成長抑制に関する法的分析、オーストラリアの法律事務所から
オーストラリアの法律事務所が9月号のニュースレターで
オーストラリアでも「成長抑制を求める親の声が増えそうな話を聞くので」として、
オーストラリアでも「成長抑制を求める親の声が増えそうな話を聞くので」として、
障害児に成長抑制を行おうとする可能性のある医師に向けて法律的な分析を行い、
親からの要望を受けたら、まずその倫理性について慎重に検討すること、
仮に、成長抑制を倫理的に妥当と考えるとしても、
やりますと親に同意する前に必ずきちんとした法的な手続きを踏んで、
法的に有効な許可を得るように、とアドバイスしています。
親からの要望を受けたら、まずその倫理性について慎重に検討すること、
仮に、成長抑制を倫理的に妥当と考えるとしても、
やりますと親に同意する前に必ずきちんとした法的な手続きを踏んで、
法的に有効な許可を得るように、とアドバイスしています。
こういうものが出てくるとなると、
米国とオーストラリアでは、もう止めようがないのでしょうか。
米国とオーストラリアでは、もう止めようがないのでしょうか。
一方、この記事は、
障害児・者の尊厳に影響する医療決定を巡るオーストラリアの法律的な考え方とか
制度が分かりやすく説明されていて、たいそう興味深いものとなっています。
障害児・者の尊厳に影響する医療決定を巡るオーストラリアの法律的な考え方とか
制度が分かりやすく説明されていて、たいそう興味深いものとなっています。
コモン・ロー的には、子どもが自分で判断できない年齢の場合には
親が子どもの医療に同意することが出来るとされるものの、
親が子どもの医療に同意することが出来るとされるものの、
その範囲に含まれず、裁判所の同意を必要とする「特殊なケース」があり、
この判例が設定した「特殊なケース」として裁判所の同意が必要なものとする基準は以下の2点で
・ 子どもの同意能力または同意できない子どもの最善の利益に関して
誤った判断がされる重大なリスクがある。
誤った判断がされる重大なリスクがある。
・ 誤った判断がされた場合に重大な結果を招く。
具体的には、不妊手術のほかに、性転換手術、骨髄提供、ホルモン治療、妊娠中絶など。
この法律事務所の分析では、
成長抑制も不可逆であり、子どもに重大で永続的な影響を及ぼすので、
これら裁判所の同意を必要とする「特殊なケース」に含まれる、と判断します。
成長抑制も不可逆であり、子どもに重大で永続的な影響を及ぼすので、
これら裁判所の同意を必要とする「特殊なケース」に含まれる、と判断します。
1つは1975年のthe Family Low Act。
子どもの福祉に関わる命令を出す一般的な権限が家庭裁判所に付与されており、
Marion判例に基づいて親の同意が有効でないとされるケースでの医療判断にも
この権限が及ぶと理解されています。
子どもの福祉に関わる命令を出す一般的な権限が家庭裁判所に付与されており、
Marion判例に基づいて親の同意が有効でないとされるケースでの医療判断にも
この権限が及ぶと理解されています。
一方、1998年のthe Children and Young Persons (Care and Protection)Actでは
まずNSWガーディアンシップ委員会の同意を得た上でなければ
16歳以下の子どもの「特別な医療」を行ってはならないとされています。
(ただし緊急の場合は除く)
まずNSWガーディアンシップ委員会の同意を得た上でなければ
16歳以下の子どもの「特別な医療」を行ってはならないとされています。
(ただし緊急の場合は除く)
ここで「特別な医療」とされるものは、
・ 子どもを永久に不妊とする意図で行われる、または結果的に永続的に不妊とするもの。
(命に関わる病気の治療、または治療の結果そう望んだわけではなく不妊となったものを除く)
・ 避妊や生理のコントロールのために長期間にわたってホルモン注射を行うこと。
・ 精管切除または卵管閉鎖。
・ 中毒性のある薬の使用。
・ 実験的な処置を含む、ある種の治療。
・ 入所施設における、子どもの行動制御目的での精神病薬の使用。
(命に関わる病気の治療、または治療の結果そう望んだわけではなく不妊となったものを除く)
・ 避妊や生理のコントロールのために長期間にわたってホルモン注射を行うこと。
・ 精管切除または卵管閉鎖。
・ 中毒性のある薬の使用。
・ 実験的な処置を含む、ある種の治療。
・ 入所施設における、子どもの行動制御目的での精神病薬の使用。
ガーディアンシップ委員会の同意を必要とする条件は
「子どもの最善の利益」よりも制約度が高いとの指摘が興味深いところです。
「子どもの最善の利益」よりも制約度が高いとの指摘が興味深いところです。
しかし、この2つの制度が並立していることは、
医師が自分のやりたい治療によって許可を得やすい方を選んで申請することも
可能になる、との指摘もあります。
医師が自分のやりたい治療によって許可を得やすい方を選んで申請することも
可能になる、との指摘もあります。
この記事の分析によると、
成長抑制は98年法の定める「特殊な医療」の範疇には入らないので、
ガーディアンシップ委員会の同意を取り付ける必要は法的にはないものの、
Marion判例で規定される原理では裁判所の同意を必要としていることになります。
成長抑制は98年法の定める「特殊な医療」の範疇には入らないので、
ガーディアンシップ委員会の同意を取り付ける必要は法的にはないものの、
Marion判例で規定される原理では裁判所の同意を必要としていることになります。
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16歳以下の子どもの骨髄提供が
ガーディアンシップ委員会の同意を必要とする「特殊な医療」に含まれていること。
ガーディアンシップ委員会の同意を必要とする「特殊な医療」に含まれていること。
これは、ちょっと小説の方で
アナに法的後見人がつけられたことや、その後の裁判官の判断を考えさせます。
アナに法的後見人がつけられたことや、その後の裁判官の判断を考えさせます。