ドイツの延命治療停止判決を自殺幇助とグズグズに書く NY Times
冒頭のところで
「この判決で家族や愛する人を死なせることが容易くなる」
「患者の生命維持治療を中止するのは犯罪ではないと判決した」という個所は
家族が直接に手を下して延命治療の管を抜いても許されることになったかのような書き方だし、
「この判決で家族や愛する人を死なせることが容易くなる」
「患者の生命維持治療を中止するのは犯罪ではないと判決した」という個所は
家族が直接に手を下して延命治療の管を抜いても許されることになったかのような書き方だし、
この記事によれば、この判決の意味は
「生命を終わらせる目的で殺すこと」と「本人の同意を得て患者を死なせること」との
一線を引いたことにあるとし、
「生命を終わらせる目的で殺すこと」と「本人の同意を得て患者を死なせること」との
一線を引いたことにあるとし、
「生命維持治療を終わらせることは患者の希望がはっきり表明されていれば違法でないのだから
尊厳のある死に方をする個人の権利を強化するもの」なんだとか。
尊厳のある死に方をする個人の権利を強化するもの」なんだとか。
その後は、ここでも“自殺幇助”という言葉がせっせと使われて、
英国での合法化議論やDignitasへの自殺ツーリズムと
ごちゃ混ぜの議論になってしまっている。
英国での合法化議論やDignitasへの自殺ツーリズムと
ごちゃ混ぜの議論になってしまっている。
どこに「明確な線引き」があるのか私にはさっぱり分からないけど、そういう捉え方をし、
「これで濫用は防げるし、患者の医師も安心。なにより罰せられる不安がなくなる」と
コメントする弁護士もいるし、
「これで濫用は防げるし、患者の医師も安心。なにより罰せられる不安がなくなる」と
コメントする弁護士もいるし、
ドイツの法務大臣が「個人の自由意思が患者にも家族、医療職にも保護になる、
個人の自由意思は尊重されなければ」と歓迎しているところをみると、
「本人の意思であれば」というところが、まさか上記弁護士の言う「明確な線引き」?
個人の自由意思は尊重されなければ」と歓迎しているところをみると、
「本人の意思であれば」というところが、まさか上記弁護士の言う「明確な線引き」?
しかし、ドイツ・ホスピス財団のディレクターは
今回の判例のKullmerさんの「意思」が口頭で伝えられたものに過ぎないことを重視。
この判決は、むしろ重病の人の基本的な自己決定権とケアを受ける権利に反する、と。
今回の判例のKullmerさんの「意思」が口頭で伝えられたものに過ぎないことを重視。
この判決は、むしろ重病の人の基本的な自己決定権とケアを受ける権利に反する、と。
また、ドイツ医師会は
今回は管を抜くようにアドバイスした弁護士が免罪されたとしても、それは
「生命維持措置の継続を巡る意思決定で好き勝手にしてもよい許可」ではないし、
「生命維持措置を中止する前に、患者の意思を反映するためにどういう手続きが必要なのかが
法的規制として整備されなければならない」と
今回は管を抜くようにアドバイスした弁護士が免罪されたとしても、それは
「生命維持措置の継続を巡る意思決定で好き勝手にしてもよい許可」ではないし、
「生命維持措置を中止する前に、患者の意思を反映するためにどういう手続きが必要なのかが
法的規制として整備されなければならない」と
まったく、医師会の言う通りで、
やっと、ここに、まっとうなことを言っている人がいてくれたか……という感じ。
やっと、ここに、まっとうなことを言っている人がいてくれたか……という感じ。
(でも、それを言うのが医療職で、司法じゃないというのは、
これまでの図式としても、物事の筋道としても、どこか転倒していない?)
これまでの図式としても、物事の筋道としても、どこか転倒していない?)
だ、か、ら、その事件は、明らかな「自殺幇助」の事件であって、
ターミナルな人の延命治療の停止とは、まったく別の話だっつうのよ。んとに。
ターミナルな人の延命治療の停止とは、まったく別の話だっつうのよ。んとに。
これは、母親のチューブを外した娘の裁判ではなく、
問題になるのは弁護士が職務において犯罪行為をそそのかした事実であって、
娘がチューブを外したことではないと思うのだけど、
娘がチューブを外したことではないと思うのだけど、
それなのに、どうして、こうなるの……?
仮に免罪されたのが、
娘がチューブを外した行為の原因を作った弁護士としての行為だとしても、
それが、どうして近親者が死にたい人を勝手に死なせてもいいことにはなるというのか。
娘がチューブを外した行為の原因を作った弁護士としての行為だとしても、
それが、どうして近親者が死にたい人を勝手に死なせてもいいことにはなるというのか。
だから、この判決が出る前のできごとであったとしても、
クライアントが母親の栄養チューブを抜くことは違法ではないと考えた
弁護士の法的解釈と判断とは正しかったのだ、とでも?
クライアントが母親の栄養チューブを抜くことは違法ではないと考えた
弁護士の法的解釈と判断とは正しかったのだ、とでも?
そんな理屈って、あり?
9カ月の執行猶予にした下級裁判所の判断の方が正しかったのでは?
さらに、このニュースの論じられ方が不気味なのは
「生命維持措置の停止」が語られながら、
それが安楽死ではなく自殺幇助の問題として、
さらに医療の問題としてではなく家族の問題として語られようとしていること。
「生命維持措置の停止」が語られながら、
それが安楽死ではなく自殺幇助の問題として、
さらに医療の問題としてではなく家族の問題として語られようとしていること。
これまでに合法化した国や州があくまでも
その目的でつくられた法律の規定する手続きの元での
医師による自殺幇助だったのにもかかわらず、
その目的でつくられた法律の規定する手続きの元での
医師による自殺幇助だったのにもかかわらず、
ドイツも、こんなふうに
犯罪行為をアドバイスした弁護士の行為を無理やりに免罪して
ぐずぐずの議論に乗じる形で、いろんな筋道をすっ飛ばして一気に
「本人さえ望むなら、殺したっていい」というところにまで
まさか、持って行くんだろうか……。
犯罪行為をアドバイスした弁護士の行為を無理やりに免罪して
ぐずぐずの議論に乗じる形で、いろんな筋道をすっ飛ばして一気に
「本人さえ望むなら、殺したっていい」というところにまで
まさか、持って行くんだろうか……。