2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

2009年7月20日の補遺

USA Todayに、米国の自殺幇助議論をおおまかに振り返る記事。ターミナルな患者は今でも希望すればモルヒネの大量投与によって、事実上の自殺幇助をしてもらっている、「現実と常識によって世論はOregonの前例の方向へと向かっている」。米国最高裁も支持して…

ALSの妻を撃ち殺して自殺幇助を主張した夫に殺人罪、息子からはロングフル・デス訴訟(米OR州)

米国で最初に医師による自殺幇助を合法化したOregon州での事件。 John Lyle Roberts(53)は2008年2月に就寝中の妻(51)の頭を銃で撃って殺した。 妻はALSで、こんな状態で生きたくないと自殺を望んでいた、と主張していたが、 2週間の裁判で陪審員は、…

2009年7月19日の補遺

エントリーにまとめるエネルギーが足りないのが残念。英国の指揮者夫妻の幇助心中で、Vincent Nicholsというウエストミンスターの枢機卿が、とても良いエッセイを書いている。“野放図な自己決定権ドクトリン”によって、我々の社会は弱者をいたわる心を失い、…

スイスで自殺幇助に付き添ったパートナー逮捕(英)

ロンドンのローカル紙と思われる新聞電子版の小さな記事で 事実関係も、ほとんど分からないのですが、 2007年の2月に 28年間連れ添ったパートナーRaymond Cutkelvin(58歳)に付き添ってスイスへ行き、 Dignitasで彼が死ぬのを見ていたとして、 5…

Obama政権の功利主義医療改革を懸念する記事エントリー一覧

Peter Singerが主張している功利主義による配給医療やそれによる障害者の切捨てについては Obama大統領の医療改革への疑問として、これまでにも指摘されているので、 これまで当ブログが拾ったものを、以下に。 Obama大統領の障害者施策方針 早くも米国で胚…

APが「スイスは合法的自殺幇助を提供している」

AP通信は、どういう意図でこの記事を書いたのか知らないけど、 なにしろ「Dignitasのサービス」、「クライアントは……」という表現、 なんだか読み方によっては、スイスへの自殺ツーリズムの解説書とも受け取れるような……。 不治の病にかかった自国民に医師に…

Peter Singer がQOL指標に配給医療を導入せよ、と

NY Times MagazineでPeter Singerが配給医療制を導入せよ、と提言しています。 冒頭に書いている腎臓癌の例えが論旨を要約していると思うので、ざっと大まかに訳してみると、 腎臓癌の患者がいる。おそらく2,3年後には死ぬ。 Sutentという薬を使えば進行…

2009年7月17日の補遺

環境ホルモン・ユビキタス。つまり、もはや、あまねく存在して避けがたい環境ホルモンの害、“フタル酸症候群”についてNY TimesのOp-Edコラムニストが警告している。女児の思春期早発症、男児の女性化:ユビキタスなんだから、もう因果関係を証明することなど…

夫婦で“幇助心中”が美化・容認されるなら、次は……

4月にDignitasの創設者が 病気の夫と健康な妻(カナダの夫婦)の自殺幇助を検討中だと語った時から 実は、ずうっと頭のすみっこに居座っている想念というか、予感がある。 先週、英国の著名指揮者夫婦が夫の方は健康であるにも関わらず 「妻を失っては生きて…

カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言

Quebec州の医師会が 激しい苦痛のあるターミナルな状態の人には 一定の状況下での医師による安楽死を認めるよう 刑法を改正するよう提案することを決定。 カナダの議会には既にFrancine Lalonde議員からの議員個人提出の法案として 自殺幇助合法化の法案が提…

「IQ低い人は心臓病で死ぬリスクが高い」と元米軍兵士を対象にした調査

The European Heart Journal に掲載された調査結果で 4000人のアメリカ人の元兵士を調べたところ、 IQが平均よりも低い人では心臓病で死ぬ確立が高いとの結果に。 社会経済上のファクターが影響することは知られているが、 今回は、それらファクターを除…

2009年7月16日の補遺

英国人の著名指揮者夫婦のDignitasでの自殺に関する日本語の共同通信報道。英国で自殺幇助合法化議論が広がっていることについて何の言及も無い。Dignitasは「スイスの専門病院」だそうな。あ、でも、報道するだけはマシなのか……。日本の報道はゼッタイおか…

66歳で世界最高齢出産の女性、3歳の双子を残し、癌で死去。

当時は英語ニュースをチェックし始めて間もなくで まだ何もかもが目新しかった頃のニュースだったのと、 とてもきれいな人だったので、 まだブログを始める前だったけど、 この人のニュースはくっきりと記憶にある。 2006年に66歳で双子を産んで、当時…

生命倫理会議から参議院A案可決・成立に対する緊急声明

生命倫理会議 参議院A案可決・成立に対する緊急声明 2009年7月13日 生命倫理会議 代表 東京海洋大学教授 小松美彦 生命倫理会議は、生命倫理の教育・研究に携わっている大学教員の集まりです。去る5月12日に71名(68名+追加3名)の連名を以て「臓器移植法改…

Bad Cripple氏の成長抑制批判から“科学とテクノの催眠術”を考える

“Ashley療法”論争の当初から一貫して批判を続けている 障害当事者Bad CrippleことWilliam Peace氏が このたびのDiekema医師らの成長抑制論文を読み、 長いエントリーをアップしています。 Growth Attenuation: Ethics of Treatment Bad Cripple, July 15, 20…

2009年7月15日は補遺のみ

英国、ソーシャルケア緑書で、地域格差の大きい現在の制度の改革案として3つのモデルを提示。一般税で全額まかなうと勤労世代への負担が大きすぎるとして、政府がコストの3分の1を負担、政府が3分の1を負担する任意の保険制度、加入を義務付ける保険制…

障害当事者団体から臓器移植法成立に抗議声明

2009年7月13日 抗議声明 -臓器移植法改正A案参議院可決成立に対して- 優生思想に基づく「産科医療補償制度」に 抗議する障害当事者全国連合 2009年7月13日(月)、私たちが生存をかけて反対し続けてきた臓器移植法「改正A案」は、予想外の差をもっ…

英国の著名指揮者夫妻が Dignitasでそろって自殺

4月にDignitas創設者の Ludwig MinelliがBBCラジオのインタビューで 病気の夫と一緒に死にたいと望む健康な妻の自殺も検討していると語っていましたが、 ついにDignitasは ターミナルな病気の本人と、そうではない配偶者を一緒に自殺させる行為に手を染めま…

スイス自殺幇助グループExit、当局と合意

以前どこかで読んだ記憶では スイスで主に外国人に自殺幇助を行っているのがDignitasで スイスの国民対象に自殺幇助を行っているのがExitだったような気がするのですが、 そのExit の方が、チューリッヒ市当局との合意文書に署名。 特にこれまでの活動を変え…

科学とテクノは法の束縛から自由になろうと、駄々をこね始めている?

この前から、大統領生命倫理審議会の報告の一部を読みかじって、 生命倫理って治外法権的議論の土俵作りに過ぎないの? という疑問を抱くにつけ、 でも、医学をはじめ科学とテクノの応用と、法の関係について 私はまったく知識がないから、これ以上、考えよ…

修道院ホスピスでの“尊厳ある死“

シスター Dorothy Quinn 87歳。 NY 州Rochester郊外のSt. Joseph修道院のナーシング棟でケアされている。 一時は重態で酸素タンクにつながれ、足はむくみ、既に食欲もなかった。 心臓病の専門医は23種類もの薬を処方したが、老年医の選り分けによって シ…

カナダの議会でも自殺幇助合法化法案、9月に審議

カナダの議会にも5月に自殺幇助を合法化する法案 C-384 が提出されており、 9月後半に審議の予定だとか。 Francine Lalonde議員が自殺幇助合法化法案を提出するのは 2005年6月、2008年6月に続いて3度目。 記事が反対の立場に傾斜して書かれてい…

2009年7月9日の補遺

Obama政権の医療制度改革議論が本格化して、コスト削減の必要と合わせて終末期医療がいかに高くついているかが喧伝され、それがC&Cによって自殺幇助の議論と結びつけられていくことについて、Wesley Smithが疑念を呈している。 http://www.firstthings.com/b…

Campbell・Shakespeare・Drake:障害当事者による自殺幇助論争 2

(前のエントリーからの続きです) その2人のエッセイを受け、 Shakespeareの文章は事実を偽っていると指摘しているのが、米国の Not Dead Yet のStephen Drake 。 Shakespeareはここ2年ほど、 たいていの場合「ターミナル」を定義しないまま、 ターミナル…

Campbell・Shakespeare・Drake:障害当事者の自殺幇助論争 1

障害者運動の活動家と障害学の学者3人による、ここ2日間の論争を 2回のエントリーにて。 (概要はいずれも取り急ぎのまとめで、さほど吟味した訳語ではありません) まず、7日に英国上院で発言した障害者運動の活動家で The Disability Rights Commissionの…

海兵隊リクルーターがノルマ達成のため、発達障害者を狙っている?

カリフォルニア州オレンジ郡からのニュース。 Joshua Fry。21歳。 両親はともに薬物中毒者。 8歳で自閉症を診断される。 養家を転々とし、高校では問題行動が目立っていたが、万引きで逮捕され、 心理ケアの必要な青少年の施設に15ヶ月間収容された。 18歳の…

脳死・臓器移植法改正議論:バクバクの会から再度の要請文

人工呼吸器をつけた子の親の会バクバクの会から 昨夜出された要請文。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【再要請】 臓器移植法改悪反対の声を参議院へ! ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆わたしたちは「脳死」が「人の死」だとは思いません! ◆脳死判定は絶対的な…

2009年7月8日の補遺

(補遺に取り上げる記事は、タイトルとリード部分のみか、 せいぜい最初のページの流し読み程度しか読んでいないものがほとんどになります) オーストラリアの首都特別区で、スタッフ不足から救急車ステーションがサービスを停止する事態が10ヶ月の間に9回も…

英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決

――朗報。 かねてフォローしてきたように、 スイスDignitasで自殺を希望しているMS女性 Debby Purdyさんからの訴えを受け 自殺のために身近な人を海外へ連れて行く行為を罪に問わないことを 法律に明記する法改正案が英国議会に提出されていましたが、 7日、…

2009年7月7日の補遺

Norma McCorvey。36年前、女性の中絶権を認めたRoe vs Wade 裁判の匿名の原告だった女性。今は、なんと、過激なプロ・ライフの活動家。判決の3年前に生まれた子どもは顔を見ることもなく養子に出し、彼女自身には中絶体験はない。ずっと女性の選択権を訴え続…