare「技術開発と同じ資金を情報提供に」

10月28日に取り上げた以下のニュース ダウン症胎児急増するも出生数は減少(英)に、 Ashley事件関連を皮切りに当ブログで何度か発言を取り上げてきた英国の障害学の学者 Tom Shakespeare氏が当日の the Guardian紙で反応していました。 10月28日に報告され…

ダウン症胎児急増するも出生数は減少(英)

The British Medical Journalに発表された調査で、 イングランドとウェールズにおいて2008年に 胎児がダウン症と診断されたケースは1843例で 1990年の1075例に比べて48%も増加。 そのまま生まれていれば出生数も48%増加しているはずのところ、 実際に…

「認知症はターミナルな病気」と、NIH資金の終末期認知症ケア研究

前のエントリーで触れた NEJMの認知症終末期ケア関連論文の1。 米国NIHが資金を出している、この研究 その名称からして、なにやら臭うのだけれども、 The Choices, Attitudes, and Strategies for Care of Advanced Dementia at the End-of-Life (CASCADE)…

オレゴンで「尊厳死法を選ばずに死んだ患者」の研究

Oregon州の2人の医師(Dr. Katrina Hedberg, Dr. Susan Tolle)が 尊厳死法ができた1998年から2007年までに同州で死んだ人のうち、 尊厳死法を使うことを選ばなかった大多数について研究を行い、 使うことを選ぶのは、よほど主張の強い人、 同州で…

NC州に優生手術の歴史を認める記念碑

NC州では、 エセ科学と州当局が主導したプログラムによって 優生委員会の了承の元に、20世紀中に7600人以上が不妊手術を強制された。 プログラムは1929年から1970年まで続き、 NC以外にも31の州で優生法が成立した。 多くの州が40年代にはだんだんと行わなく…

WA尊厳死法 第1例は障害のある失業者

第1例目の自殺者が障害のために働けなくなった人だったというのは 前のエントリーを書いた時に初めて出てきた情報だったので 情報源とされる22日のNY Times の記事を読んでみた。 裁判書類と弁護人よると、Linda Flemmingさんは離婚しており、 5900ドルの負…

非侵襲出生前診断テストの倫理問題をJAMAの論文が指摘

いつもお世話になっている Patricia Bauerさんのブログ記事から。 米国医師会ジャーナルJAMAに掲載の論文(Peter A. Benn & Audrey R Chapman)が 一年以内には商業利用がスタートすると思われる非侵襲出生前診断テストについて 重大な倫理問題を懸念。 まず…

ペルー、フジモリ政権下で30万人の先住民女性に強制不妊手術

1970年代の半ばまで強制的不妊手術が行われていたことを知ったのは何年か前のことで 自分の思春期というのは、まだそんな時代だったのだ……と衝撃を受けた。 でも、「ついこの前」としか思えない1990年代にも 強制的不妊手術が行われていたなんて、先月まで知…

安楽死支持、GPでは緩和ケア専門医の3倍(英)

Palliative Medicine誌に発表されたQueen Mary 大学の研究で 英国の3700人の医師に調査を行ったところ、 GPの3分の1が安楽死または医師による自殺幇助を支持。 緩和ケアの専門医では、支持したのは10人に1人以下だった。 今年すでに発表された別のGPへの調…

保守党Cameron党首の脳性まひの息子(6歳)死亡

6歳のIvan君は脳性まひで てんかんの発作も頻発していたとのこと。 昨夜体調が悪くなり、 今日ロンドンの病院で亡くなったとのこと。 Cameron党首は今日の正午、国会で首相の質問に出席する予定だったところ Brown首相から勧められてキャンセル。 Brown首相…

ダウン症の安全確実な出生前検査まもなく米国で提供開始

現在のダウン症の出生前検査の方法には不正確さと流産の危険性が指摘されていることから 母体の羊水の中にある胎児の遺伝情報を取り出して検査する方法が新たに開発されて 脚光を浴びているらしいな……という記事は かなり前から目にはしていましたが、 いよ…

ロングフル・バース訴訟をテーマにPicoult近刊

当ブログでも 「わたしのなかのあなた」から 「わたしのなかのあなた」から 2 「わたしのなかのあなた」から 3 のエントリーで取り上げていますが、 “救済者兄弟”の問題をテーマに「わたしのなかのあなた」を書いた Jodi Picoultが今度は、 3月8日に米国…

未熟児にかかる社会的コストを試算

いずれこういう話が出るだろうとは思っていましたが……。 Oxford大学の医療経済学センターが 2006年に未熟児で生まれた子どもたちが18歳になるまでにかかる社会的コスト (医療、教育、子育てで親が休暇を取るコストなど)を試算したところ、 この子達…

米国優生運動の真実を暴く映画 “War Against the Weak”

Santa Barbara 映画祭で土曜日24日と今日月曜日26日に上映された 新作ドキュメンタリー映画 “War Against the Weak”(弱者に対する戦争)。 2003年に出版されたEdwin Blackの同名の著書が映画化されたもので、 ナチスの優生思想に基づく障害者の不妊手術…

受胎前遺伝子診断:巧妙な言葉の操作が優生思想を隠蔽する

IVFと遺伝子診断技術を使って 英国で初めて乳がん遺伝子ゼロの女児が誕生したというニュースは 先日こちらのエントリーで紹介しましたが、 “Ashley療法”論争時にWPに痛烈な皮肉に満ちた批判を書いたWilliam Saletanが こうした最先端技術の“快挙”が報告され…

「ビル・ゲイツが欲しい人?」Caplanの自閉症遺伝子診断「滑り坂」論

自閉症の出生前診断についての前のエントリーを書いて 臨床試験の舞台裏のエントリーで紹介したことのある Arthur L. Caplanの著書 “Smart Mice, Not-so-Smart People”の 自閉症の出生前診断を取り上げた章を思い出したので。 Caplanは“Ashley療法”を強く批…

自閉症の出生前診断に「でも数学的才能も一緒に抹殺されるんだぞ」という反論

この数ヶ月、あちこちで目にはするので いずれ、こういう話も出てくるのだろうなぁ・・・・・・とは思っていたので、 この評論のリード部分を読んだ時に、 今にも自閉症が出生前診断で分かって ダウン症のように生むか生まないかを選択できるようになる、といわん…

英国の看護師8割が自殺幇助合法化に反対

Nurses.co.uk という看護師向け求人情報サイトで行われた最近の調査で 英国の看護師で自殺幇助の合法化に賛成する人は2割に留まり、 他の8割は現在の法律のまま、自殺幇助は違法とするのがよいと答えた、と。 ただし対象者の内訳や設問の仕方など、 調査の…

英国でダウン症児の出生数が増加傾向

スクリーニングが広く行われるようになった1989年以降、 英国でのダウン症児の出生数は毎年減少し、 2000年には594人にまで下がった。 ところが2001年からの6年間で15%増加して 2006年には746人に。 女性の出産年齢が上がったことに加えて、 ダウン症の子…

「出生前診断やらないとロングフル・バース訴訟で負けますよ」と加医師会

カナダの医師会雑誌 CMAJの11月号に 気になる論文が「分析」として掲載されています。 簡単に言えば、 2007年の染色体異常の出生前診断に関する診療ガイドラインで 年齢を問わず全ての妊婦に行うよう勧告されているので、 出生前診断を提供しないと訴訟を…

米でも出生前遺伝子診断の新技術で議論

金曜日のエントリー新・着床前遺伝子診断MoT:遺伝病はもちろんアルツも糖尿も癌も心臓病も弾けるぞで 英国の同様の議論を紹介したばかりですが、 米国では遺伝子チップを使った胎児に対する出生前遺伝子診断技術が 実用に供するには時期尚早との批判をよそ…

新・着床前遺伝子診断MoT:遺伝病はもちろんアルツも糖尿も癌も心臓病も弾けるぞ

ロンドンのBridge Center で開発された 着床前遺伝子診断の新らしい技術 “遺伝MoT”とは IVFで作った胚が2日めになったところで、 それぞれの胚から細胞を1つずつ取り出して karyomappingと呼ばれるテクニックで遺伝子を解析、 その後に健康な胚を着床させ…

「妊娠中絶は女性の自己決定、もっとやりやすく」と85人の学者が(英)

当ブログでも、いくらか追いかけてきた英国のヒト受精・胚法改正議論ですが、 来週29日に議会での投票が行われるようです。 (英国議会で法案が通過して法律が成立するまでのプロセスが理解できていないので 最終段階がどこで、そこまでのプロセスのどの段階…

出生前後の障害・病気診断に情報提供を義務付け(米)

民主党のEdward Kennedy上院議員と共和党の Sam Brownback上院議員が提出していた法案 The Prenatally and Postnatally Conditions Awaraness Act が、原油高対策優先で一旦つぶれたことを前のエントリーで紹介しましたが、 この法案がまた別の形で復活して…

羊水穿刺より侵襲度の低いダウン症検査、数年以内に

ちょっと前から何度か眼にするニュースですが、 現在、羊水穿刺によって行われ、 流産と胎児を傷つけるリスクが指摘されているダウン症の出生前診断が 数年のうちには採取した妊婦の血液のDNAを調べることによって より安全、より正確に行えるようになると、…

超未熟児には行動障害、情緒障害が4倍

超未熟児で生まれた子どもは他の子どもよりも 後に情緒の問題や行動障害を起こす可能性が4倍も高い、という調査結果が the University of Warwick と Warwick Medical Schoolの 心理学部主導の研究によって出た、とのこと。 男児と女児の差も顕著で、 超未…

ダウン症の男性80歳、ギネス記録更新か

米国ミネソタ州WasecaのBert Holbrookさんは先週末に80歳の誕生日を祝った。 2005年にはダウン症の人の寿命は55歳だといわれるところまで延びたが、 Bertさんが生まれた当時、ダウン症の人の平均寿命は9歳だといわれ、 受けられる医療もほとんどな…