ポテト

やっと少し暖かくなったので、
ミュウと散歩して近所のモスへ。

ハサミで微細に刻んだバーガーは親が食べさせるけど、
大好きなポテトだけは、いつも「持たせろ」と手を伸ばしてくる。

握らせると、苦労しながらも
一か所だけ噛み切ることができる左奥歯に持っていき、
なんとか自分で上手に食べる。

時々、その手が母親の顔の前にぬっとやってきて、
ポテトを口に突っ込もうとする。

なぜか食べさせてもらえるのは母親だけなので、

ありがたく、
クソ握りでつぶれたポテトをいただく。

そして、言葉を持たない娘は、
私の前に顔を近づけ、

目をきらきら見開いて、
顔全体で「おいっしーねっ、ねっ、おかーさん!」と言う。

弾んだ口調で言う。

「うん。おいしーね」と、私も目だけで応じて、
その瞬間の完全無欠な幸福に、涙ぐみそうになる。