米国優生運動の真実を暴く映画 “War Against the Weak”

Santa Barbara 映画祭で土曜日24日と今日月曜日26日に上映された
新作ドキュメンタリー映画 “War Against the Weak”(弱者に対する戦争)。

2003年に出版されたEdwin Blackの同名の著書が映画化されたもので、

ナチスの優生思想に基づく障害者の不妊手術や殺害以前に
米国で優生思想が広がり、強制的な不妊手術が行われており、
ナチスの実験や殺害は米国の優生思想に影響されたものであること、

20世紀の米国で行われた6万人の強制的不妊手術には
高名な科学者や財団が関与していたことなどを
写真やナチの書簡、新たな技術によるグラフィックや再構成によって描いたもの。

War Against The Weak
The Santa Barbara Independent, January 26, 2009


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それはロングアイランドで始まり、アウシュビッツで終わった……
 が、本当はまだ終わってないどいない

ここに書かれている内容を簡単にまとめると、

1900年から1930年にかけて米国では民族浄化が行われた。
Carnegie、Rockfellerなどのアメリカの慈善団体が
Harvard, Yale, Princetonなど権威ある大学の学者らと手を携えて
組織的な人種政治を国家施策にしたためである。

農務省、国務省ほか多くの政府機関が関与し、
最高裁判所まで加わった。

貧しい人、髪の毛が茶色の白人、アフリカ系アメリカ人、移民、インディアン、東欧系ユダヤ人、病者……
要するに、アメリカ人として優れた遺伝系統とされたものを外れていれば誰でもが対象だった。

まるで、とうもろこしの品質を向上させるブリーディングでも考えるのと同じように、
彼らは弱い者、劣っている者の生殖能力を根こそぎにし、
アメリカ人という優れた民族を作ろうとしたのである。

アメリカで始まったこの動きが世界に波及し、
ナチス政権下で抑制を失い大虐殺を引き起こしたが、
ナチスの研究機関に資金を提供していたのはRockfeller財団だった。

ナチスの惨劇に世界中は身をすくめたが、
その後、先進科学「ヒト遺伝学」という旗印の下、
米国の優生運動は名前を変え、顔ぶれを組織しなおしている。


――確かに、すぐに思い当たる慈善資本主義のビッグネームも
おそらくはカーネギーもロックフェラーも物の数じゃない、その財力も

それから、当時の科学者らに変わる先端科学とテクノロジーの研究者らも、
さらにまた、社会的コストだの医療のコスト効率だの本人の最善の利益だのと
ワケのわからない正当化の理論武装を担う生命倫理学者なるものやら、

また、その周辺をうじゃうじゃと取り巻いて無責任な未来を夢見るトランスヒューマニストらもいて

役者もゼニも、かつて以上に揃っている……。