84歳の男性が病院で餓死 (英国)

ずいぶん前から断片的に目にしていた
英国のNHS病院での高齢患者へのネグレクト問題。

英国の病院で高齢患者が食事介助をされず低栄養状態になっているとか、
自分の汚物にまみれたまま放置されているといった告発は
私が英語ニュースを読み始めた2006年から既に繰り返し報道されていたけど、

今回問題になったのは
ウースターシャー急性期NHS病院トラストの、
アレクサンドラ病院と、ウースター・ロイヤル病院の2つ。

ことの発端は、昨年3月に
ケアの質コミッションがアレクサンドラ病院に抜き打ち監査を行ったこと。

その結果、同病院のケアは最低水準に達しておらず
トラストは法を侵しているとの結論を出した。

その報告書を受けて、
患者や家族、遺族から続々と告発の声が上がり、

1年3か月前に
アレクサンドラ病院について35件、
ウースター・ロイヤル病院について3件
トラストに対する集団訴訟が起こされた。

最も酷い中では
2009年に84歳の男性が病院で餓死した、というケースがあるほか、

喉が渇いたまま放置されている患者の手の届かないところに飲み物が置かれていたり、
トイレ介助をせずに患者が自らの汚物にまみれたまま座らされていたり、
自分で食べられない患者の手つかずの食事トレイを職員が平然と下膳したり、
職員が患者を抱えようとして肋骨を骨折させたり、
ナース・コールを無視したり。

トラストでは
集団訴訟に取り上げられたケースの大半は2002年から2009年に起きた古い事例で、
11年の監査以降、病院のケアの質は改善されていると主張しているが、

集団訴訟の38ケースの家族・遺族とは和解が成立し、
それぞれに謝罪の書簡を送るという。

[http://www.guardian.co.uk/society/2012/dec/23/hospital-trust-apologises-neglect NHS
Hospital trust apologises for ‘appalling’ neglect]
The Guardian, December 23, 2012


この問題については
何度か以下の連載で触れていると思うのですが、
現在ネット上で読めるのは、病院ではなくケアホームのネグレクトに関する以下のもの。

「ケアホームの劣悪な介護実態を 消費者団体の潜入調査が暴く【英国】
「世界の介護と医療の情報を読む」『月刊介護保険情報』2011年6月号


知的障害者へのネグレクト関連エントリーはこちら。
2003年から2005年に亡くなった6人のケースが取り上げられています。 ↓