2013年8月1日の補遺

必見ビデオ。Mark Diceという、ちょっと癖のあるジャーナリストが街頭に立ち「高齢者には安楽死を義務付ける法律を求める署名活動をしています。高齢者の存在が医療費に大きな負担となっています。義務付けです。署名をお願いします」と呼び掛ける一種のドッキリを仕掛けたところ、けっこうな人が賛同し署名
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/07/petition-for-mandatory-euthanasia-for.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29

Not Dead YetのCEO、Diane Colemanの自殺幇助批判の論考。the real world of families that are not necessarily all loving and supportive……
http://blog.nj.com/njv_guest_blog/2013/07/the_dangerous_help_of_assisted.html

SavulescuがJournal of Medical Ethicsの論説で、合法的な自殺ほう助の一つの方法として palliated starvation 緩和ケアを得ての餓死を提言。:これはFENが事件を起こす前に、HPで認知症や施設入所者らに勧めていた方法でもあり、ずっと推進派の中にはあった声。
http://jme.bmj.com/content/early/2013/07/17/medethics-2013-101379.extract


オーストラリアのDr. DeathことDr. Philip Nitschkeが上院議員選挙に出るんだとか。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10616#comments

カナダ、Victoria州の電話によるアウトリーチ・プログラム。研修を受けたボランティアによるもの。
http://www.fightdementia.org.au/services/telephone-outreach-program.aspx

NYのCuomo知事、収容施設の4000人の精神障害者を支援付き住宅に移す、と。
http://www.nytimes.com/2013/07/25/opinion/justice-for-the-mentally-disabled.html?_r=0

英国議会による障害を理由にした中絶に関する調査の報告書。軽微な障害でも40週まで中絶可能な法律の訂正を提言
http://www.abortionanddisability.org/resources/Abortion-and-Disability-Report-17-7-13.pdf

世界で初めての試験管ベビーを作ったPatrick Steptoe医師の元患者 Satdra Crashleyさんが自費出版で、本人の同意なしに片方の卵巣ともう一方の半分を摘出されたばかりか、その手技の未熟で健康を害したと告発。SteptoeとEdwardsが採取手続きの倫理面については明らかにしていない『ボランティア』の一人だったのでは、と。避妊ピルの開発研究でも、プエルトリコの貧しい村の女性たちに実験とは断らずに投薬された事実があり、タスキギ実験になぞられられているとのこと。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10613#comments


NYT.乳がんの生存率に、黒人と白人とで3年の格差。
Black-White Divide Persists in Breast Cancer: New research shows that white women with breast cancer live three years longer than black women because of a troubling pattern of inferior care and a delay in treatment for black women.


上記シリーズからのTV番組。洗濯室に入りこみ洗剤を飲んで死んだ認知症の男性入所者。ナーシング・ホームに比べて人員配置も規制も緩い。
http://abcnews.go.com/Health/assisted-living-facilities-loosely-regulated-understaffed/story?id=19808799

日本語。ニュージーランド移民局、肥満理由に滞在拒否=130キロの南ア男性
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130727-00000064-jij-asia



HPV感染予防の決め手は男児へのワクチン接種
http://www.medicalnewstoday.com/releases/263811.php

ナイジェリアの国務大臣兼保健省のMuhammed Pate医師、大臣を辞職してデューク大学のグローバル・ヘルス研究所のポストへ。そして同時に、ワシントンDC拠点のゲイツ財団のシニア・アドバイザーに就任へ。ナイジェリアといえば、この前ポリオ撲滅で成果があった州の知事にビル&メリンダ・ゲイツ賞が贈られていたけど、あの贈呈役だった「保健相」はそれではこの人だったわけですね。ナイジェリアでは同じ日に武装集団が学校を襲撃して42人を殺害していたのが印象的だった。
http://niyitabiti.net/2013/07/nigeria-health-minister-resignsgrabs-bill-gates-offer/

MITの科学者らがマウスの脳への偽の記憶植え付けに成功。
http://www.theguardian.com/science/2013/jul/25/false-memory-implanted-mouse-brain

日本。東大43論文に改ざん・捏造疑い 元教授グループ。分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループ。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130725-00000014-asahi-soci

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『援助じゃアフリカは発展しない』ダンビサ・モヨ著 小浜裕久監訳(東洋経済新聞社 2010):ミニメモ

6月5日の補遺で拾って図書館にリクエストしておいたもの。6月の話題は、この本をビル・ゲイツが批判して、著者が激怒してゲイツに反論した、というもの。

「援助依存モデルの問題点は、アフリカ諸国が永遠に無邪気な子どものような国家として扱われていることにある」(p. 43)という指摘に象徴されるように、読んでいて頭の中で重なっていったのは、障害当事者からの医学や生命倫理の「医学モデル」に対する「社会モデル」からの批判。

アフリカへの先進諸国の援助が、アフリカの国々の生活や文化や社会や価値意識をまるきり無視して先進国が「指導し教育し支援しながら」先進国が自分たちの科学とテクノと経済学の論理で考える「本来国家とはこうあるべき」姿へと目指させるモデルになっている。それがまったく機能していないのは、たとえば援助と称してマラリア予防のための蚊帳を大量に届ければ、地元の蚊帳製造業者は倒産するし、汚職をはびこらせて国家機能をさらに弱体化させていく。

それに対して著者が提言しているのは、小規模な国債発行とかグラミン銀行マイクロクレジットなど、身の丈に合った方法での「自立」を目指し、それによって国家機能をエンパワーしていくこと。ルワンダのカガメ大統領「われわれ以上に自分の国を知っている者はいないのだし、われわれ以上に何がいいことかを知っている者はいないのだ」(p. 232)。つまり、アフリカの国々を代弁してモヨがこの本で言っていることは Nothing about us without us. なんでは?

この本には「ただ、何をなすべきか、アフリカを後退から防ぐために何が役立つのか、といった点について、アフリカの(選挙で選ばれた)行政担当者や開発問題担当の政策立案者が、意見を述べているのを見ることはほとんどない。多くのアフリカ人が戸惑い、無念に思う中で、この意図や目的についてのもっとも重大な責任は、アフリカの外に住むミュージシャンの手にゆだねられている」(p. 35)と書かれているように、民間ではボノやゲルドフなどミュージシャンの慈善家には