「飛騨牛の父」クローンで、ぐるぐる

一昨日の朝、クローン肉が食卓に上がりそうだというニュースを聞いたと思ったら、
夕方にはフジテレビのスーパーニュースが
幻の「飛騨牛の父」のクローン誕生に成功したというニュースを取り上げたのを聞いて、
頭の中でいろんな疑問がぐるぐるしていたところ、

さらに昨日もスーパーニュースが、あちこち取材して同じ話題を取り上げたので、
この“ぐるぐる”がどうにも止まらなくなった。

ニュースは大体こんな感じ。↓



未整理のままだし、大半は文系頭の噴飯ものの無知蒙昧かもしれませんが
文字にしてしまわないと“ぐるぐる”が止まらないので、
とりあえず、以下に。

・ スーパーニュースで取り上げた専門家のコメントに「今のところ(健康被害は)何も出ていないが、それはまだ出ていないだけかもしれない」というのがあって、これは前のエントリーで指摘した「長期的に人間が食べても安全だというエビデンスはない」ということと同じだと思うのですが、このコメントを聞いて思ったのは「出た時には、もう遅いんじゃないのか」ということ。

・ クローン肉を食べること自体が人類初めての経験なのだから、それで何かの異常なり異変なりが起こるとしたら、それは人類がいまだかつて経験したことのない予測不能の異常であり異変なんじゃないのかという気がする。それなら、対処不能なのでは?

・ 仮に誰かに何かが起きたとしても、食べた人と食べなかった人を追跡してもいなければ、食べた人と食べなかった人とが子どもを作っていたりもするわけだから、因果関係の調査もありえないような。結局クローン肉は本当は食べるべきではなかったのだ……という事態が生じていたとしても、そのことには誰も気づくことができないことにならないだろうか。それなら「まだ出ていないだけかも」というのは「もはや出ても分からない」ということなのでは?

・ クローン動物に早産や死産、障害の発生や早死にが多いという事実を直線的に健康被害のイメージにつなげてしまうと、長期的に食用にした場合に、子どもたちの障害の発生に繋がるんじゃないのか・・・・・・という漠然とした不気味さを感じてしまう。英米では特に最近は優生的な発想で、遺伝子診断でも何でもやって、とにかく「障害児は生むな、生まれても殺せ」とやっきになっているのだから、それなら、どうしてその一方で、障害の発生率を上げる可能性があるようなことを推奨するのだろう。

・ スーパーニュースに出てきた専門家のコメントの中で、「安全だ」とするのはジャーナリストの発言だけで、その根拠は「アメリカのFDAが安全宣言を出しているから」というだけだった。FDAが認可した薬でどれだけ多くの人間が死んでいることか。

アメリカもEUも安全宣言を出したという事実は、クローン肉食用の長期的安全性のエビデンスだろうか。本当は「長期的に食べ続けても安全である」ということは、どこの誰にも確認されていないし、今の段階で確認することは不可能なのに。でも、それなら論理的には安全宣言など、どこの誰にも出せないはずなのでは? 

アメリカとEUが食べるから、日本も食べなければならないわけじゃないと思うのだけど。たとえば「ES細胞研究で胚を破壊してしまう倫理問題も、科学の発展、難病の治療法の発見、国際競争力などなどのためにはやむをえないよね。瑣末なことさ」というのが科学研究先進国の常識(ホンネ?)になっていた中で、日本の研究者が倫理問題に抵触しない万能細胞の作成方法を突き止めたように、「委細かまわず、なりふり構わず、とにかく科学とテクノでイケイケ」という欧米の勢いに引きずられるのではなく、日本の知恵や節度で、委細にかまい、なりふりも整えながら発展させる賢い科学とテクノロジー……なんて、文系頭のタワゴトでしょうか。クローン肉を食べなければクローン研究ができないわけじゃないだろうに、と考えてしまうのですが。

・ そもそも、なんでそこまでして高級和牛を食べなければならないのだろう? メタボという病気を作り特定検診まで制度化して国は国民に節制を呼びかけていて、それが介護費用を削減して介護保険の制度維持性を向上させるための介護予防策だという話が一方にあることを考えたら、メタボや高脂血症の予防では必ず「なるべく避けよ」と書かれているのは赤身の肉で、まして霜降りの高級和牛など、体に悪いものの代名詞なのに。

・ それとも、「クローン技術が実用化すれば、高価で庶民には手の届かない高級和牛が量産できて安くなりますよ、どうです、食べたいでしょう? 」というメッセージ? でも、それ、なんかバカにしてない? 

・ それに幻の高級和牛って、幻のままにしておいた方が希少価値があるはずなのに、なんでクローンでわざわざ価値を下げるようなことをするんだろう? 岐阜県畜産研究所飛騨牛研究部のHPを覗いてみたら、「核移植技術」その他を説明するページに「和牛の改良・増殖を効率的に進めるため、受精卵移植技術に関連した研究に取り組んでいます」と。でも、クローニングに費用がかかりすぎて、逆にクローン肉のほうが高くなる……なんてことはないのかな? 

・ 生まれたのは去年だというのに、なぜ、クローン肉の安全性が確認されて日本でも解禁されそうだというニュースと前後して論文発表され、このニュースが報道されるのだろう? まったく偶然ということがあるかな。

・ この研究の費用って、いったい何処から出ているんだろう? ケタすら想像がつかないのだけど、その費用って、一体どのくらい? 

・ そもそもクローン研究の最終目標って、なに? ES細胞研究で言われているような、病気のメカニズム解明、難病の治療法に結びつく、再生医療、臓器不足への光明、オーダーメイドの治療、などなど? こういうところになってくると、さすがに自分でもう少し勉強しなさいよ……とは思う……。


もしも、教えてやろうと思ってくださる奇特な方があったら、
いずれの部分にせよ、ご教示いただけると幸いです。

【追記】

その後、以下にTBさせてもらった記事にコピペされたYahoo!掲示板の中に、
次のような書き込みがありました。

内閣府食品安全委員会の専門家ワーキンググループの座長は早川堯夫近畿大薬学総合研究所長ですよね。クローン推進の立場にある大学の人が座長のワーキングの意見で安全性を決定するのはいかがなものか?