オランダ政府の「
安楽死委員会」への医師からの報告によると、
2010年から2011年でオランダでの
安楽死件数は559件も増加。
全死者数に占める割合で言うと、
2.3%から2.7%への増加。
委員会の幹部は、
医師が合法的な
安楽死を行ったかどうかを調査する機関だが、
急増の理由については推測する以外にないとしたうえで、
以下の4つを上げている。
① 医師が前よりもちゃんと報告するようになってきた。
② 終末期の患者の
安楽死が増えている。
③ 人口の高齢化の結果。
④ 倫理観の変化。
でも、何度か書いたけど、
安楽死法の施行の後でオランダの緩和ケアは崩壊した、と
当時の保健省が認めた、という情報があるし、
王子の事故で
オランダには25歳以上の重症
脳損傷患者の専門治療機関が存在しないことも
報道されている。
そういうなかで、
治療を受けられない状況ができていて、
それならば痛み苦しむよりは
安楽死を、と自己決定する人たちの意識を
「倫理観の変化」と括ってしまうって、どうなの……?
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ところで、
この記事で「医師による自殺幇助(PAS)」と書かれているのは
スイスや米国
オレゴン州、
ワシントン州のPASと必ずしも同じではなく、
安楽死のこと。
それは記事冒頭で
「
安楽死はオランダでは2002年に、ターミナルな病状で、多大な苦痛があり、
死にたいと望む人に対して合法化された」と書かれていることや、
その法律に基づいて医師らが
安楽死を報告する「
安楽死コミッション」のデータが
この記事に使われていることからも明らか。
それなのに、APはタイトルとリードでは
「オランダで医師による自殺幇助件数が増加」という
事実と異なった書き方をしている。
10年にもAPは、
ドイツで消極的
安楽死が合法化された時に
それを自殺幇助合法化だと報じ、詳細まで偽ったことがあった ↓
英国で「合法化ロビー」と非難されている
BBCも
似たようなことをやっている ↓