「中絶決断に情報提供不要」ヒト受精・胚法議論

英国のヒト受精・胚法改正議論で、障害胎児の中絶に関して、
障害や病気についての然るべき情報提供を母親に保障しようとの改正案が
否決されていました。

ダウン症の娘を持つジャーナリストDominic Lawsonが
27日のThe Independent紙オピニオン欄に
「我々は真実から身を隠している:優生思想は生き続けている」という文章を書き、
この改正案の否決を批判しています。

改正案は、
胎児に障害または深刻な病気があると分かった場合には母親に対して
その障害または病気に関する詳細な予後や可能な治療、
また親の会や支援サービスなどに関する情報提供を義務付けようとするもので、

現在米国の上院に提出されている法案と同じ趣旨のものだと思われます。

しかし、英国下院は309対173で否決。

それについてLawsonは以下のように批判。

障害胎児は40週の最後まで中絶させてもいいというだけでなく、
一時のパニックや不安によって判断されないよう慎重を期す必要も無い
議員多数は言ったわけだ、

この改正案に反対した議員らは
障害者支援団体の情報などを提供すれば
母親には中絶しない方向へのプレッシャーがかかると考えたのに違いないが
現在はその反対のプレッシャーがかけられているではないか、
羊水穿刺の検査そのものに流産の危険性があることから
ダウン症が判明したら中絶するとの同意を前提に検査を行う医師がほとんどなのだから。

この文章には散漫で焦点が曖昧な感じも受けるのですが、
然るべき情報提供を保障しようという改正案が否決されていたという事実は衝撃でした。

議会では「障害児は人ではない(non-personである)」という発言もあったし、

この投票結果には
「なにがなんでも障害児・病児はいらない、排除しよう」という強固な意志が感じられるようにも思えて。



ちなみに、この記事によると、
英国で胎児に障害の可能性があれば中絶にはタイムリミットはないとされたのは
1990年、Thatcher政権下でのこと。