ドイツの裁判所、「ターミナルな患者が希望すれば医師は自殺幇助OK」

この件に関するUPIの記事と、
その記事を受けてWesley Smithが書いているブログ記事。


UPIの記事を読んでみると、

「ドイツでは現在、安楽死は違法ではあるものの
死に瀕した患者が死にたいと望んでいると確信があるなら
医師はその患者に自殺の手段を提供することができる」と書いてあるので、

今回の行政裁判所の判決とは

現在、連邦医療会議が自殺幇助を禁じていて、
違反した医師には6600ドル程度の罰金まで規定していることについて、

判事が too general (漠然とし過ぎ?)と判断して、それを無効とし、
医師個々の判断に任せる、とした、ということのようにも読めます。

この医療会議の禁止の周辺については、以下のエントリーに ↓



ただ、ドイツの自殺幇助議論については、
かつては終末期医療の差し控えを認めたニュースを
英語圏メディアがこぞって自殺幇助合法化と報じたこともあったりして
イマイチ信用できない面もある。(詳細は後半に)

そういうこともあってかどうか、
Smithもドイツの司法制度が分からないから解釈に困ると言いつつ、
どういう形であれ、ドイツで自殺幇助合法化に向けて新たなドアが開かれた、
ということ、とのみ捉えている。

また、UPIによると、
ドイツには自殺幇助の専門家の判事というのがいるらしく、その人が
「現在ドイツで起こっている“自殺ツーリズム”を止めるための第一歩」と喜んでいる。

実際、スイスのDignitasで自殺している外国人は
ドイツ人がダントツに多いのは確か。 ↓



しかし、余所の国に自殺しに行く人が多いから
それに歯止めをかけるために自分の国で自殺させましょう、とは
一体それはどういう話だ? とSmithは書いている。


German Judge Opens Assisted Suicide Door
Secondhand Smoke, April 4, 2012


ど―――――も、私には
ドイツでの自殺幇助合法化をめぐる英語圏のメディアの報道は怪しい、と思えてならない。

前にも、以下のニュースを英語圏メディアが一斉に
「ドイツ最高裁が自殺幇助を合法化!」と騒がしく報じたことがあった。



上のエントリーの末尾にも書いていますが、
その後、APは当初の報道が誤っていたことを認めましたが
その姿勢は全く誠実なものではありませんでした。