NY法科大学の終末期医療シンポめぐる論争 1

11月16日にニューヨーク法科大学のJustice Action Centerのシンポジウム
「終末期の選択の自由―変わりゆく法的・政治的情勢における患者の権利」をめぐって、
Stephen DrakeらNot Dead Yetの関係者らが激烈な批判をし、
Thaddeus PopeやBill Peaceらがブログで反応して
興味深い議論となっているので、

それぞれを簡単に取りまとめてみた。

問題のシンポのサイトはこちら ↓
Symposium: Freedom of Choice at the End of Life
Patients’ Rights in a Shifting Legal and Political Landscape
A Justice Action Center Symposium
Friday, November 16, 2012


このシンポについて、まず10月にStephen Drakeが書いたエントリーがこちら ↓
NY Law School – Justice Action Center’s Upcoming Annual Justice Symposium Not Fair to Disability Advocates, Let Alone “Just”
NDY, October 24, 2012


この中でDrakeが指摘しているのは、

① 3つのパネルのいずれにも(自殺幇助合法化ロビー)C&Cの役員や関係者が含まれてモデレーターまで務めることになっており、これでは事実上、C&Cが企画し実施するシンポと変わらない。
② 3つ目のパネルの「特別な人たち、特別な問題」というタイトルにもC&Cの障害者に向ける意識が滲んでおり、価値中立ではない。
③ 障害者の権利アドボケイトの主張を取り上げるこのパネルで、障害者アドボケイトの懸念を代理する役割を振られているのは、最近刊“Bioethics and Disability”で障害者に理解ある生命倫理学者を気取るAlicia Ouelletteのようだが、同書でウ―レットは障害者アドボケイトの主張を正しく理解していない。そもそもBouvia,  McAfee, Schiavo事件に触れながら、彼女はそれらに直接かかわったアドボケイトに接触すら試みていない。
④ このパネルでは、障害者アドボケイトの主張が宗教右派の主張と作為的に重ねられて論じられることが予想される。Bill Peaceと親しいことを煙幕に、そうした混同を敢えて行って障害者アドボケイトの主張を捻じ曲げてきたAnn Neumannがスピーカーに含まれていることからも、シンポのサイトのパネルの趣旨説明からも明らか。


そして、Drakeは
社会正義の実現に向けて行動することを謳うセンターが
障害者アドボケイトや活動家の視点がフェアかつ正確に代表される配慮をしないことに対して、
また、こんなC&Cの茶番にこれら共催団体までもがこぞって賛同して見せることに対して、
「恥を知れ」と。


このエントリーには、無益な治療ブログの著者でこのシンポにも参加予定の
Thaddeus Popeからコメントが入っていて、とても興味深いやりとりになっている。

Popeは、「この言い方はひどい。自分もスピーカーだから、
NDYの代表者がシンポに来るのであれば、翌日に朝食をおごるから
スピーカーの発言のどこが間違っていたかを聞かせてくれないか」と書いている。

それに対して、Drakeが返しているのは、

酷いと思うのは、これまでのC&CやFENと障害者アドボケイトのやり取りを知らない証拠。
彼らの障害者コミュニティに対する姿勢は以下の2つのどちらかしかない。
カトリックの主張との対立の構図を描く戦略のために、障害者はこの議論の部外者であるかのように装い、相手にしない。
② 障害者はこの問題でキリスト教右派と手を結んでいる、または彼らに操られているにすぎない、というスタンス。
ここでシンポについて書いたことの「ひどさ」など、私がこれまでの15年間に経験してきた「ひどさ」とは比べ物にもならない。
「朝食」については、あなたが求めているのは発言の質、不正確さやバイアスに関する専門的なレベルの分析と情報提供のはず。それなら朝食代くらいでは済まない。

実際のシンポ当日の出来事については次のエントリーで。