全ゲノム読解で病気チェックした赤ちゃん誕生(米)

フィラデルフィア在住の夫妻の元に5月18日に生まれたのは Connor Levy君。

夫妻(妻Marybeth Scheidts, 36歳、夫David Levy,  41歳)は
米国のクリニックの医師らが染色体に異常のない胚を選べるよう、
IVFで作って5日間培養した13個の胚のそれぞれから細胞を数個ずつ取って
英国オックスフォード大学の専門家Dagan Wellsに送り、
遺伝子の異常をチェックしてもらった。

13個のうち、染色体の数に異常がないのは3個だけだった。

米国のクリニックの医師らはそのうちの1個をMarybeth Scheidtsさんの子宮に入れ、
残りの2つを冷蔵保存した。

Connor君の誕生は、
全ゲノムを素早くかつ安価に読解できる次世代シークエンシング(NGS)技術が
IVFクリニックでの肺の選別を様変わりさせることを物語っている。

全ゲノム情報が得られれば、
癌や心臓病、アルツハイマー病などの病気の発症率が分かる。

Array CGHという技術でも染色体異常のスクリーニングはできるが、
NGSならそれよりもコストは約3分の1下がる。

同じ遺伝子スクリーニングを経た2人目は来月誕生する。

Connor君のケースを担当した医師は
「どれほど革命的なことかはどんなにオーバーに言っても足りない。
妊娠率を50%あげるし、流産の可能性も同じくらい減ります。
費用も大変安い。5年後には最先端技術として
IVFをやる人みんなが受けることになるでしょう」

英国では非常に重篤な病気予防以外の目的で胚を選別することは禁じられているが、
遺伝子と病気の因果関係が分かってくるにつれ、
癌その他の病気を予防するために胚を選別しようとする声は高まっている。

髪の色や背の高さなどまで選んだデザイナー・ベビーの懸念もあるが、
Wellsは「IVFは未だ高価な技術で、必ず子どもが生まれる保障もない。
(髪の色や背の高さなどの)瑣末なことを選ぶために、
わざわざ手間をかけてIVFをやろうという人が
沢山いるとは思えない」。

WellsらのチームはNGSで妊娠率がどれだけ上がるか、
またどの年齢層で最も利益が大きいか、大規模な実験を計画中。

Connor君の両親は
今のところ冷凍保存した2つの胚を使う予定はないが、
1年様子を見てから考える、と。



これもまた、新型出生前診断と同じく、
数年後には日本にも到達する時代の波なのでしょう。