「ビルダーバーグ倶楽部」からVeriChipとワクチンについて


正直、受け止め方に悩む。
私はこの本に出てくる人や組織の大半を知らないし、
私にもわかる情報は、今度は詳細過ぎて、その情報の海の中でおぼれそうになるため、
それがどういう意味をもつのかが逆に見えにくかったりする。

ビルダーバーグ会議の存在そのものは既に確認されていることだし、
彼らがどういう存在で、何を狙っているのかというあたりについて
著者のダニエル・エスチューリンが言っていることの大まかな内容は掴めたと思うけれど、

彼の言っていることにも、辻褄が合わないところが多々あるし、
その中の一部は執筆時の2005年以後の状況の変化が説明するにしても、
正直、どこまで真に受けたらいいのか戸惑いつつ最後まで読んだ感じ。

とりあえず、当ブログが関心を持って眺めてきた事柄2つ、
VeriChipとAshley事件に関連した部分だけは大きな関心をもって読んだので、
そのあたりのことを、2つのエントリーに分けて。

まずはVeriChip関連

ビルダーバーグが世界政府として世界中の人々を管理するための方法として、
将来的にマイクロチップを全員に埋め込ませるべくキャンペーンが進行している、として、
当ブログでも取り上げたVeriChipについて、かなりのページ数が割かれている。

当ブログで行き当たったのは認知症患者の徘徊時の追跡用に
チップを人体に埋め込む実験が企まれて、その反対運動が起きていた2007年だった。


当時でも既に動物のトラッキングには一般的に使われていたけど、
その後、VeriChipは世論の批判を浴びて、とりあえず人体埋め込み型から
腕時計や靴に仕込んで身につけるタイプへと転向した。

(たしか、埋め込み型マイクロチップには発がん性があるとの指摘もあったはず)

著者によるとVeriChipの背後にいるのはIBMで、

2003年には、ベネトン
商品に追跡調査用の極小発信機を縫い付ける計画をすっぱ抜かれて
中止する騒ぎもあったとのこと。

既にその後、バイオ認証技術が進み、
さらに極小追跡監視装置Digital Angelも登場した。

著者は、ビルダーバーグに招待されるメディアを通じて、キャッシュレスの便利なイメージに乗せつつ、
マイクロチップの人体埋め込みが社会的に望ましい行為として描かれていくと書いている。

私も2007年に、たしかWashington Postで、
銀行口座の情報を入れたチップを腕に埋め込んでおいて腕をかざすだけで居酒屋の支払いをする人や、
情報管理の厳しい会社で社員のIDチェックに使われている例などをとりあげた
長文の記事を読んだ記憶がある。

そういえば小児性愛者の足首にGPSのトランスミッターを装着するのも
米国ではいつのまにか当たり前になっている。

あれは相当な人権侵害ではないのかと私は思うのだけど、

本書を書いている2005年現在、テロや戦争、過激主義、人種差別、不寛容の精神など、文明の衝突によって、多くの人が自由を犠牲にしても構わないという精神状態に陥っている。(p.330)

いつのまにか監視カメラによる監視社会が到来していたり、
英国で国民DNAデータベース作りのために罪もない人まで逮捕されていたり、
全国民の電話やインターネットの使用記録ばかりか中学生の時の成績まで
保存・管理しようという企てがあったりということを考えれば、
テクノロジーによる管理強化が進んでいることは実感しているところでもあるのだけど、
(こうした監視社会の具体については拙ブログでも拾っており、文末に)

しかし、米国で子どもの誘拐事件をビルダーバーグが次々と起こして
親たちに子どもの居場所把握のためチップの必要を感じさせているのだという
エスチューリンの主張には、ちょっと戸惑う。

(ハイチの地震の際に、国外に連れ去られた子どもたちは、たしかDNA検査で
親元に帰されたという記事が出てきている……ということが頭に浮かんだ。
これも同じ匂いがするといえばするけど、じゃぁ、この説を丸ごと“飲む”か、と問われても、
ちょっと返答に詰まる)


さらに、著者は
世界経済フォーラム(ダボス会議)の主要な目的の1つを
「全人類に予防接種を施すこと」だとし、

ここで読者に考えてほしい。今、読者の片方の手には、体内への埋め込みが可能なマイクロチップ・テクノロジーがある。そして、これを世界の60億人に『配達』することで大儲けしたいとする。もう一方の手には、世界の60億人を支配したいと願う組織がある。さて、この二つの希望を一つにまとめて共通の目的とするには、一体どうすればいいのか。マイクロチップを世界中の人間に一人残らず移植する方法。もちろん、それが先に述べた接種だ。(p.333)

2000年のダボス会議で組織されたGAVI(ワクチンキャンペーン組織)の
第1弾のキャンペーン「子どもチャレンジ」はゲイツ財団から7億5000万ドルが出ている、と。

GAVIにはもちろんシアトルこども病院も関わっているから
当ブログでも何度も触れてきたけれど、

じゃぁ、途上国の子どもたちの中にはチップを埋め込まれた子どもが
もう沢山いるということなんだろうか……?

この話、私のスタンスは、今のところ受け止め方を保留しつつ、
でも、ちゃんと覚えてはおこう……というところか……。

ちなみに、今年のダボス会議でBill Gatesが
人口抑制とワクチンに触れたことで、現在、ネットにしきりに流れている陰謀説は
「ワクチンに不妊成分を混入させて世界中の女性に」というヴァージョン――。


ともあれ、この本を機に、
世の中がこれまでとは、ずいぶん違って見えてきたのは事実。

現に何をやっていたり、この先やろうとしているかはともかく、
ビルダーバーグ会議は現実に存在し、ダボス会議は公然と存在していて、
その周辺をなんだかんだと衛星的に取り巻いている各種組織があって、
……てことは、世界のあり方を世界中の権力者と金持ちが集まって決めているわけで、
それがグローバル政府でなくて、なんだ……? とは思う。

私は、グローバル政府なんかないところで
ゲイツ氏が勝手に世界の厚生相を買って出ているんだとばかり思っていたけど、
なんて、ものを知らなかったことだろう。

こういうことになっているんだから、
グローバリゼーションもネオリベも歯止めがかかるどころか
世の中が持てる者、強い者に一方的に都合のよい場所になって行くのは必然というもので
それなら、どうしたって我々一般人は奴隷化・”使い捨て資源”化をまぬがれないのだろうな……。

なんだか、体中からあらゆる気力というものが霧散していくような感じ――。