2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

米国FDAが認めなかった幹細胞治療、英国で治験へ

つい先日、米国のFDAの認可審査がいいかげんで なんでも通っているようなものだというコワイ話を読んだばかりですが、 その米国FDAが2年前に許可しなかったという 中絶胎児から採取した幹細胞を使った脳卒中患者の治療が 英国 Glasgowのチームによって行わ…

ある日「娘のクローン」を考えた

出産時のアクシデントによる無酸素脳症で 重症重複障害のあるウチの娘は言葉を持たないが 指差し、目つき、顔つき、さまざまな音声とトーンのバリエーションで たいていのことは、はっきりと自己主張する。 そして実は、相当に理屈ばったヤツでもある。 たと…

Lancet最新号にOxford臨床研究倫理テキストの紹介

米国のBiederman医師らのスキャンダルの衝撃がいまだ続いている中で目にすると、 実にタイムリーな記事タイトルで 「我々には臨床研究倫理を無視するような贅沢は許されない」 We cannot afford to ignore clinical research ethics By David Serwadda The L…

世界トランスヒューマニスト協会の米国支部1つはシアトルに

久しぶりに世界トランスヒューマニスト協会の公式ページを覗いてウロウロしていたら、 確かに以前はあったはずの日本支部が、いつの間にやらなくなっていました。 まぁ、前から、一応支部があることになってはいても、 連絡先をクリックしても開かなかったり…

受胎前遺伝子診断:巧妙な言葉の操作が優生思想を隠蔽する

IVFと遺伝子診断技術を使って 英国で初めて乳がん遺伝子ゼロの女児が誕生したというニュースは 先日こちらのエントリーで紹介しましたが、 “Ashley療法”論争時にWPに痛烈な皮肉に満ちた批判を書いたWilliam Saletanが こうした最先端技術の“快挙”が報告され…

Seattleの医療情報サイトに“成長抑制シンポ”情報アップ

1月23日に予定されている シアトル子ども病院の成長抑制療法に関するシンポの情報が 14日、シアトル地域の医療情報サイトにアップされました。 Public forum on growth attenuation in children with profound disabilities Seattle/LocalHealthGuide, …

FDAの科学者ら「認可審査あまりにも杜撰」と内部告発

医薬品や医療装置を巡る研究とエビデンスへの信頼に関る3題。 1. まず、FDAの医療装置審査プロセスの杜撰 乳がんの画像診断装置の認可を巡って FDA(米国食品医薬品局)の現場科学者らからは、 もっと広範な実験データを求める声が上がっていたのに、 政…

今度は、まつげを濃く長くする処方薬をFDAが認可(米)

シワ取り効果をうたうボトックスの大流行を作った会社 Allerganが 今度はまつげを濃く長くする処方薬に打って出るんだそうで。 米国で初めてFDAが認可したんだそうな。 とはいえ、もとはといえば緑内障の治療で 眼圧を下げるために使われている薬。 その薬に…

タバコ増税で子どもの無保険、大幅縮小へ(米)

子どもの無保険が急増している米国の議会では去年、 メディケイドの対象にまではならないものの その境界に近い貧困層を対象にした州の子ども向け健康保険 S-Chip(the State Children’s Health Insurance Program)への予算の増額を求める声が相次ぎました…

かなり妙だよ、AERAの“予防的乳房切除”記事

──祖母も母親も乳がんだったら。私も? と不安になるのは自然。 米国などでは遺伝子変異の有無を見つけ、 発症前に乳房を切除する予防治療が広がっている。 こんな書き出しで始まるAERAの記事。 Yahoo!のトップニュースに見つけたので読んでみたのだけれど…

「ビル・ゲイツが欲しい人?」Caplanの自閉症遺伝子診断「滑り坂」論

自閉症の出生前診断についての前のエントリーを書いて 臨床試験の舞台裏のエントリーで紹介したことのある Arthur L. Caplanの著書 “Smart Mice, Not-so-Smart People”の 自閉症の出生前診断を取り上げた章を思い出したので。 Caplanは“Ashley療法”を強く批…

自閉症の出生前診断に「でも数学的才能も一緒に抹殺されるんだぞ」という反論

この数ヶ月、あちこちで目にはするので いずれ、こういう話も出てくるのだろうなぁ・・・・・・とは思っていたので、 この評論のリード部分を読んだ時に、 今にも自閉症が出生前診断で分かって ダウン症のように生むか生まないかを選択できるようになる、といわん…

「ご家族さんは頑張らないでください」

だいぶ前から読みたいと思っていたコミック「ヘルプマン」を レンタル店でやっと見つけて今Vol.9まで読んだところ。 クールで理論家の神埼仁と おっちょこちょいで直情径行、どこの事業所もすぐにクビになるのだけど、 目の前のじじばばを放っておけない介…

情報で国民を監視・管理する社会へ(英)

去年の5月24日に 国民の電話とEメールの全記録を国が管理って?で取り上げたニュースの続報。 UK e-mail law ‘attack on rights’ The BBC, January 9, 2009 上記エントリーで紹介したように、 英国内で送受信されたEメールや電話の内容について 1年間、…

“乳がん遺伝子ゼロ”保証つき赤ちゃん英国で生まれる

何代も遺伝乳がんに悩まされてきた夫婦に、 着床前診断でそのタイプの乳がんを引き起こす遺伝子異常のない赤ちゃんが誕生。 英国で初めて。 私には、そのカラクリがよく分からないのですが 生殖補助医療専門の担当医によると この赤ちゃんは大人になってもこ…

年末年始のERで骨折患者の手術2日待ち(豪)

先進国のご他聞に漏れず、医師不足・医療崩壊が深刻なオーストラリアですが、 ここまで来ているのかぁ・・・・・・そのうち日本でも・・・・・・と、 つい考えてしまうニュース。 The Canberra HospitalのERをクリスマスからお正月にかけて訪れた患者は1400人以上。 トリ…

「学校で問題児だったら成人しても問題が生じる確率高い」という調査

気になる――。 この調査、ものすごく気になる──。 カナダ Alberta大学の研究者がthe British Medical Journalに発表した論文とのこと。 英国の1946年生まれの3500人について 13歳から40代、50代になるまで追跡調査をしたところ、 学校で問題児…

豪華レディス・クリニックのポピュリズム

前のエントリー英国医療改革のポピュリズムで思い出したこと。 もうずいぶん前、近くの町に、 今までの病院の概念を打ち破る豪華なレディス・クリニックができた。 入り口には天井まで届きそうなゴージャスな造花のアレンジメントがそびえ 待合室は高級ホテ…

英国医療改革のポピュリズム

英国のBrown首相は一昨年の首相就任時に 現役外科医のAra Darzi卿を保健相の副大臣に起用し NHSの見直しと改革を担当させていて、 そのDarzi卿の改革について仕事でちょっとだけ調べてみたことがあるのですが、 この人は副大臣に任命されるや、 ロンドンにお…

「飛騨牛の父」クローンで、ぐるぐる

一昨日の朝、クローン肉が食卓に上がりそうだというニュースを聞いたと思ったら、 夕方にはフジテレビのスーパーニュースが 幻の「飛騨牛の父」のクローン誕生に成功したというニュースを取り上げたのを聞いて、 頭の中でいろんな疑問がぐるぐるしていたとこ…

「ゲイに養子縁組させぬAR州は子どもの利益守れぬ」NYTimes社説

Ashley事件以来、目に付くと必ず反応してしまう言葉。 「子どもの最善の利益」。 それがそのまま社説タイトルだったので 素通りできずに読んでみたところ、 標記の内容の激烈な批判だった。 The Best Interests of the Child The NY Times, January 5, 2009 …

デトックス商品はガセだったって

体の毒素を排出する“デトックス効果”をウリにした15の商品を Sense About Science というチャリティが調べたところ、 それらには何の科学的根拠もなく 金の無駄遣いで終わればいいけれど デトックス・ダイエット商品の中には有害となる可能性があるものま…

まずは「クローン肉たべろ」という人に3世代食べ続けてもらおう

日本でもクローン牛が食卓に上るという話を今朝のテレビで聞いたので、 ほぼ1年前に米国でFDAが認可した際のニュースについて書いた 2007年12月28日の「クローン肉ほんとうに食べるって?」エントリーを以下に再掲。 (書いていたら熱くなって、再…

個人的”Ashley事件”2周年 Part 2

この1年間の医療・障害・生命倫理を巡る英米での動き概観 英米の医療や障害者関連のニュースを簡単に追いかけてきた中で Ashley事件からの2年間、特に去年1年間の動きで印象的だったことを。 ・ ワシントン州の住民投票で自殺幇助が合法化されたこと。米国…

個人的”Ashley事件“2周年 Part1

Ashley事件、2008年の動き。 昨年1月5日に個人的“Ashley事件”一周年のエントリーで書いたように、 私がAshleyケースについて初めて知ったのは 正月休みが明けた2007年1月5日のことでした。 それで今年もやはり「正月休みも終わりだな」と思うと…

ティーンの間で交際相手による虐待が急増(米)

このニュースで、また新しい表現を知った。 dating violence / dating abuse (交際相手による暴力・虐待) その dating violence が、 ニューヨーク市精神衛生局の調査によると 1999年から今までに40%以上も増加している。 CDCの2007年の調査では 交際相…

Sobsey氏、「知的障害児に道徳的地位ない」Singer説を批判

「人はただ人であることによってではなく、 高度な認知能力を示すことによって道徳上の地位を認められるべきだ」とし、 それゆえに 「重症の知的障害のある子どもを生かしておくことは 倫理上の義務からではなく、あくまでも親の選択権によって行われるべき…

「障害者だから蘇生に値しない」と勝手な判断した救命士を逮捕(英)

股関節の置き換え手術の後、杖を使用するようになっていたBarry Baker氏は 一人暮らしの59歳。 去年11月29日、心臓発作を起こして日本の119番に当たる999番に電話をした。 救急センターでは電話を受け、 救急車を向かわせるように手配する一方、 Baker氏と電…

Biederman医師、製薬業界資金の研究から身を引くことに

ハーバード大の世界的児童精神科医 Biederman医師の 製薬会社との癒着スキャンダルについて、 当ブログで大まかに追いかけてきたところですが、 所属のMassachusetts General病院とB医師の合意として 病院側の調査が完了するまで 現在進行中の臨調実験を含め…